劇場版「グリッドマンユニバース」公開記念！ダイナゼノンチームとグリッドマンチームの熱量が化学反応!? 榎木淳弥（麻中蓬役）×梅原裕一郎（山中暦）インタビュー

「SSSS.GRIDMAN」と「SSSS.DYNAZENON」のキャラクター、世界観が奇跡のクロスオーバーをする完全オリジナル劇場最新作「グリッドマンユニバース」が2023年3月24日に公開された。

未知のストーリーが展開する「グリッドマンユニバース」公開を記念して、「SSSS.DYNAZENON」チームから麻中蓬（よもぎ）役の榎木淳弥さん、山中暦役の梅原裕一郎さんに、本作の見どころ、魅力を語っていただいた。

やっぱり成長していなかった山中暦

ーー「グリッドマンユニバース」の制作決定の第一報を聞いたときの率直な感想を教えてください。

梅原　「SSSS.DYNAZENON」のアフレコが終わるあたりで、何らかの形で「SSSS.GRIDMAN」と「SSSS.DYNAZENON」が合わさった物語を描くかもしれないという話は聞いていたんです。それがいつになるのか、どんな話になるのかはわからない状態だったのですが、また暦を演じられるのは、嬉しいなという気持ちと、2つの世界がどういう形で合わさるのかというのが、すごく気になっていました。

榎木　個々の作品で、物語がきれいに終わっていたので、それ以上何を描くんだろう？　ストーリーを考えるのは難しそうだなと思いましたが、僕も単純に、またこのみんなと作品作りができて嬉しいなという気持ちはありました。

麻中蓬（よもぎ）役・榎木淳弥さん

ーーこれは振り返りになるのですが、「SSSS.DYNAZENON」で1クールを通じて蓬と暦を演じてみて、こういうキャラだったなという気づき、発見がありましたら教えてください。

榎木　蓬ってどうだったんだろうなぁ。「SSSS.DYNAZENON」の最後で蓬と南夢芽（CV.若山詩音）は付き合うことになって、その関係性は「グリッドマンユニバース」にも持ちこまれているんですよね。でも、自分の演じるキャラクターに対して、こういうキャラだとはあまり考えたことがないから、どう言ったらいいんだろうな。全体的にあまり変わらなかった印象もあるんですけど、わりと尻に敷かれている感じだったなぁとは思っています（笑）。

梅原　暦という人間をわかりやすく言ってしまえば、ニートですね（笑）。ニートの状態で始まったので、物語が進むにつれて、何かしらのきっかけがあって成長するんだろうなと思っていたんです。でも、「SSSS.DYNAZENON」の第1回の収録のときに雨宮哲監督から「暦は成長しません」と説明を受けて（笑）。

まぁ、ひとりくらい成長しないキャラがいても面白いかなとは思ったんですけど、12話通して見ると、暦も暦で、過去のことで悩んでいたり、今の自分の状態にグズグズしている部分が吹っ切れて、それこそ最終回では就活をしている描写もあったので「なんだ、成長したじゃん！　途中で監督も考えが変わったのかな」と思って、今回の劇場版の台本を見たら、やっぱり成長していなかったんですよね……。

髪も伸び始めているし、それがすごく安心というか。年齢的には、「SSSS.DYNAZENON」で最年長なんですけど、それなのに頼りがいがないところも、すごく面白い個性だなと思っています。

山中暦役・梅原裕一郎さん

ーー榎木さんがおっしゃる通り、人間ってそんな劇的に変わらないというか。ベースの部分ってあまり変わらないことが、作品通して描かれていたところはありますよね（笑）。

榎木　そうだと思います。

ーーでは、お互いに演じるキャラクターをどう見ていましたか？

榎木　梅原くんって、誰もが認めるイケボだと思うんですけど、それでああいうキャラをやるっていうのが面白いのかなと思いました。あの見た目でなよなよした声だと、予想通りだけど、低音が効いた声でしゃべり出したり、「お母さん」って言ったり、ちょっと情けないことを言うのがいいなって思いました。絶対言わなそうですもんね。「母さん」って言ったことある？

梅原　あるよ！（笑）　逆に何て呼ぶんだよ。

榎木　おい。とか

梅原　おふくろとかね。榎木くんは僕より年上なんですけど、若い少年の不安定な感じを表現できるのは本当にすごいなと思っています。「SSSS.DYNAZENON」でも、等身大の人が演じているかのような違和感のなさなんですよね。そこは本当に僕にはできないことなので、勉強……いや、自分に生かせないから勉強にはならないですね、こういう役もそもそも来ないですから（笑）。だからすごいなと思っていました。あとはやっぱり「SSSS.DYNAZENON」のキャストが決まって、主役の蓬を榎木くんが演じると聞いて、「ああ、こういう芝居感で行ったほうがいい作品なんだな」って、なんとなく把握しました。アニメーション的なお芝居というよりは、肩の力を抜いて自然にやったほうが作品の世界観には合うんだろうなって。

ーー特撮がベースにある作品ですけど、会話が自然な感じなのは特徴だと思っていました。そのあたりも、雨宮監督のこだわりが強いのでしょうか？

榎木　細かな会話を見ると感性が若いというか。学生の恋愛とかすれ違うさまを描いたりするところは、こだわられているのかは実際に聞いていないからわからないですけど、僕はすごいなって思っていました。

ーーナイーブな感じでしたよね。

榎木　そうでしたね。ナイーブな方なんだろうなって感じますし。

梅原　やっぱり台本を読んでいて思うのは、会話の違和感のなさなんですよね。本当にどこかでされている会話をそのまま切り取ってきたかのような自然さなんです。どうしてもアニメーションだと説明っぽくなってしまったり、普段の会話とは違うことが多いんです。もちろんそこがよかったりもするんですけど、この作品はセリフ回しがめちゃめちゃ自然で余白があるので、我々演者が自由にできる部分っていうのは多々ありました。

