話題の春アニメ「地獄楽」4/1(土)放送スタート！ 山田浅ェ門佐切役・花守ゆみりインタビュー「みんなの生き様、死に様がすごくいい作品です」

集英社の漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」で連載され、人気を博した「地獄楽（ジゴクラク）」（作：賀来ゆうじ）がアニメ化。2023年4月1日(土)より放送・配信をスタートする。

抜け忍としてとらわれた死罪人の画眉丸（CV.小林千晃）と、打ち首執行人の山田浅ェ門佐切（CV.花守ゆみり）が、持ち帰れば無罪放免となる「不老不死の仙薬」を求め、極楽浄土と噂される島へ向かうというストーリーの本作。画眉丸たちは、そこに潜む未知の生物や島を統べる仙人たちと相対することになるのだが……。

今回、執行人として人を殺めることの業に悩みながらも、画眉丸の監視役として島へ向かった”佐切”を演じる花守ゆみりさんに、作品の魅力、そしてアフレコ現場の様子を語ってもらった。

後悔や執念を、長い時間をかけて描く

──PV映像からしてものすごい迫力の本作ですが、実際に映像を観た感想を教えてください。

花守　画眉丸を捉えた牢のカットから、極彩色の花が咲き乱れる船の描写。抑えたトーンから一気に色が増したときの美しさと気持ち悪さ！　この短いPVの中に「地獄楽」の魅力である「相反するもの」というのが詰め込まれているなと思いました。

それとこの作品には心の葛藤も多いんですけど、戦闘シーンがとにかく多いんです。特にお花と血が飛び交うシーンが印象的なので、きっと完成した本編の映像もすごいことになると思います。

──原作コミックを読まれた印象は？

花守　最初はオーディションのときに読ませていただいたのですが、原作コミックの絵もきれいで、見ていると心がえぐられてしまいました。というのも、自分の演じるキャラを中心に見ていると、彼女と近しいキャラクターの死があっけなく、残酷に描写されたりするんです。この人にも物語があったのだろうっていうキャラが、次のコマでは一瞬にしていなくなったりするのが当たり前の作品なので、そのショックに耐性をつけるために、収録前に現場で一度読みなおしたりしていました。

──実際、「死」ってそういうあっけないものなんだろうなと思います。

花守　キャラが死ぬシーンは、無駄に長くしない作品なんですよね。きれいなものにもしないで、その一瞬だけを見せるというこだわりを感じました。だからこそ、そのキャラの後悔や執念を長い時間をかけて描くという作品で、そのバランスに「これが少年漫画なんだ!?」と驚きました。殺って殺られて、誰が残るんだろうという感じなのかと思いきや、心の弱さや強さの話になっていくので、すごい作品だと思います。

──オーディションでは、最初から佐切を受けたのですか？

花守　はい。指名で佐切を受けてくださいと言われました。だから自分の中では「佐切なんだ！」って意外に思ったんです。私なら杠さんやヌルガイさんのほうがまわってくるような気もしたので、「大丈夫かな？」「こんなに私真面目かな？」って思いました。でも、逆にそうやって思い悩んだのがよかったのかもしれません。

──迷いや悩みを抱えて生きているのが、佐切ですからね。

花守　本当に佐切は正しい子なので、正しく悩んで、正しくぶち当たって成長していく子なんです。だから、どうしたら彼女らしさを演じられるのか、という思いは、オーディションの段階からありました。

カッコいいし強いけど、弱いから、それをどう声に落としてあげられるのかなって、ずっと悩んでいましたね。どこまで堅くしゃべるのか、どこまで少女然としているのか、その答えはオーディションでは見つけられなかったので、ダメだな～とは思っていたんですよね。でも、それがよかったのかもしれない（笑）。

──なぜ選ばれたのかは、スタッフの方に聞かないとわからないですよね。


花守　数多くの登場人物たちの中でも、彼女は人間らしく悩んで変化していくキャラなんです。だから極楽浄土とされる島「神仙郷」に入ってからのほうが、「怖い」とか「気持ち悪い」とか「どうしたらいいの！」って感情になるので、生きている人間の感覚に近くなると思います。その感情が私たちに近いからこそ、彼女の「強さ」をどこから表現すればいいのかということを、アフレコ現場で監督や音響監督とずっとやり取りさせていただきました。怖がり過ぎないようにしたかったので。

