冬を彩るアコースティックサウンドでほっこり! キャストによる朗読劇も披露の「ゆるキャン△音楽会2019」レポート!

木枯らしが吹き始め寒さも厳しくなってきた昨今、「キャンプにうってつけの時期だ!」とせっせとキャンプ道具を準備している方も多いのではないだろうか? そんな風に我々に“冬=キャンプ”という発想をインストールしてくれたのが、そう!「ゆるキャン△」である。あfろ先生によるマンガ原作の本作は、2018年1月期にTVアニメ化され、そのていねいなアウトドア描写や山々の壮大な風景、キャラクターのかわいらしさなどで話題を呼び、2020年1月からはショートアニメ「へやキャン△」や実写ドラマ「ゆるキャン△」が放送予定と、今もなお人気を博している。

去る2019年11月24日(日)、そんな「ゆるキャン△」の音楽を存分に楽しめる「ゆるキャン△音楽会2019」がLINE CUBE SHIBUYA(新・渋谷公会堂)にて開催された。それでは、2018年11月に山梨県身延町で開かれた「秘密結社ブランケット音楽祭」以来となる「ゆるキャン△」音楽イベントの模様をレポートしていこう。

「ゆるキャン△音楽会2019」は、各務原なでしこ(CV:花守ゆみり)、大垣千明(CV:原紗友里)、犬山あおい(CV:豊崎愛生)の野クルメンバーによるボイスドラマで幕を開けた。クリスマス前ということで、TVアニメのラストエピソードとなったクリスマスキャンプの思い出に浸る野クルの面々。アウトドア雑誌を見ながら、新しいテントやキャンプでの食べ物に思いをはせると、”食欲の秋””読書の秋”に続いて"芸術の秋"ということで、千明が商店街の福引きで当たった音楽会に行くことに。

そして、志摩リン(CV:東山奈央)も合流し、4人はアコースティックバンドによる音楽会へと向かうのだった。なお、クリスマスキャンプに参加した斉藤恵那は、今回愛犬のちくわをどこかに連れて行くため、欠席とのこと。実際の舞台背景には大きな富士山のパネルがあり、千明が「(富士山が)東京からでもこんなに大きく見えるんだなぁ」と言うと、あおいが「うっすら見えてる山は、渋谷富士って言うんやで」と付け加える。なでしこが感心をしていると、すかさず「嘘やで〜」(あおい)というおなじみのやり取りもあり、会場は笑い声に包まれていた。

花守ゆみりさん

注意事項なども会話劇の中で伝えられた後、いよいよ音楽会は開演。アニメ「ゆるキャン△」で音楽を担当した立山秋航さん率いる「ゆるキャン△アコースティックバンド」がウッドデッキ風に設えられたステージに登壇し、万雷の拍手で迎えられる。全員がアウトドアスタイルに身を包み、それぞれが種々多様な楽器を抱える様は、室内にありながらも”野外音楽会”といった様相だ。そして、第1話の舞台よろしく「キャンプ場のテーマ〜本栖湖〜」の演奏が始まった。ギターやウッドベース、バイオリンにピアニカらの音色が重なると、朝焼けから夕焼けを彷彿とさせるようなライティング演出も相まって、観客たちは自然と山へと誘われていく。

東山奈央さん

曲終了後のMCで立山さんが「1曲目からエンジン全開」と話すように、冒頭から「ゆるキャン△」の世界観にどっぷりと浸りつつ、立山さんによる簡単な挨拶、そしてバンドメンバーの紹介と展開する。今回は、テレビアニメのエンディングテーマ「ふゆびより」を作詞作曲歌唱した佐々木恵梨さんが歌&マンドリン&パーカッションとして参加。なんと佐々木さんは、「ゆるキャン△」の縁で身延町観光大使に就任したとのことで、同町では毎日午後5時になると佐々木さんの曲が放送されているという。「ぜひ身延町に遊びに行ったり、移住したりしてくださいね(笑)」(佐々木さん)とPRをして、会場を盛り上げた。

豊崎愛生さん

続けて「キャンプ行こうよ!」から「ゆるやかな時間」までが演奏されると、再びのドラマパート。野クルとリンたちがティン・ホイッスルやバンジョーといったなじみの薄い楽器や音楽への感動を素直に口にする。千明が音楽通ぶったり、あおいの嘘がまた炸裂していたりと、幕間を盛り立てる。

そして「キャンプ場のテーマ〜麓〜」が始まる。本公演ではキャンプ場ごとに異なる計6曲の「キャンプ場のテーマ」が演奏されたが、その曲順はアニメ「ゆるキャン△」で訪れたキャンプ場の順番になっており、ファンをニヤリとさせる仕掛けが心憎い。

