【プラモレビュー】「大河原邦男おもしろメカワールド オモロイド」ピ・ボットに挑戦! 伝説的デフォルメプラキットが新規金型で新生!
社会人ともなると忙しい毎日の中で積みプラが増えてしまいがち……。そんなあなたに代わって、ロボット&プラモデル大好き声優の泰勇気がプラモデル製作に挑戦するのが、この連載!
コンセプトは「忙しい社会人でも、週末の休みを使えばここまでできちゃうよ」。ルールは素組みで、1~2日の制作期間の2点のみ! この連載を読めば、きっとあなたの作ってみたいプラモデルと出会えるはずだ。
というわけで、「声優・泰勇気の週末プラモ!」第60回スタート!
第66回 「大河原邦男おもしろメカワールド オモロイド」ピ・ボット
1980年代のデフォルメメカ黎明期に、アニメやコミックの展開もなく、メーカーオリジナルのプラキットとして展開していた、あるシリーズを皆さんはご存じでしょうか。あの名メカデザイナー・大河原邦男さんの名前を冠したシリーズ「大河原邦男おもしろメカワールド オモロイド」の名を!
当初、日東科学から販売され、その後サニーにメーカーが変更。しばらくは海外でも生産・販売されていたのですが、日本国内ではほどなくして展開終了。再販も行われず、大河原邦男ファンとしては、喉から手が出るほど手に入れたいシリーズのひとつが「オモロイド」なのです。そのシリーズがなんと新進気鋭のメーカー・LEAPROより、なんと完全新規金型のキットとして新生しました!
こちらのインタビューもあわせてどうぞ!
⇒【第2弾初公開!】大河原邦男デザインのオリジナルプラモ「オモロイド」復活! プラモ大好き声優・泰勇気が、その険しい道のりをLEAPRO代表にインタビュー!
第1弾としてリリースされたのは「ピ・ボット」と「ダース・ボス」の2種類。それぞれポンタゴン軍とアクレムリン軍を代表する機体です。今後もシリーズ展開が予定されているということで、その期待も込めて、今回は「ポンタゴン軍可変艦上戦闘機カワラスF-1Aピ・ボット」をご紹介いたします。
パッケージイラストは当時のキャラクター設定なども担当されていた、ときた洸一さんによるもの。当時のパッケージイラストをリスペクトしてデザインされています。
パッケージ側面にはストーリーなども載っていますが、実はこれらの設定、掘れば掘るほど深いのでこちらでご紹介しきることができません! 公式による公開などを待ちましょう。
パッケージ内の底面には、当時のパッケージイラストをスキャンしてデジタル補正を施したイラストが印刷されています。たまたま手元に実際の当時のパッケージ(左)があったので並べて見ました。サイズも大きく、くっきり見られるようになったのが嬉しい!
ランナーは全部で4枚。パーツの配置は組み立てやすく工夫されています。クリアパーツもありますね。
組立説明書とシールも付属。シール枚数は多いように見えますが、これは「色分け、パーツ分割を細かくしてしまうと販売価格が上昇するとともに、組み立て工程も複雑になり、気軽に組み立てられるオモシロイキットではなくなってしまう」という思いがあったのではないかと思われます。
それでも当時のキットは1色のランナーだったので、パーツ精度と合わせて非常に進化したものとなっています。
さっそく組み立てところをお見せしよう……と思ったのですが、その前に、頭部パーツに気になることがあったのでご覧ください。
↑画像上段は顔の表面。下段はその内側になるのですが、ちょうど目にあたる部分の穴の内側に、「C」形のパーツがくるんですよね。はたしてこれは……?
さらに組み立てを進めていて面白かったのがこちら。ランディングギアの収納ギミックなのですが、なんと当時のキットと仕組みが全く同じ!