監督はおそらく芝居に対してもこだわりが強いと思うのですが、最終的には役者に託してくださるんです。だからこそこちらも責任を感じるというか。がんばらなければという気持ちになりました。当然いろいろ考えてらっしゃるんでしょうけど、それを押し付けてこないですし、ひたすら頭を下げているよね？

榎木　そうだね。すごく感謝をしてくださるんですよね。

梅原　なので、すごくやりやすかったんです。

ーー特撮的なアクションが見どころな作品ですけど、そういう人と人とのやり取りとかが本当に面白かったです。

梅原　本当にそれは思います。

ーーちなみに、特撮作品への思い出はあったりしますか？

榎木　実は特撮のほうは、全然通ってこなかったんです。アニメとかは割と見ていたんですけど。

ーーきっと特撮ファンの熱は、感じられたのではないかなと思いまして。

榎木　それは感じていました。業界にも特撮ファンの方は多いですし、それこそ40～50歳になっても、子供の頃からずっと好きという思いが変わらない方が多いので、それだけ虜にさせる魅力があるんだろうなって思います。

梅原　僕は、確か幼稚園の頃に「忍者戦隊カクレンジャー」と「超力戦隊オーレンジャー」を見ていた気がします。おもちゃ付きのお菓子をおばあちゃんに買ってもらっていた記憶がありますし。あと「ゴジラ」は好きでしたね。いろんなシリーズを見てきました。

榎木　あ、僕も「ゴジラ」は見ていました。そう言われたら、「ゴジラ」も特撮ですよね。

技全部乗せのアクションシーンが見どころ！

ーー現在「劇場総集編 SSSS.DYNAZENON」が公開されていますが、TVシリーズの印象に残っているシーンを教えてください。

榎木　最初のほうで、敵を宇宙まで持っていって倒すシーンのアクションは好きで（※TVアニメ第3回のエピソード）、ロボットなんですけど、動きがなめらかで、カッコいいなって思いました。あと、必殺技で口から火を吐いたりする（※「必暁大火炎レックスロアー」のこと）のは、男の子は好きだろうなって思いながら見ていました。

梅原　暦的には、稲本さん（CV.伊瀬茉莉也）とのやり取りですかね。劇場版では描かれていないかと思うんですが、そこは暦のいくじのなさとかが表れていましたし、その後ムジナ（CV.諏訪彩花）となぜか居酒屋で飲んで、飲んだくれて、グチグチ言っている暦も全然カッコよくない、しょーもない人間だなっていうところが逆に愛らしい。そこに生々しさも感じてすごく印象に残っています。（※TVアニメ第6回のエピソード）

ーーあそこは情けなかったですね（笑）。では、新作「グリッドマンユニバース」の見どころを教えてください。

榎木　まだあまり詳しくは言えないんですけど、バトルシーンは劇場版でも多くて、グリッドマンとダイナゼノンが一緒に戦うと思うし、技全部乗せ！みたいなアクションシーンになると思うので、それは期待してほしいと思っています。大スクリーンのほうが音響的にもいいと思うので。

梅原　同じくみんなで戦うシーンですね。ダイナゼノンチームもグリッドマンチームも、アフレコでは入れ替わりで（コロナ禍のため、新作は分散で収録）やっていったんですけど、「SSSS.DYNAZENON」って合体して戦うから、バトル中に合わせセリフが多かったんです。その熱量を見て、グリッドマンチームが「俺らも負けてられないからリテイクしていいですか」みたいなことがありました。少人数とは言え、一緒に録ることによって、そういう化学反応が生まれたりしたので、そのあたりの熱量は、劇場で見ても爽快感があっていいんじゃないかなと思っています。

ーーそれはすごく面白いですね。作品の色が違うところもあるんですね。

梅原　「SSSS.DYNAZENON」って、今の若者らしいテンションの低さがあるというか。普段のときのダウナーな感じが色なのかなって思いました。テンションが同じだから、会話もまとまっているなって感じがします。「SSSS.GRIDMAN」のほうは本当に個性の塊で、それぞれテンションも違えば、口調も違うんです。その個性がぶつかりそうだけど、意外とまとまっているというのがグリッドマンチームの特徴なのかなって思います。

榎木　あと、「SSSS.GRIDMAN」って、役者さん同士の結束力があるんですよ。コロナ禍前の作品なので、毎週飲み会を開いていたみたいなんです。響裕太役の広瀬裕也くんがすごくいじられていて、それでみんなひとつになっている感じなんです。「SSSS.DYNAZENON」は、わりとおのおの我関せずみたいな（笑）。

梅原　あははは。言い方悪いな（笑）。

榎木　でも、そうじゃない？　独立しているタイプが多くて。仲が悪いとかではなく、ご飯も何気に行ったりしたし。

梅原　前、行ったね！　行ったわ。

榎木　だから仲はいいんですけど、おのおの自由にやって、集まるとき集まればいいよね、みたいな空気感が楽でよかったです。

ーーコロナ禍だから、アフレコ中は行けなかったんですね。

榎木　収録中は行っていないですね。

梅原　行ってなかったね。

榎木　でも多分、コロナ禍じゃなくても行ってなかったと思う（笑）。

梅原　わかんないよ～！まぁ、行かない筆頭だけど。

榎木　だからこの前は、よく来てくれたよ（笑）。

ーーぜひ、グリッドマンチームと打ち上げをしてきてください（笑）。ありがとうございました。