【2022秋アニメ】「チェンソーマン」デンジ役で初主演! 緒方恵美主宰の私塾出身ルーキー・戸谷菊之介インタビュー!
2022秋アニメの注目作「チェンソーマン」が、10月11日より放送スタートとなる。
原作は、藤本タツキさんの同名漫画。主人公・デンジが悪魔を心臓に宿したことで“チェンソーマン”となり、公安のデビルハンターとして戦うダークヒーローアクションだ。「週刊少年ジャンプ」2021年2号にて第一部が完結し、現在「少年ジャンプ+」で第二部が連載されている。
アニメでは監督を中山竜さん、制作をMAPPA、オープニング・テーマを米津玄師さん、挿入歌をマキシマム ザ ホルモン、エンディング・テーマを豪華アーティストが週替わりで担当する。
放送前から話題沸騰の本作において、主人公・デンジを演じるのは今回が初のメイン役となる新人声優の戸谷菊之介さん。デンジ役に選ばれたときの気持ちから、どのようにデンジを作り上げていったのか、本作の魅力、ほかのキャストとのエピソードなどたっぷりとお話をうかがった。
キャスト発表でSNSのフォロワー数が10倍に!
――「チェンソーマン」という大人気作品への出演が決まったときの、率直な感想からお聞かせください。
戸谷 ヤッタ-----‼ って気持ちが一番大きかったです。同時に、信じられない気持ちもあって、ずっとマネージャーに「これ本当ですか?」と確認したんですよ(笑)。
――原作はもともと読まれていたそうで。
戸谷 はい。原作漫画は、オーディションのお話をいただく前に全巻読んでいました。
――読んでいた作品なら、なおさら嬉しいですよね。
戸谷 本当に嬉しかったです。アニメ化決定のPVを見て「うおー!! アニメ化!!! 誰が声をやるんだろう?」と思っていたひとりだったんですよ。そうしたらオーディションの話が来て興奮して、決まって、となったので喜びがすごく大きかったです。
――嬉しさだけでなく、やはりプレッシャーもありましたか?
戸谷 ありました。特に第1話のアフレコまではすごいプレッシャーでしたね。(初のメインで)右も左もわからなかったので、どうすればいいんだろう……と思っていて。でも、スタジオでは周りの方たちがみんなやさしくて、演技に集中できました。
――周囲の反響も大きかったのではと思います。
戸谷 めちゃくちゃ大きかったですね。友達からLINEがすごい数来ました。久々に連絡くれる人とか、ご飯を誘ってくれる人とか、いろいろ話を聞かせてと言ってくれる人とか、本当にありがたかったです。あと、Twitterのフォロワーがキャスト発表前は1,200人ぐらいだったのに、1日で15,000人ぐらい(10月11日時点では約18,000人)になったんですよ。
――1日で10倍以上!?
戸谷 「チェンソーマン」のすごさを改めて実感しました。
――その数字からもプレッシャーを感じますよね。
戸谷 そうなんですよ。アフレコでプレッシャーが落ち着いていたのに、キャスト発表でまたバーンと上がった感じでした(笑)。でも、今はアフレコをやりきったので、自信を持っています。
原作の魅力をそのまま映像に
――原作をもともと読まれていたとのことですが、戸谷さんはどういうところに面白さや魅力を感じていましたか?
戸谷 なにが一番好きかと言えば絵ですね。特にチェンソーマンが敵を倒すシーンで血が飛び散るところは全部好きです。
――結構そういうのが好きなのですね(笑)。
戸谷 そうですね(笑)。絵自体も上手なんですけど、表現力というか躍動感というか。コマ割りも構図も全部がすごく引き込まれる絵になっているなと感じました。
――圧巻ですよね。絵が語っているというか。チェンソーマンの造形もかなりのインパクトですが、こちらに関してはいかがですか?
