【インタビュー】コトリンゴが再び描く「このセカ」の音楽世界。「『この世界の片隅に』さらにいくつものサウンドトラック」が発売!

2019年12月20日から全国公開が始まる映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」。それに先駆けて、コトリンゴが手がけたサウンドトラックアルバムがリリースされた。収録されているのは、全37曲+ボーナストラック1曲。前作のサントラに、「さらにいくつもの」のための新曲を加えた完全盤だ。 片渕監督とのどのようなやり取りの中で、新曲を制作していったのか、話を聞いた。

監督さんからどんな直しが来ても従います!と思っていました


──12月9日の特別試写会で、お客さんの前で演奏していかがでしたか?

コトリンゴ 楽しかったです。2016年の公開のときもいろいろな場所で演奏させてもらったんですけど、そのときと比べて、自分の中で自然に演奏できるようになっていると思いました。

──3年前から今まで、「この世界の片隅に」に関しては、すごくいろいろなことがありましたね。

コトリンゴ そうですね。全国各地でのサントラのライブもあり、「この世界の片隅に」という作品の音楽と一緒に過ごしてきた3年間でした。いつものライブよりも年齢層が広くて、ご高齢の方からお子さんまで来てくれました。でも、作品が軸にあるので、いつも安心して演奏できました。

──映画公開より少しだけ早く、「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」のサウンドトラックアルバムがリリースされます。ボーナストラックを含めて、前回のサントラから5曲増えて、エンディングテーマの「たんぽぽ」は新たなバージョンになりました。追加分の制作には、いつ頃から着手されたんですか?

コトリンゴ けっこう早くから着手していて、2018年9月くらいには追加分のデモが上がっていました。それを監督さん(片渕須直監督)に提出したんですけど、なかなか返事が戻ってこない中、映画の公開も延びたので、いつ監督さんから直しの発注が来ても大丈夫なように待機していました。

──シーン合わせのサントラなので、シーンの長さや動きのタイミングが決まらないと、音楽制作は進められないですよね。

コトリンゴ はい。絵コンテのカットナンバーの何番から何番まで音楽を入れたいですと、最初の打ち合わせで教えていただいて。その段階では監督さんからの具体的な注文は小編成でということ以外はほとんどなく、デモを上げて監督さんの直しをいただいてというやり取りの中で、注文が具体的になっていくという感じでした。私にとってもすごく大事な作品なので、監督さんからどんな直しが来ても従います!と思っていました(笑)。

──何度もやり取りをしながら、完成に向けて詰めていくという。

コトリンゴ そうですね。その中で映像もでき上がってきて、曲の長さも確定して、「ここはちょっと音楽が足りなくなったので伸ばしてください」ということもありました。

──先行試写会のトークで、今回はのんさんの声がすずさんの声としてあったので、音楽も作りやすかったとおっしゃっていましたね。

コトリンゴ 前回は何も声の情報がない段階で作ったので、今回はずいぶんやりやすかったです。のんさんの声だけじゃなく、ほかの役者さんの声や生活音などの効果音のイメージがはっきりあることは、サントラ作りに大事なんだなと改めて気づきました。

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