女の子だからって、なめんなよ! 爽快ガールズバトルアクション「熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2」レビュー
皆さんは「ベルトスクロールアクションゲーム」で遊んだことはあるだろうか。これは、次々と現れる敵を格闘系の技などで倒しながら、ベルト状のフィールドの先へ先へと進んでクリアを目指すタイプのアクションゲームである。「熱血硬派くにおくん」や「ファイナルファイト」など、名作と呼ばれるタイトルも多いジャンルだが、今回はそんな「新・熱血硬派くにおたちの挽歌」にインスパイアされたスピンオフ作品、「熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2」のレビューをお届けする。
なお、本レビューはSwitch版にてプレイしている。
伝説のアクションゲーム「くにおくん」シリーズのスピンオフ! 熱血硬派なのにポップでキュートな世界観!?
「熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2」(以下、リバーシティガールズ2)は、1986年に誕生した大人気ベルトスクロールアクションゲーム「熱血硬派くにおくん」シリーズのスピンオフ作品である「リバーシティガールズ」シリーズの第2作だ。ファミコンで一世風靡した「くにおくん」シリーズは、ファミコン世代のゲーマーならばプレイしたことがある方も多いだろう。未プレイの方でも、その名前くらいは知っているのではないだろうか。
本作は、前作「リバーシティガールズ」からパワーアップを遂げた続編となっている。ストーリー的には前作からの続きとなっているが、本作からプレイをしても問題なく楽しめる。
そんな「リバーシティガールズ」シリーズの最大の特徴と言えば、「くにおくん」シリーズに登場する女の子キャラクター、「ミサコ」と「キョウコ」が主人公となって大活躍するという点だろう。ちなみに、ミサコは「くにおくん」シリーズの主人公・くにおのガールフレンドであり、キョウコはくにおの好敵手である「りき」のガールフレンドである。そんな異色のガールズコンビを操作して、敵を蹴って殴って次々になぎ倒す爽快アクションを楽しめるというのが、「リバーシティガールズ」シリーズの大きな魅力となっている。
「くにおくん」シリーズと言えば、“熱血硬派”とその名にあるだけあって、男気あふれる硬派なイメージだが、「リバーシティガールズ」はその硬派なイメージから一変し、コミック調のキャラクターデザインや色鮮やかなドットで描かれたステージグラフィックなど、全体的にポップでかわいいトーンで構成されている。細かな部分ではあるが、ゲーム内のUIが、スマホやSNSをモチーフとした現代的でポップなデザインになっている点も見逃せないポイントだ。
主人公は最強Kawaiiガールズコンビ「ミサコ」と「キョウコ」! さらに、あの「くにお」と「りき」も使用可能!
前作「リバーシティガールズ」では、くにおとりきが何者かによって誘拐されたという事件から物語が始まった。2人を救い出すべく、ガールフレンドのミサコとキョウコが冒険に出たのだが、本作「リバーシティガールズ2」は、その後日談から新たに物語が始まる。くにおとりきを取り返すために2人がうっかり(?)ボコボコにしてしまったYAKUZAが復讐のために動きだしたのである。
先生がYAKUZAになって2人がいきなり退学処分にされたり、2人の暮らすリバーシティの様子がなんだかおかしくなってしまったりと、「くにおくん」シリーズらしいハチャメチャさとコミカルさが詰まった、先の読めないストーリーとなっている。
続いて、本作を彩るキャラクターを紹介しよう。
まずは、主人公のひとりである「ミサコ」。くにおのガールフレンドである彼女は、かわいいものが好きだが女の子っぽくふるまうのが大嫌いなので、ついつい感情表現が攻撃的になりがちな、主人公コンビのぶっこみ担当。くにおゆずりの強烈なパンチ技の数々と、天然なキョウコのツッコミ担当としてのコミカルなかけ合いも魅力的だ。