戸谷 デンジって、見た目は普通の少年じゃないですか。それが急に額からチェンソーが出て、手からもチェンソーが生えるのにびっくりしました。でも、だんだんと格好よく見えてくるんですよね。よく見るとディテールもかなり細かく描かれているので、見れば見るほどよくできているな、美しいなと思います。
――そういう部分もアニメでどう描かれるか楽しみですね。
戸谷 僕も完成した映像は(インタビュー時点では)まだ見ていないので、すごく楽しみです。
――TVアニメ「チェンソーマン」ならではの見どころや、戸谷さんと同じく原作を読んでいる人、逆にアニメから入る人への注目ポイントを教えて下さい。
戸谷 アニメでもデンジの額からチェンソーが出るシーンとか血がぶわーって出るんですけど、映像に対するこだわりが本当にすばらしいです。MAPPAさんの作画力や監督のこだわりを感じられると思いますので、原作から読んでいる方も楽しんで頂けると思います。
――本当に原作の魅力が映像化されているのは、公式サイトで公開されているPVからも伝わってきますね。
戸谷 そうですね。第1話の映像をもらった時はまだラフの段階だったんですけど、これを規制なしでやるの?と不安になったぐらいでした(笑)。でも、そこも魅力ですよね。アニメから入る方も、芝居が生の感じで見やすいものになっていますし、絵もきれいなので、ストーリーも含めて初見でもやさしい作品になっていると思います。
――PVではアクションの激しさにも目を奪われました。
戸谷 すごいですよね。それに、バトル以外のアクションシーンでも動きが非常に滑らかなところがたくさんあって、本当にすべてに力をかけているなという印象があります。
アニメよりもドラマ寄りの芝居を
――アフレコについてお聞きします。現場の雰囲気はいかがでしたか?
戸谷 ファイちゃん(パワー役・ファイルーズあいさん)がムードメーカーで、すごく場を盛り上げてくれるんです。そのおかげでみんなが仲良くなった感じもありますし、逆にファイちゃんの誕生日には僕と楠木さん(マキマ役・楠木ともりさん)とさかしょくん(早川アキ役・坂田将吾さん)で祝うこともあって。お互いがお互いのことを仲間だと思っている、いい関係ですね。
――中山監督をはじめとするスタッフ陣からは、どのようなディレクションがあったのでしょうか?
戸谷 ディレクションに関しては、最初にオーディションで「抜いた芝居でやってください」「アニメよりもドラマ寄りのお芝居で」と言われました。「アニメっぽいデフォルメ感をなくして、抑揚も抜いてやってほしい」と。僕自身そういうお芝居が好きで、最近はそういうお芝居をしている作品をよく見て勉強しているんです。アフレコが始まってからも、練習するときは自分が日常でどうやってしゃべるかをすごく意識するようになりましたね。
――自然な感じでやる方がマッチするわけですね。
戸谷 そうですね。デンジの気持ちを分析したり考えたりしたうえで、現実世界の人間だったらどうやってしゃべるのだろうかと。そこにできる限り近寄せるというか。アニメっぽいイントネーションや抑揚でいくところを、逆に抑えて現実に近づけるようなアプローチで芝居をしました。
――ほかの皆さんも生っぽい感じでやっていたのでしょうか?
戸谷 はい。あ、パワーだけは違いますけど(笑)。魔人は現実にはいないですからね。ファイちゃんが監督に「どうやったらいいですかね?」と相談しているところを、アフレコ中によく見かけました。だけど、早川アキやマキマさん、それに主要キャラクター以外も生のお芝居を求められていましたね。
――叫ぶところも?
戸谷 叫ぶところは、生っぽいというか、本気での気持ちで叫んでいる感じですね。
――初の主演ですし、アフレコでは周りの仲間や先輩たちから学んだことも多かったのでは?
