【プラモレビュー】アオシマが40年ぶりに放つイデオン誕生! プラキット「1/450 伝説巨神イデオン」を徹底レビュー!
社会人ともなると忙しい毎日の中で積みプラが増えてしまいがち……。そんなあなたに代わって、ロボット&プラモデル大好き声優の泰勇気がプラモデル製作に挑戦するのが、この連載!
コンセプトは「忙しい社会人でも、週末の休みを使えばここまでできちゃうよ」。ルールは素組みで、1~2日の制作期間の2点のみ! この連載を読めば、きっとあなたの作ってみたいプラモデルと出会えるはずだ。
というわけで、「声優・泰勇気の週末プラモ!」第65回スタート!
声優・泰勇気の週末プラモ!第65回 1/450 伝説巨神イデオン
1980年にTV放送がスタートした、富野由悠季監督の伝説的アニメ「伝説巨神イデオン」。当時も青島文化教材社より数多くのキットが、さまざまなスケールで発売されていましたが、実に40年の時を越えて同社より新作キットが発売されました。
本作の主人公メカ「イデオン」は、異星人である第6文明人が遺した遺産であり、無限力「イデ」を載せた謎多き存在です。同じ遺跡から発掘された宇宙船・ソロシップに乗った地球人の若者たちは、「イデ」の力に恐れおののく異星人バッフ・クランから追われ、スペース(宇宙)をランナウェイするという、なかなかに絶望感漂うあらすじとなっております。
はたして第6文明人の技術とはどういったものだったのか。ということを考えると、実はイデオンって、人々が思い描くさまざまな第6文明人の技術を投影した、多彩なアレンジを受け止められる、懐の深いキャラクターなのではないかと思います。
今回の「1/450伝説巨神イデオン」は、そんな提案のひとつなのではないかと感じています。
今回のパッケージはまずサイズがとても大きく、しかもイラストも素敵。パッケージを店頭で見たときは思わず「うぉ! でけぇ!」と声に出してしまいそうになることでしょう。
パーツも大きいサイズのものが多く、難しい組立工程も特にないので、スムーズに作業を進めることができます。
イデオンマニアの方ならどのパーツがどの部分のものなのか、ランナー状態でも楽勝で想像がついてしまうと思います。
ハイディテールの割に、パーツ分割はそこまで細かくならないように配慮されています。
こちらが完成したイデオンの雄姿! 下から見上げた巨大感の演出なのか、脚は人体のバランスとしてはやや長く大きめになっているように見えました。
またシールを貼ることなく、塗装することもなく、ストレートに組み立てただけでここまでの色分けが再現されます。しかも接着剤不要。関節にはポリパーツが採用されているので動かしやすい、という至れり尽くせりのキット。ここまで色分けができているのなら塗装の手間が省けたと考えて、その分ウェザリングやスミイレなどに時間を割いて、皆さんの個性をぶつけた完成品が作れるはず!
上腕の後ろ側には履帯なども見えますが、今回のイデオンは分離・変形はオミットされたアクション重視のキット。ですがこのディテールで各メカに分離するとどうなるのかな、なんてことも想像できてしまいます。
イデオンの特徴的なシルエットでもある肩の形状に細かいアレンジが施されていますが、頭部や胸部の形状はまさしく「イデオン」! 各部にクリアパーツが採用されています。
シンプルな形状の背中のパーツにも、アレンジされたディテールが入れられています。肘関節にも、メカメカしいディテールが入っています。
胸部の上面は、Bメカのフロントガラス部分にあたるので、クリアパーツが多数配置されています。
脇のスリット部分にも、イメージを崩すことのないようにアレンジされたディテールが入っています。
各部のイデのマークは、もちろんクリアパーツ。拳は「平手」「握り手」と交換して楽しむタイプ。
膝裏にも、肘関節と同様にメカメカしいディテールが施されています。このあたりを細かく塗り分けてみると、さらにメカらしさが引き立ちそうです。
脚部デザインには、思い切ったアレンジが施されています。脛や脚部内側面のグレーの部分はアニメ版にはなかった配色なのですが、アオシマオンラインショップ限定版ではこの部分の配色をアニメ版に近づけるためのボーナスランナーが付属していました。膝にある白い突起も、小さなパーツですが今回のアレンジの中で目をひくポイント。つま先にある斧のような形状パーツもイデオンの特徴。バッフ・クランの重機動メカを蹴っ飛ばすシーンや、波動ガンをソロシップから持ち上げる時、ここにひっかけてたりもしました。
膝は関節部のみならず、その両サイドにもダクトのようなディテールが入っています。
脚部外側の台形のディテールは、ミサイル発射口です。ふくらはぎのラインなどはアニメ劇中のイメージを強調した形状になっています。続いて可動範囲を見ていきましょう。
頭部はボールジョイント接続で、ご覧のように自由に可動。
肩のブロック部分は上に持ち上げることができるようになって、二の腕の可動を避けるようになっています。
腕を水平方向へ持ち上げる可動は、デザイン的にどうしても制限があるのですが、それでもここまで持ち上がります。回転可動はぐるりと360°の回転が可能。
またボディ側の肩の付け根に、前方へのスイング関節が仕込まれています。肩の接続部はボールジョイント接続なので、ここでも多少のスイングが可能です。