もうひとりの主人公である「キョウコ」は、ポニーテールが特徴的なイマドキのガールフレンド。かわいいものならなんでも大好きというキョウコは、子供の頃からミサコのことが大好きで、天然な発言でミサコを困らせたり怒らせたりすることもしばしば。バトルでは、身軽さを生かしたキック攻撃で敵を華麗になぎ倒していく。バトルにおいてもストーリー上の会話においても、ミサコとはまた違った魅力を放つキャラクターとなっている。
さらに、前作ではゲームクリア後に使えるようになっていた「くにお」と「りき」が、本作では最初からプレイアブルキャラクターとなっている点も見逃せないポイントだ。くにおとりきが使えるとなると、もはやそれは「熱血硬派くにおくん外伝」ではなく「本編」なのでは……という素朴な疑問はさておいて、曲がったことが大嫌いな正義の不良・くにおと、クールで面倒見がいいくにおのライバル・りきを操作できるというのは、往年の「くにおくんシリーズ」ファンなら思わずアツくなってしまうのではないだろうか。
キャラクターに関して触れておきたいポイントは、全キャラクターがフルボイスという点である。前作の「リバーシティガールズ」では、ボイスは英語のみとなっていたのだが、本作では待望の日本語ボイスが実装されており、ミサコ役を黒木ほの香、キョウコ役を諸星すみれなど、豪華声優陣が担当している。イベントシーンやバトルシーンをにぎやかに彩るボイスの数々は、「リバーシティガールズ2」の世界への没入感を高めてくれること請け合いだ。
コンボをつなげて敵を倒しまくれ! 爽快なアクションとじっくりやりこむRPG要素にハマる!
さて、ここからはバトルシステムまわりを紹介していこう。
本作は、広大なマップを行き来しながら、敵を倒して経験値やお金を稼ぎつつ、ストーリーを進めていくというベルトスクロールアクションゲームだ。経験値を一定までためるとキャラクターのレベルが上がってステータスが上昇し、新たな技を習得していくというレベル制が採用されており、RPGテイストの成長要素も楽しめる。
敵を倒して獲得したお金を使って、回復アイテムやアクセサリーなどを購入できる点もRPG的と言える。特にアクセサリーには、戦況を左右するようなユニークな効果が付いており、2つまで装着することが可能だ。さらに本作では、「奥義道場」なる場所でお金を使うことで、新しい攻撃技を習得することが可能となっている。「お金で技を買える」というのは、RPGとして見た場合でも、なかなかユニークなシステムだと思われる。経験値のみならずお金も強さに結びつくというのが、本作のゲーム的な面白さのひとつであると筆者は感じた。
バトルの基本的なコマンドは、ジャンプやダッシュ移動に加えて「通常攻撃」「ヘヴィ攻撃」「SP攻撃」「ガード」が存在する。隙が少なく連打でコンボ攻撃につなげることができる通常攻撃と、重たい一撃で大ダメージを与えられるヘヴィ攻撃を、状況に応じて使い分けるのが攻略のカギ。ガードでしっかり攻撃を防ぎつつ、通常攻撃で敵をひるませたのちにヘヴィ攻撃でダウンを狙い、ダウンした敵にさらに追い打ちをかける、といった戦い方が王道となってくる。また、ここぞというタイミングでSPゲージを消費して必殺技・SP攻撃を繰り出し、相手を一気に仕留めてしまうのも重要だ。このあたりのプレイ感は格闘ゲームに近く、思わず手に汗を握ってしまう。
今作からの新要素として「リフトオフコンボ」というものがある。これはコンボ中にジャンプボタンを押して敵を空中にふっとばすという攻撃だ。空中コンボは敵から妨げられにくく大ダメージを狙えるため、積極的に狙っていきたいところ。この「リフトオフコンボ」の登場によって、バトルは左右だけではなく上下にも展開するようになり、さらに激しさを増している。
また、武器を使った攻撃も、本作のバトルを語るうえでは欠かせない要素だ。プレイヤーは、バレーボールや釘バット、ゴミ箱、自転車、ベンチなど、フィールド内に落ちているさまざまなアイテムを拾って、武器にして攻撃することができる。バットなら敵を大きくはじき飛ばしたり、ゴミ箱やベンチなら大ダメージを与えたりと、武器ごとに効果や威力が異なる点も面白い。技とコンボが重要となる格闘ゲームテイストのバトルに、武器の要素が加わることで、一筋縄ではいかないハチャメチャな大乱闘を味わうことができるのが、本作の醍醐味と言えるだろう。