原紗友里さん

MCでは、立山さんが「ゆるキャン△」の音楽は、アイリッシュをベースに世界中のフォークやカントリー音楽をアレンジした音楽にしていると解説。また、ティン・ホイッスルの説明では、映画「タイタニック」主題歌の「My Heart Will Go On」の主メロディに使われている楽器として、同曲を演奏する場面などもあった。

立山さんお気に入りの楽曲だという「ソロキャン△のすすめ」では、キャンプの焚き火を思わせる炎が上がる舞台装置が使われたり背景で星が瞬きはじめるなど、自然と冬のキャンプ場で一人、山の景色を眺めているような気持ちになってくる。

「キャンプ場のテーマ〜朝霧高原〜」が演奏された後、ゲストコーナーとして花守ゆみりさん、東山奈央さん、原紗友里さん、豊崎愛生さんが登場。東山さんによる生"くぁwせdrftgyふじこlp"なども披露されたり、みんなが楽器“スライドホイッスル”を試しに吹いてみたりと、わちゃわちゃと大盛りあがり。さらには、キャスト陣による生の朗読劇にあわせて、アコースティックバンドによる生演奏付きのアフレコも実施される。

ここでは6話の野クルにてキャンプ場の種類と富士五湖について話すシーンや、7話で四尾連湖での夜に、なでしことリンが2人の出会いを振り返りながら語り合うシーン、そして4話で霧ヶ峰のライブカメラに映るリンのシーンが生アフレコで実演された。続く「踊ろよフォークダンス」では、キャスト陣がタンバリンやトライアングルなどを手に、ステージを縦横無尽に動き回り、会場を盛り上げる。そしてそのまま、ステージ袖へと姿を消していくのだった。

亜咲花さん

いよいよ「ゆるキャン△音楽会2019」も終盤に差しかかり、ステージに現れたのはアーティストの亜咲花(あさか)さん。歌うのはもちろん、「ゆるキャン△」オープニングテーマの「SHINY DAYS」だ。"ポップ"の文字通り、跳ねるような楽曲に体も自然と弾んできて、会場全体が手拍子を打ってひとつの場を作り上げていく。サビでは、亜咲花さんの伸びやかな声に合わせて手を大きく横に振る。「一緒に!」ということで、観客みんながサビを歌い、キャンプファイヤーを囲んでいるかのような一体感が会場に生まれていた。

佐々木恵梨さん

そして、全身を白い衣装に包んだ佐々木恵梨さんが、それまで演奏していたウッドデッキからひとり、ステージ前に進む。焚き火を囲むような気持ちで「ふゆびより」を歌う。背景では星が瞬き、しっとりとした佐々木さんの歌声が胸に染み込んでくる。キャンプファイヤーも終わり、炭になった焚き火の周りに流れるようなゆっくりとした時間が流れ、まるで静かにこのキャンプの終わりを告げているかのようだ。

そして、アコースティックバンドによる「ゆるキャン△のテーマ」が演奏される。これは雲がかった空が晴れていき、また新たな1日が、楽しいことが始まりそうな気配のする楽曲である。こうして幕を閉じていった「ゆるキャン△音楽会2019」だが、どうにも興奮冷めやらないといった会場からは手拍子によるアンコールが。

その声に応えるように、会場スクリーンには「へやキャン△」のPVが流れ、ノータイムで今年9月に発表された、亜咲花さんによる「ゆるキャン△」シリーズのイメージソング「Isn‘t It Fun?」が始まった。明るくキラキラした楽曲で、会場のボルテージを再び最高潮へと盛り上げていく。楽曲終了後のMCでは、「Shiny Days」と出会ったことでアニソンシンガーとして生きていく決意を固めたことを吐露した亜咲花さん。「私の人生を変えてくれたなでしこたちに感謝の気持ちを込めて……」として、「へやキャン△」主題歌となる「The Sunshower」を歌い上げた。

その後、バンドメンバーが再び登場。「ゆるキャン△音楽会2019」の大団円として演奏するのはやっぱり「SHINY DAYS」だった。2番目のサビからはキャスト陣も登壇し、ボックスステップを踏みながら東山奈央さんによる振り付けで会場をひとつにまとめ上げる。この振り付けは、最初東山さんが勝手にやっていたものがどんどんと広まっていったものだが、今では多くの「ゆるキャン△」ファンもできるようになっているのが驚きだ。そんなふうに、参加者みんなそれぞれがひとつになって楽しめる空間を作り上げていき、「ゆるキャン△音楽会2019」というかけがえのない1日は過ぎていくのだった。

(取材・文/須賀原みち)

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