当時のキットが、いかによく考えられた商品であったかがよくわかります。このあたりのリスペクトも非常にいいですね。
シールを貼る前の状態で一度ご覧いただきましょう。ここまで1時間はかかりません。
ディテールがくっきりしていますね。どうしても挟み込みになってしまう部分は段落ちモールドにアレンジされています。
ちなみにこのモードを「バーチカルモード」と呼びます。
ウイングの溝などもきっちりしています。ディテールがはっきりしているので塗装派の方々も助かるのではないでしょうか。
クリアパーツの奥のくり抜きは笑顔の時の目のようにも見えますね。かわいい。
ではでは、シールを貼り付けましょう。
こちらが全てのシールを貼り付けて完成させた状態となります。シールには若干の伸縮性があるため、ディテールにそって圧着させることでシールの下の立体感を残したまま貼り付けることができます。
曲面のシールは多少慎重さが必要ですが、サイズはぴっちり合わせられています。
当時のキットでは表現できなかった、クリアパーツによる頭部のバイザーがやはりとてもいい。フェイス部分も、立体感を持たせた見た目になるように工夫された形状になっています。
ネジ止めなどの必要もなく、スムーズに組み立てることができます。可動部分がどうしても心配な場合は、スチロール系接着剤で接着してもいいでしょう。
色分け部分がちょうど段差になっているので、塗装の際、マスキングしやすそうですね。
背中には縦に2発のスラスターが見えます。飛行形態でなくてもある程度の姿勢制御や滑空、飛行ができそうですね。
翼端灯を市販のクリアパーツなどで再現してみても面白そうですね。
可動範囲です。
頭部は回転が可能です。ただし90°横向きにすると頭部が外れてしまいます。
肩は胴体から伸びるボールジョイントに接続。回転させて腕を上に上げることができます。
水平方向へは、デザインの都合で少し腕を広げられる程度。
ボールジョイントなので、肩は若干のスイングが可能。
肘は変形時の腕の伸縮ギミックの軸を生かした形ですが、こちらもデザインの都合で可動はこのくらい。
手首は軸接続なので回転が可能。
股関節もボールジョイント接続で、少ないパーツ数でさまざまな方向へ動かすことができます。
膝もがんばって曲げられるようになっています。
足首が結構動いてくれまして、引っぱり出せば前方に大きく動かせますし、足首自体の開閉も大きく可動します。各部ボールジョイントにすることによって、組立工程は少なく、それでいて最大限に動かせるようになっています。
左右への傾きは、このくらい。
格闘ポーズ。デフォルメメカですが、ポージングでそこそこ表情を付けることができます。
突き上げるようにパンチ!
対応している台座などはありませんが、本体を挟み込む台座のアームなどを使えば飛行状態でのポージングも可能です。
急降下からのフライングキック!
戦闘機形態より自由ではないでしょうが、主翼を広げれば飛行ポーズっぽく。
続いてはオモロイドの特徴のひとつ、変形を見ていきましょう!
手首を取り外し、腕を縮めます。
額のランディングギア、胸部ハッチの中のランディングギアを展開。
本体を倒します。
垂直尾翼を後方に展開。主翼も開きます。
後方。展開状態のスラスターを……
閉じれば変形完了です。
こちらは「アタッカーモード」といいます。デザイン的にランディングギアが比較的前方に集まっているため、組み立てた状態で正しく変形させると前輪が浮いてしまいます。解決する方法は大きく2つ。頭部の空洞におもりを入れて重心を少しでも前に寄せるか、写真のように機体後部の下に何かしらの台を入れる、という方法が考えられます。
ほんの数ミリ浮かせるだけなので、写真では市販の台座の板の部分を下に置いてあります。
横から見ると、デフォルメメカとはいえ、しっかり戦闘機に変形しています。
スラスターの中にもモールドが施されています。これも当時のキットではできなかったことのひとつですね。
前方から見たときにわかるのですが、主翼の端が下に下がっているのが特徴。
機体サイドのノズルを下に向けることもできます。垂直離陸可能な戦闘機「ハリアー」がモチーフなのかなあ、なんて思います。
上から見た姿は、まごうことなき戦闘機ですね。カラーリングがさわやかです。
機首のランディングを浮かさないために、脚部を写真のように地につけておくのもありですね。
航空機はやっぱり飛行状態がかっこいい! ちなみにこの機体(A型)は3機作られた量産試作機。1号機にはオーク・カワラス王子が搭乗。ほかの2機はズィーバーに撃墜され、タ・ペット(パイロットはロイス・シナモン)とウィンビー(パイロットはデュオ・ニクラウス)という機体に改装された、という設定があります。これだけでもう撃墜される前の2機も作りたくなりますよね!?
