ルパン三世の少年時代が明かされる! アニメ「LUPIN ZERO」配信記念、畠中祐(ルパン役)×武内駿輔(次元役)インタビュー!後編
ルパン三世の少年時代を描くオリジナルアニメ「LUPIN ZERO」が、2022年12月16日(金)より新しくローンチされた動画配信サービス「DMM TV」にて独占配信開始された。
本作は、漫画「ルパン三世」(原作:モンキー・パンチ)の連載当初と同じ昭和30年代を舞台に、まだ何者でもない“ルパン”が高度経済成長期の日本を駆け巡る、懐かしくも新しいオリジナルストーリー。アニメーション制作を担当するのはテレコム・アニメーションフィルム。少年がいかにして“ルパン三世”となったのか? まだ何者でもない中学生のルパンが、のちの相棒・次元と出会い、ある女性を救うべく危険な事件に立ち向かう!
ルパンを演じるのは畠中祐さん、そして次元を演じるのは武内駿輔さん。2人が少年時代のルパンと次元をどのように演じたのか、前編に続き後編でもたっぷりとお話をうかがった。
2人が同じ歩幅で最初の一歩目を踏み出せる環境とご縁に感謝
――ルパンと次元をより知っていく中で、ご自身と似ていると感じたところはありますか?
武内 僕は(次元のように)シャイと言われることがありますし、ロマンチストなところも割と似ているかもしれないです。
畠中 そうだね。
武内 次元の使っている銃(S&W M19)も、周りからしたら「そんなにこだわらないで性能のいい銃を使えばいいのに……」となりますが、僕も長く使ってきたなりの見えない魅力を感じるんですよ。声優の演技もそうで。なんでそういう演技感でやるの? 伝わりづらくない?ということでも、僕は僕なりの美学があるからと思いながらやってきました。それは前回お話ししたオーディションでの「よかった」にも繋がることですが、そういう点も割と似ていると思いましたね。
あとは単純に、アフレコが始まる1か月前から、バケットハットとサングラスを買って、ずっと着けていました(笑)。
畠中 かぶっていたね(笑)。
畠中祐さん
武内 大塚明夫さんも小林清志さんも、キャップを被ったりサングラスをかけたりしていたので、僕も見た目から寄せていこうと思って。現場で考えるときも(次元のように)足を組んだ体勢にするとか、そういうことを割とやっていました。役作りというか、趣味です(笑)。祐はどうなんだろうね。似ているところ。
畠中 どうなんだろうなぁ……山田さんのことを調べると、言ってることもわかるんですよ。厳しさの裏にはやさしさがとてもあると思いましたし、ものすごく傷つきやすくて繊細な人なのかもしれないことも垣間見える。だからこそ、ものすごくストイックに厳しくやってきたんだろうなって。
武内 そう感じられるからこそ、祐はルパンに似ているというか、山田康雄さんを理解できる素質がある人間なんですよね。
畠中 今回のルパンって、まだ“ルパンの仮面”を被りきれていないルパンなんです。なぜ(大人の)ルパンは仮面を被っているのか。あくまで僕の予想ですけど、人見知りなのかもしれないし、踏み込まれたくない家族の関係とかあるのかもしれない。でも、その仮面が外れたらすごく人間くさいと思うんですね。山田さんが演じるルパンの声には切なさが混じっているシーンもありますし、明るく言っている裏にものすごく寂しさが見える瞬間もありますから。
――ギャップがあると?
畠中 そうです。そういったところはすごく共感する部分ですね。似ているかはわかりませんが。
武内 心の層が何枚もあるところは似ているかもね。祐も複雑な心をしているなと思うんですよ。悩み事とか話してはくれるんですけど、自分の中でしか答えが出せないとわかっているし、全部納得できるまでは答えをあまり教えてくれない。
畠中 そうなのかな?(笑)
武内 思っているよりめちゃめちゃ悩んでいるよね?
畠中 死ぬほど悩みますね。そういう意味では、山田さんも寂しがり屋で、とっても孤独だったのかもしれない。答えが見つからないから、結局ひとりで悩むしかない。誰かからの評価をもらったとしても結局悩むでしょ、と。
武内 それってどんなにいい友達がいようが、家族がいようが関係ないんだよね。
畠中 そうそう。そこで満足しちゃったら終わってしまう気がするし、そこで満足できるほど山田さんも浅くなかったというか、本当に悩んでいたんだろうなと思うんですよね。
――以前、栗田さんにお話をうかがった際、周りのそうそうたる役者たちの中に自分ひとりが新しく入った時の大変さを語っていました。それを考えると、今回は2人で一緒だったのは大きいですよね。
畠中 確かに、栗田さんは「メジャーリーグの中にひとりだけ草野球チームが入っちゃった」といったことを話していましたからね。そういう意味では、同世代で、悩みも共有できる相方がいるのは相当恵まれているなと思います。
武内 幸運だと思いました。同じ歩幅で最初の一歩目を踏み出せる環境とご縁に感謝です。ちゃんと連絡取り合って相談しあう仲でよかったなと思います。
畠中 本当にそうだよね。
武内駿輔さん
いつかルパンみたいな役を演じてみたい憧れはありました
――完成した映像をご覧になった感想をお聞かせください。
武内 オープニング、エンディングを含めて、映像も音楽も演出もすべてが素晴らしいと思いました。
畠中 間違いないです。もっとルパンになったかもしれないと考え出しちゃうと止まらないですけどね(笑)。
――反省するところもあると?