敵の中には、倒される寸前にこちらに命乞いをしてくる者が存在する、そのときに特定のボタンを押すことで、敵を「リクルート」して、助っ人にすることができる。助っ人は、助っ人ゲージがたまっていれば呼び出してアシスト攻撃を行ってくれる。なかには、お金を払うことで雇える用心棒も存在しており、費用はかかるものの強力な攻撃でサポートしてくれる。この助っ人のシステムもまた、武器と同じく、本作のバトルの「ハチャメチャさ」をアップさせている個性的な要素である。
提示されるメインクエストをこなして物語を進めていくというのが、基本的なゲームの流れだが、ゲームの本筋とは異なるサブクエストも多数存在する。サブクエストはクリアせずに進めることも可能だが、クリアすると経験値やお金、アクセサリーなど、進行に役立つ報酬をもらえるため、ゲームに詰まった際には積極的に寄り道してみるのもよいだろう。サブクエストの中には、通常のバトルとは異なるミニゲーム形式のものもあるので、ゲームのほどよいアクセントにもなっている印象だった。
ココがスゴい! 「熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2」の筆者的推しポイント
さて、ここからは、本作における「筆者的推しポイント」を紹介していこう。
1,マルチプレイのハチャメチャ感がたまらない!
「くにおくん」シリーズの醍醐味のひとつとして、「みんなで一緒に遊べる」という点があげられるが、本作「リバーシティガールズ2」も、そんな“くにおくんイズム”を継承し、マルチプレイに対応している。オフラインでは最大4人、オンラインでは最大2人でのマルチプレイが行えるので、多人数でワイワイ楽しむパーティーゲーム的な遊び方も可能。ファミコンのコントローラーを握りしめて兄弟や友人と一緒に遊んだ“あの頃”の気持ちを追体験することができるだろう。
また、マルチプレイをさらに盛り上げる(?)要素として、「同士討ち」が存在する。これはその名の通り、味方の攻撃でダメージを受けてしまうという、いわゆる「フレンドリーファイア」的なオプション。純粋な協力プレイをするのであればオフにするのがよいが、オンにして殴り合い蹴り合いアリの「くにおくん」らしいハチャメチャな大乱闘プレイを楽しむのもまた一興だろう。ただし、どれだけ白熱しても、ケンカはくれぐれもゲームの中だけにしておくように!
2、ぬるぬる動くドット絵とコミック調のカットシーンの、驚きのハイクオリティ!
ファミコンを代表するシリーズのひとつとも言える「くにおくんシリーズ」のスピンオフなだけあり、本作のドット絵は目を見張るものがある。人物はもちろん、アイテムなどの小物やステージの背景も、とにかく描き込みがすさまじく、さらにキャラクターたちはぬるぬると動く。レトロゲームテイストでありながら新しさを感じさせるハイクオリティなドットグラフィックは、一見の価値アリだ。
グラフィックと言えば、コミック調のカットシーンも本作を語るうえでは欠かせない。これはストーリー進行の要所で挟まれる演出で、アメリカンコミックをイメージとさせるようなキュートでクールなビジュアルで物語を盛り上げてくれるものだ。レトロゲームテイストの美麗なドット絵に加えて、こちらのコミックスタイルのストーリー演出も必見のクオリティとなっている。
「熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2」は唯一無二の世界観と爽快なアクションが魅力!
というわけで、「熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2」のレビューをお届けした。
ミサコとキョウコという個性あふれるキュートな主人公2人組、硬派なのにポップというとがった世界観、そして爽快感のあるアクション要素とRPG風の成長要素が加わって、唯一無二の作品に仕上がっている「リバーシティガールズ2」。くにおくんシリーズファンの方はもちろん、くにおくんシリーズに触れたことがないという方でもぜひプレイしていただきたいオススメのタイトルだ。
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