アニメライターが選ぶ、2019年夏アニメ注目の5作品を紹介!【アニメコラム】
2019年夏の新作アニメは、アキバ総研調べで40本以上。その中から注目作品を紹介します。「Fate」シリーズのスピンアウト小説が原作の「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」、女子高生の肉体改造コメディー「ダンベル何キロ持てる?」、母親がヒロインの「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作の「ヴィンランド・サガ」、「週刊少年ジャンプ」連載の「Dr.STONE」をピックアップしました。
ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-
「Fate/Zero」から10年後の世界を描いた魔術ミステリーをアニメ化。主人公はライダーのマスターとして第四次聖杯戦争を戦い抜いたウェイバー・ベルベット。現在はロード・エルメロイII世として魔術協会の講師を務める彼が、優秀な教え子たちと不可思議な事件に立ち向かっていく。
2018年大晦日の「Fate」シリーズ特番では事前告知なしで第0話をオンエア。魔術の腕は二流ながら圧倒的な知識を誇るエルメロイII世の活躍だけでなく、少年だった頃を思い起こさせるコミカルな一面も描かれた。イギリスへのロケハンも行っており、学び舎である時計塔の美しさにも目を奪われる出来映えだ。TVアニメシリーズでは前半がオリジナルストーリー、後半は人気エピソード「魔眼蒐集列車(レール・ツェッペリン)」を映像化する。
食べることが大好きで太り気味になってしまった女子高生・紗倉ひびきが、美しいスタイルを手に入れるためトレーニングジムの門を叩くダイエットコメディ。超お嬢様の生徒会長だが筋肉フェチの奏流院朱美など、個性的なジム仲間と一緒に肉体改造に励む。
アニメーション制作は動画工房が担当。2018年放送の「うちのメイドがウザすぎる!」では筋肉ムキムキの元自衛官メイドという異色キャラが登場したが、本作でもその肉体美は健在。PVではさまざまなタイプの筋肉はもちろん、ひびきの少しだらしのない体型まで肉感的に表現されている。洋画で筋肉質な男たちを吹き替えてきた玄田哲章がナレーションを務めるなど、キャスティングの妙も光る。
原作はメインヒロインが母親ということで注目を浴びた第29回ファンタジア大賞の大賞受賞作。憧れのゲーム世界にやってきた大好真人(おおすきまさと)と、なぜか一緒に付いてきてしまったお母さん・大好真々子(おおすきままこ)、親子2人の大冒険を描く。真々子は高校生の息子を「マー君」と呼ぶほどの溺愛っぷりで、母なる大地という言葉がふさわしい包容力の持ち主。ゲームではチート級のスキルを発揮し、勇者である真人以上の活躍を見せる。
真々子役は茅野愛衣が担当。キャラクター別PVでは1人称が「お母さん」である真々子の魅力が炸裂しており、その甘い声色を聞いていると何だか気恥ずかしくなってしまう。25秒で4回も「お母さん」と言っているのもポイント。母性に飢えたアニメファン必見の1作だ。
「プラネテス」でデビューしたマンガ家・幸村誠の同名コミックが原作。11世紀初頭に世界を席巻した海賊・ヴァイキングが題材であり、幻の大陸・ヴィンランドを目指すトルフィンの生き様を描く。第1弾キービジュアルはヴァイキング船の優雅な船尾が迫力満点。アイスランド大使館で先行上映会が開かれており、北欧文化を知ることができるという点でも興味深い作品になるだろう
制作は「進撃の巨人」のWIT STUDIOが担当。PVのアクションシーンには幅広の剣を力強く振るうトルフィンの父・トールズも登場し、ダイナミックなバトルが見どころだ。初回は3話連続放送が決定しており、ハードな叙事詩を一気に堪能したい。
全人類が一瞬で石になってしまった世界を舞台に、主人公・石神千空が科学の力を駆使して文明を取り戻すSFアドベンチャー。千空が石化から目覚めた西暦5738年は荒廃しきっており、PVには植物が生い茂った地球の様子が描かれている。そんな絶望的な状況の中、千空は持てる知識をフル回転させて、石鹸をはじめとする文明社会に必要不可欠なアイテムを作り出していく。「石器時代から現代文明まで、科学史200万年を駆け上がる!」というキャッチコピーも刺激的で、次はどんな発明品を生み出すのか楽しみだ。
YouTubeでは科学バラエティ番組「Dr.STONE科学部」を先行配信中。科学ロボット・メカ千空がアイスを作ったり、ドローンを動かしたりと、シュールでコミカルな内容となっている。
(文・高橋克則)
(C) 三田誠・TYPE-MOON / LEMPC
(C) 2019 サンドロビッチ・ヤバ子,MAAM・小学館/シルバーマンジム
(C) 2019 井中だちま・飯田ぽち。/株式会社KADOKAWA/お母さんは好きですか?製作委員会
(C) 幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会
(C) 米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会
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