ボディにも関節が仕込まれており、胸の下で前後屈伸などの可動が可能。腰の軸接続でのひねりも可能です。
背中のブロックは、胴体を後ろにあおむけにそらせる時にじゃまにならないよう可動します。
肘は二重関節で前方に90°以上曲がり、構造的に後ろ側にも若干曲げられます。また上腕の下でロール回転が可能。
手首はボールジョイント接続なので、回転やスナップが可能。
股関節の開脚はここまで。一般人の開脚くらいでしょうか。
太ももと腰部の接続部の前後可動はこの程度ですが……
腰部のブロックを下にスライドさせることで……
ご覧のように、足を前後に大きく持ち上げることができるようになります。
太ももの上でロール回転も可能。
膝関節は二重関節で、かなり深く曲げることができます。
足首は、軸可動の組み合わせによる可動。
グレンキャノンは、説明書だといったん部品を取り外して反転させるように指示されていますが、分解せずともイデマークを回転させて展開することも可能です。
それではいくつかポーズを取らせてみましょう。
横たわっていた巨神が起き上がる!
イデオンといえば、この圧倒的巨大感。
空高く拳を突き上げる巨神。
殴る巨神。
腰部下のカバーを外せば、別売のスタンドなどに接続することのできるジョイント穴が。今回は手持ちのスタンドを使ってポージングさせてみました。
アニメのOP映像をはじめ、たまに見栄を切ることがありましたが、このようなポーズが決まるのもアクション重視のキットだからこそ。
重機動メカは、このように一蹴してしまうこともよくありました。
可動に制約の多そうなデザインであるにも関わらず、楽しいくらいポーズが決まります。
また各種武器も付属。イデオンソードは握りこぶしに乳白色のクリアパーツでできたソードパーツを被せる方式。
左右に広げようものならとんでもない横幅になります。
左右の端がどこまで伸びているのかというと、撮影スペースのバック紙なんか楽勝で飛び出す長さなのです。
真上に構える姿は神々しくも、恐ろしくもあります。
まさにどんなものでも(ちょっとした惑星さえも)真っ二つにしてしまう恐ろしい武器です。
波導ガンも付属。イデオン本体も大きいのでこちらもそれなりの大きさがありますが、パーツ分割はそれほど細かくないため、そう時間をかけずに組み立てることができます。
ターゲットサイトなのでしょうか。クリアパーツも使用されています。
銃口にも、ご覧のようなディテールが施されています。
裏面のディテールもしっかりと再現。底面のパネルを取り外せば、付属の台座を接続させるジョイントが出現。
スラスター部分は収納状態からパーツの差し替えで……
展開状態も再現可能。
波導ガン単体でも、宇宙船のように見えてきます。
それでは付属の台座に波導ガンを接続して、イデオンに持たせてみましょう。
イデオン側は、腹部のパーツをエネルギーチューブ接続用のものと交換。両手首も武器持ち手と交換しておきます。
手首に波導ガンを持たせて、エネルギーチューブをイデオンに接続すれば完成!! イデオンも波導ガンも大きいので、かなり迫力があります。
やはり巨大メカは、あおりで見るとさらに迫力が増します。
バッフ・クランもこんな銃口を向けられたらたまったもんじゃないですね! そしてイデオンの武装といえば、忘れられないのが全身のミサイル! まずは各部のミサイルハッチ部分を、「ハッチが開いた状態」のパーツと交換します。
そこへ、乳白色で成形されたミサイルとその軌跡の束パーツを取り付けていきます。
そしてあのポーズを取らせてやれば……
ミサイル全弾発射ポーズの再現のできあがり! アニメ本編を見たことがなくても、イデオンのこのポーズを見たことがあるという人もいるのではないでしょうか。それくらい印象に残るポーズですが、今回のキットではミサイルパーツを付属させることでそれを再現してくれています。ただしとても繊細なパーツなので、取り外しの際などの取り扱いには十分にご注意を。
全弾発射ポーズは実は全体像だけでなく、いろいろな角度から見ても楽しめますので、ぜひお試しください。
波導ガンを構えつつ、敵を迎撃する様子も再現できます。さらにディスプレイ場所に困っちゃうくらいの大迫力のシーンとなります。
また、バイザーパーツは3種類が付属。同じ金型でクリアグリーンのバイザーもボーナスパーツとして付属しますので、グリーンバイザーのイデオンを楽しむこともできます。
バイザーパーツの交換はフェイスパーツを取り外すことで可能。好みのシーンに合わせて組み合わせてみましょう。
さらに! 今回おまけに「ジョング」も付属! これがまたとても小さいのに、しっかり造形されているんです。脚も非常に細いので、取り扱いには注意しましょう。
イデオンとジョングの比較。ジョングが小さいのか、イデオンが大きいのか。
比較ということで、アニメ放映当時に青島文化教材社より発売していた「1/810イデオン」(左)との比較。旧キットは全塗装したものとなります。当時もこれだけでなく、分離変形も再現されたキットなど、複数のイデオンがラインアップされていました。
ちなみに「1/810イデオン」は「富野由悠季の世界展」の青森会場で展示していただいていたものです。このほかにも複数のメカの完成品を展示していたのですが、読者の中にご覧になられた方はいらっしゃいますでしょうか?