──オーディションで答えが出せなかったものを、現場で話しながら作りあげていく感じだったのですね。

花守　テストテイクで自分が思う佐切を持っていき、本番前にディレクションをもらって、本番でその中間地点くらいでお芝居をしたところ、OKをいただけたので、それも佐切ちゃんっぽいなと思いました。

──PVや第1話だと抑揚もあまり付けない感じで話している印象だったのですが。

花守　序盤は心が見えないほうが強く見えるので、そこは見せないようにしていました。打ち首執行人として、ちゃんと画眉丸を斬ろうとしていましたし。でも話が進むと、精神的にもすり減っていくのでゆらぎが見えてくるんです。で、モノローグではすごく考え込んでしまっていたりするので、そのグラデーションはあったほうがいいなと。彼女の揺れ幅を見ながら演じさせていただきました。

見どころはキャラの濃さと戦闘シーン！

──第1話では、ほとんど画眉丸との会話劇になりましたが、かけ合いはいかがでしたか？

花守　死罪人である画眉丸の調書を取っていましたけど、お互いに感情を見せないから静かな場面が続くんですよね。その中で画眉丸にだんだん火が付いてくるというのが第1話です。改めて（画眉丸役の）小林千晃くんの声が乗ると、画眉丸の覚悟が伝わってきて、カッコよかったです。

──2人で一緒に収録できたのですか？

花守　画眉丸と佐切がいるシーンは、小林くんとご一緒できました。逆にキャラクターが離れたりすると全然かけ合いがなくなってしまうのですが、基本は一緒にかけ合えていました。小林くんが、座長としても本当にどっしりとしていてくれるので、こちらも安心して佐切として悩むことができました。

──小林さん演じる画眉丸はいかがでしたか？

花守　テストの時の画眉丸も繊細で、あまり声を出さないところに機微があって好きだったんですけど、ディレクションが入ることで、そこにちゃんと声も乗って、張れるところは張って、暴れるところは暴れているんですよね。画眉丸って、こんなにいろんな顔ができるんだ！って、第1話の時点でビリビリ画眉丸を浴びることができたんです。小林さんが演じる画眉丸は、どの感情にも行けていたので、この先どんな表情を見せてくれるのか、楽しみになりました。それに佐切が画眉丸の存在をすごく気になってしまうというのも、よくわかりました。

──かけ合いのシーンで引き出されるものは大きいですか。

花守　画眉丸って芯があって、自分のペースで話すから、佐切がどんなにペースを乱そうとも「俺は違う」って感じなので、序盤は言葉が相手に響かないからこそ、「どうしよう！」っていう気持ちにはなれました。だから本当に安心して背中をあずけていますね。

──画眉丸に言った「叶います」はすごくよかったです。

花守　ありがとうございます。そのシーンはすごく練習したのを思い出しました（笑）。オーディションのときに原作を読んで、「ここは見せ場だ！　どうしよう」って思ったんです。だからアフレコ前はお風呂場でずっと練習していました。「叶います」のあとに、「これは幕府発給の“公儀御免状”……」というセリフが続くんですけど、覚えるまでずっと練習していたんです。

──それはどういうことを練習しているのですか？　どう言おうか、とか？

花守　どう言うかは、現場で相手の声を聞くと変わっちゃうんです。それよりは、口なじみがない言葉が多いので、佐切として言葉を発するとき、その言葉が自然と出てくるようにしたいんです。だから口ならしをする感じですよね。

本当に「地獄楽」は言葉が難しいので、「仙薬」はどういうイントネーションだろうとか、「神仙郷（しんせんきょう）」とか「極楽浄土」も聞いたことはあるけど、あまり口に出さない用語なので、どう話せばいいだろうかと考えました。佐切は堅い言い回しをするので、そういう言い方でもちゃんと相手に“かけられる”ようになっているといいなって思うんです。