戸谷 楠木さん、さかしょくん、ファイちゃんは一緒に録るたびに、技術に関するアドバイスをくれるんですよ。「背中を叩いたら、座ったニュアンスが出るよ」とか。そういう技術のことをすごく学びました。あと、悪魔を演じる皆さんからはエネルギー値といいますか、アフレコでここまでやるんだとすっごい学びましたね。
――悪魔の演技は、現場で直接目の当たりにするとさらにすごそうです。
戸谷 本当にすごかったです。第1話からゾンビはすごいし、コウモリもすごいし、ヒルもすごいし……どんどん魅力的なキャラクターが作られているんです。(悪魔たちは)エネルギーがすごいので、それに動かされて僕も芝居がよりいいものになることが多々ありました。戦うわけですからね。
――そういうことを通じて、演者として新しいものを作り上げている感覚はありましたか?
戸谷 なにせ僕はアニメのメインキャストをやるのが初めてなので、新しいことを始めている感覚はなかったです。でも、オーディションをいろいろ受けてきて、これまでとは全然違うことを求められているのはすごく感じましたね。
完全にマキマさんが隣にいました!
――キャラクターでは、デンジとマキマとの関係も注目されるわけですが、アニメでのマキマを見ていかがでしたか?
戸谷 いやー、最高です! 僕は原作でマキマさんが一番好きだったし、マキマさんが動いてしゃべるのを見て常にドキドキしながら演じていました。
――そこは完全にデンジとシンクロしていますね。
戸谷 マキマさんの好き度に関してはめっちゃ自信あります!(笑)
――じゃあ、マキマさんから「これをしてあげるから」と言われたらもう飛びつきますか?
戸谷 (飼い犬のように)ワン! ですね(笑)。
――先ほども触れたPV中にはマキマのちょっとドキッとするようなシーンもあって、そのあたりもどう描かれるのか楽しみです。
戸谷 すごくいいですよね。楠木さんの演じ方も本当によくて、それでドキドキしたのはあります(笑)。アフレコは隣で録ることが多かったですけど、隣にいました! マキマさんが!!
――ほかのキャラクターの印象はいかがですか?
戸谷 アキくんは(演じている)さかしょくんに似ていることもあって、本人がまんまそこにいると感じますね。アフレコに対する姿勢とか性格もアキくんのようですし、本当にピッタリです。パワーはエネルギッシュな感じがすごくて。デンジとの掛け合いも多く、パワーがいるおかげでお芝居が変わったというか、デンジが形作られていったところがあります。
――本作に限らず役者・声優としてのこともお聞きします。役者として大切にしていることや、今度どのような役者になっていきたいのか教えて下さい。
戸谷 “居心地のいい現場を作っていきたい”と思っています。「チェンソーマン」の現場はすごく温かくてめちゃめちゃやりやすかったんですね。たぶん僕が一番緊張していたと思うのに、温かい現場だったからこそできたことがいっぱいありました。それを経験した後だと、やっぱり僕も場をそういう風に和ませられる声優になりたいなと。恩返しじゃないですけど、みんなにも温かくいてほしい気持ちがあります。
――主演の人は「座長」と言われるわけですからね。
戸谷 言われました(笑)。
――場の雰囲気づくりも、毎回勉強になったのでは?
戸谷 そうですね。特にファイちゃんの場の和ませ方はとても勉強になりました。こういう人になりたいなってすごく思います。
――ちなみに戸谷さんは、緒方恵美さんによる無料私塾「Team BareboAt(チーム・ベアボート)」の第1期生なんですよね。
戸谷 そうです。緒方さんのところでは芝居の基礎をゼロから学びました。「役になったら、そのキャラ本人としてマイク前に立つ」という徹底した教えがあって。本当に感謝しています。
――その教えを活かしつつ、ご自身の活動としてはトロンボーンが得意とのことで、YouTubeでも見事な演奏を披露していました。そういった面も出していきたいですか?
戸谷 はい。音楽もがんばることで表現の幅が広がると思うので、今後もやっていきたいです。
――最後に、デンジはキスや胸を揉ませてもらうといったことがモチベーションになるわかりやすい人間でもありますが、戸谷さんにとってモチベーションになることを教えて下さい。
戸谷 アフレコに関して言えば、みんなに会える喜びというか、みんなと一緒にお芝居ができることですね。それが一番のモチベーションになって頑張れたと思います。
(取材・文・撮影/千葉研一)
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