プラスひと手間
続いて、いつもの「プラスひと手間」なのですが、今回は組み立ての時に気になっていた頭部内側のパーツの活用法をご紹介!
実は先ほどの「C」型になっている部分、3mmの砲弾型LEDを固定することができるのです!
それではライトを点けて前から見てみましょう!
おおお! 取り付けるだけで、こんなに簡単に目を光らせることができちゃうんです!! お手軽でしょう!?
ほかにも工夫次第で使えそうなものもありそうです。
LEDの情報だけではいつもの「ひと手間」よりもボリュームが少ないかなと思ったので、もうひとつキットを用意して、全塗装で仕上げてみました(左)。ブルーのカラーリングは少し明るめにしてあります。
こうして並べてしまうと、右側の素組みとあまり差がないですね!
機首のブラックの部分やキャノピーは、さすがに塗装のほうが滑らかにみえますね。この部分くらいなら、水性塗料でちゃちゃっと塗ってあげるだけでもよいのではないでしょうか?
全塗装しただけではなく、背部のバーニア部分には市販パーツを埋め込みました。
さらに機体各部のマーキングは、実は旧キットのデカールをスキャンして、デカールとして改めて出力しました。そのため、大きさやバランスが元のデカールとは異なっています。
戦闘機形態でも見てください!
こうなると両軍のマークなど、さまざまな大きさのデカールなんかも欲しくなってきますね~。そのあたりは今後の展開に期待したいと思います。
機首の機関砲みたいな部分(おそらくAS-38レーザーガン)は、ピンバイスで穴をあけて真鍮パイプに置き換えてみました。
そのほかは無改造ですが、各パーツを、可動の妨げにならないように接着することで、より取り扱いやすくなった気がします。
お気づきでしょうか。機体後部が地面についていませんよね。
実は頭部の中に金属のジャンクをゴロゴロ突っ込んでおもりとし、なんとか機体後部を浮かせることに成功しました!
この時の頭部の総重量は37g。おもりを入れる際に、ご参照ください。
というわけで、30年以上の時を超えて不死鳥のようによみがえった「オモロイド」シリーズ。むしろ若い方々には新鮮に見えたりするのではないでしょうか。
また、今回初めて知ったという方も、大河原メカ好きなら惹かれないわけがありません!
設定に関しては掘れば掘るほど深く作られており、複数のキットを購入してバリエーション機を作りたくなってくるわけですが、実は第2弾としてこの「ピ・ボット」の戦略偵察機──全身が真っ黒な通称「ブラック・ビートル」がラインアップされております!
ブラック・ビートルについては、取り扱い説明書についている二次元バーコードから飛べるWeb説明書でちょっと見られたりします。
できることならこのシリーズ、当時のラインアップはもちろんのこと、ついに発売されることのなかったバリエーション機もどしどし発売していただきたいところ。
そのためにも、まずはこの「ピ・ボット」を使って量産機のB型を作ったり、エースパイロットの専用機を作ったりして楽しんでいきましょう!!
「オモロイドこそが、おもろいどーー!!!!」
【商品情報】
■オモロイド ピ・ボット
・発売中
・3,300円(税込)
・ブランド: LEAPRO
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