──そのために普段から口にしているくらい自然に言葉が出るようにしていくんですね。すごく納得できました。

花守　佐切は相手によって変化する子だから、画眉丸と話しているときと、杠（CV.高橋李依）や仙汰（CV.山下大輝）の時とでは声色も違うんですよ。あと兄弟子と話しているときは、佐切は下の子の立場で話していたりするので、そういうところも個人的にはいいなって思っています。それは第2話あたりで見られると思うので、楽しみにしていてください。

──個性的なキャラクターが多い作品ですが、特に注目してほしいポイントはありますか。

花守　キャラクターたちはみんな濃くて、戦闘シーンもキャラが立っているので面白いと思います。罪人はそれぞれ武器も違うし、佐切たち山田浅ェ門の面々は打ち首執行するときの刀の振り方がそれぞれ異なるので、そこも見てほしいですね。

──画眉丸も動きまくりそうですね。

花守　画眉丸はとにかく炎に包まれることが多いので、それもすごい描写になっていると思います！　

──とにかく映像を見て、そのすごさに衝撃を受けたい気持ちです。

花守　この作品は設定資料がとにかく充実していて細かいんです。だからこそ、「こうやって動くのか！」って想像できるんですよね。原作を読んでらっしゃる方にも、喜んでいただけるカッコいい映像になっていると思いますし、みんなの生き様、死に様がすごくいい作品ですので、アニメで本作に初めて触れるという方もぜひ最後まで見てください！



（取材・文／塚越淳一）

【作品情報】
■TVアニメ「地獄楽」

＜放送情報＞
4月1日より：テレビ東京系列ほかにて毎週（土）23時～
4月4日より：AT-Xにて毎週（火）21時～
（リピート放送：毎週木曜9時／毎週月曜15時）
4月13日より：テレビ和歌山にて毎週（木）24時5分～
4月20日より：テレビユー福島(TUF・TBS系)にて毎週（木）25時28分～

＜配信情報＞
Prime Video、NETFLIX、ひかりＴＶ／Leminoにて毎週土曜24時～配信
※Leminoは2023/4/12サービス開始。ひかりＴＶ会員はLeminoで引き続き視聴可能。

＜スタッフ＞
原作：賀来ゆうじ『地獄楽』（集英社 ジャンプ コミックス刊）
監督：牧田佳織
シリーズ構成：金田一明
キャラクターデザイン：久木晃嗣
音楽：出羽良彰
アニメーションプロデューサー：川越恒
制作：MAPPA
企画：ツインエンジン
原作協力：少年ジャンプ＋編集部

オープニングテーマ：「Ｗ●ＲＫ」 ｍillennium parade × 椎名林檎（ソニー・ミュージックレーベルズ）

＜キャスト＞

画眉丸：小林千晃
山田浅ェ門佐切：花守ゆみり
亜左弔兵衛：木村良平
山田浅ェ門桐馬：小野賢章
杠：高橋李依
山田浅ェ門士遠：小林親弘
山田浅ェ門典坐：小林裕介
ヌルガイ：小市眞琴
民谷巌鉄斎：稲田徹
山田浅ェ門付知：市川蒼
山田浅ェ門仙汰：山下大輝
ほか

＜あらすじ＞
時は江戸時代末期。
抜け忍として囚われ死罪人となった元・石隠れ最強の忍“画眉丸”は、
極楽浄土と噂される島から「不老不死の仙薬」を持ち帰れば無罪放免となれることを告げられる。
画眉丸は最愛の妻と再会するため、打ち首執行人“山田浅ェ門佐切”とともに仙薬があるという島へ向かうことに。
島に上陸した画眉丸と佐切に立ち塞がったのは、同じく仙薬を求める死罪人たち。
そして、島に潜む未知の生物、人工的で不気味な石像、島を統べる仙人たち……
謎多き島で、果たして画眉丸は仙薬を見つけ出し、生きて帰ることが出来るのか——!?

【原作情報】
2018年より「ジャンプ＋」にて連載、2021年1月に堂々完結。
▼発売中
コミックス「地獄楽」全13巻
公式ファンブック「地獄楽 解体新書」
公式ノベライズ「地獄楽 うたかたの夢」