武内 反省や後悔はないんです。いいものは残せたと思うけど、もっともっと、みたいな。
畠中 いま録ったらどうなるだろう? とか考えちゃいますね。でも、作品としては本当に熱量の高いものになったと思います。酒向監督もルパンが好きでアニメ業界に入ってきた人なので、熱量は尋常じゃないし、その人が固めたスタッフや集まってきた人たちによってルパンファミリーができあがっているわけですから。周りが僕をルパンにしてくれた部分は大きいかもしれないです。ただ、自分たちの思いが強い分、ご覧になった皆さんがどう受け取ってくれるのかヒヤヒヤものです。ストレートに言うと、すごく怖いです。
武内 自分たちは正直、正解がわからないので、皆さんには気軽な気持ちで楽しんでいただきたいです。
畠中 そうだね。逆に感想を聞きたいです。
――作品内容のことで言えば、高度経済成長期である昭和30年代の日本を舞台に、学園に通うルパンたちが描かれることも驚きました。お2人は、そういった設定を知っていかがでしたか?
畠中 最初にもらったオーディション資料に、「1958年ぐらいの日本。高度経済成長」などと書かれていて。もし(ルパンがスタートした)1971年に20代だとしたら、逆算すればそのぐらいになるという整合性もあったので、昭和の日本を舞台にしてルパンをやるという設定に僕はとってもワクワクしました。
武内 僕もそこまで違和感はなかったかな。でも、学園モノっぽい側面があるのは面白いなと思いました。お互いが学ランを着ていて、次元も学生帽だし、見た目の新鮮さはありましたね。「学園ルパン三世」とか、今まで見たことなかったなと。
畠中 想像もしてなかったよね。でも、見た目はすごくルパンというか、ちゃんとルパンの少年時代という感じがして。絵の力はすごいなと思いました。
武内 髪型も違うのに、ルパンに見えるのが面白いよね。
――ちなみに、お2人が最初に見た「ルパン三世」はどの作品でしたか?
畠中 僕は、マモー(ルパン三世 ルパンVS複製人間)だったと思います。
武内 そうだね。マモーかカリオストロ(ルパン三世 カリオストロの城)だと思います。どっちが先かはわからないですけど。
畠中 やっぱり有名なところですね。
――その当時は、もちろん将来自分が演じることになるなんてわからないわけですが、「ルパン三世」にいつか出てみたいと思うことはありましたか?
畠中 いつか出てみたいというか、憧れは小さい頃からありました。僕は小さい頃から役者になりたかったので、いつかルパンみたいな役を演じてみたいなと。
武内 僕は(役者を)目指した瞬間からありました(笑)。
畠中 すごいな。先を見据えすぎだろ(笑)。
武内 役者はそういう勢いじゃないと。それがひとつのエンジンになりますから。見ていた時はまったくビジョンはありませんでしたが、本当に格好いいというか、こんな風に生きてみたいものだと思いました。
――生き方はともかく、演じるのはかなったわけですからね。では最後に、本作で初めて「ルパン三世」を見る方もいると思いますので、そういった方も含めて皆さんにメッセージをお願いします。
武内 「ルパン三世」ってシリーズがすごく長いので、どこから見たらいいかわからない人もいると思いますが、そういう人にはいいきっかけになると思います。話もめちゃくちゃ難しいことはなく、感覚的に見られる作品になっていますし。先ほどジャズとかクラシックとかの話をしましたが、ポップミュージックな感覚といいますか、ルパンをすごく身近に感じてもらえる作品になっていますので、ぜひ気軽な気持ちでご覧いただけたら幸いです。
畠中 どの時代にも、いろいろな顔のルパンがいたと思うんです。「少年ルパン」と聞いてとまどいがあるかもしれないですけど、これはこれでルパンの顔だと思うし、ある種一番初々しいルパンなんですね。だから、スタートとしては絶対にいいなと思うし、ルパンを知らない人が見ても「こんなに人間くさいやつだったのか」と共感してもらえるところがとてもある気がします。僕はこの作品に出会えて、ルパンに出会えてよかったと心の底から思いましたので、皆さんにもその体験をしてもらえたら嬉しいです。
(取材・文・撮影/千葉研一)
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