プラスひと手間で発掘直後を再現!
さて、ここでいつもの「プラスひと手間」となるわけですが、イデオンといえばやはり「発掘」という言葉がついて回りますよね。そこで今回も土や砂汚れを手軽に表現してみようと思います。
以前も紹介したことのあるファンデーションによるウェザリング表現ですが、今回は全身にクレオスのつや消しトップコートスプレーを吹いた後に、ファンデーションを塗りたくりました。つや消しを吹くことでプラのままよりも表面が荒れるので、ウェザリングがつきやすくなるのです。イデオンは巨大だし、キット自体も巨大だったので、思い切り汚してみました。
ファンデーションでウェザリングを施すのは手軽な半面、色が単調になってしまうのが難点。慣れてきたらさまざまなホビーメーカーから発売されている、いろいろなウェザリング用アイテムを試してみることをお勧めします。
一度は「ちょっとやりすぎたかな?」というくらいまで、ウェザリングを経験しておくのもアリです。今回のイデオンは、アレンジされたディテールも強調される形でウェザリングが生きているように見えます。
今回もあらゆるエッジに汚れが乗るように意識しながらウェザリングしました。ファンデーションの塊が少しディテールに埋まっても、「発掘」されたものだから多少はアリということにしています。
つま先の斧のような部分のエッジには、銀色でドライブラシをしてもよかったかもしれませんね。
足首のパーツは全身の中ではディテールが少なめなのでウェザリングを激しめに施してバランスをとりました。ここはもうちょっとやってもよかったかな~。
波導ガンも、イデオン同様にウェザリング。
宇宙で使われることが多かったメカなので、その辺を意識して、異なったウェザリングを施してみてもいいでしょう。
とにかく今回のキットは色分けもしっかりしているので、塗装をしなくても次の段階の手を加える作業に時間を割くことができます。むしろ住環境の都合などで、大がかりな塗装ができないという方もおられるでしょう。まさにそのような人たちにこそ、塗装を飛び越した次の段階である、「手間を入れる」ことに挑戦してみていただきたい、そう思えるキットでした。
「老舗模型メーカーのキットは難しい」と思っていた時期が僕にもありましたが、このイデオンは間違いなく組みやすいキットでした。
ガンバスター、パトレイバー、マクロス、イデオンなどなど、さまざまなキャラクターキットに精力的な青島文化教材社。次ははたしてどんなキットで私たちを驚かせてくれるのでしょうか。
今後のラインアップにも期待しております!
【製品情報】
■ACKS No.Dl-01 1/450 伝説巨神イデオン
・価格:10,780円(税込)
・発売中
・メーカー:青島文化教材社
・スケール:1/450
・サイズ:全高 約240mm
・素材:PS/ABS/PE
・仕様:シール不要の色分け成型、接着剤不要のスナップキット
・付属パーツ:ハンドパーツ4種、バイザーパーツ3種、イデオンソード、波導ガン、ミサイル発射エフェクト、同スケールの白兵戦用機動メカ「ジョング」1機
※本キットは分離及び合体はできません。
【泰勇気の出演情報】
・ NETFLIX海外ドラマ「Locke&Key」シーズン1、2配信中(タイラー役)
・ 橘猫工業「ハンドレッドエッジ」PVナレーション
・ YouTubeガンダムベースライブch川口名人のすいプラ」毎週水曜18時配信(アシスタント)
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