【インタビュー】jizueらしさが存分に発揮された、「星合の空」オリジナルサウンドトラック

現在放送中のTVアニメ「星合の空」のサウンドトラックを手がけたのは、京都を拠点に、国内外で幅広く活動するインストゥルメンタルバンド、「jizue(ジズー)」。ずっと映像の仕事をしたかったという彼らは、とある偶然によって、「星合の空」と巡り会うことになったという。
テクニカルでありながら、聴き心地のよい彼らの音楽は、ソフトテニス部の青春模様を描きながら、中学生たちの心情に迫っていく「星合の空」の世界観に見事にマッチすることに。2019年12月25日にリリースされるサウンドトラックCDについて、メンバーの井上典政さんと片木希依さんに話を聞いた。

jizueらしさを自由に出せる環境をいただけました


──jizueは長いキャリアを持つバンドなんですよね。

井上 もともとは歌モノのバンドをやっていて、今の編成でインストをやるようになってから13年目です。

──なぜインストバンドをやろうと思ったんですか?

井上 今は脱退してしまったドラムも含めて、メンバーの男3人が小学校からの幼なじみだったんです。ずっと歌モノのバンドをやっていたんですけど、どこかで限界を感じて、楽器だけでかっこいいことをやろうということになって。それでピアノが欲しいということになって、ドラムの知り合いだった(片木)希依ちゃんが加わりました。

片木 私はもともとひとりで、クラシックからジャズ、ポップスとやってきて、バンドに入ったのはjizueが初めてでした。インストバンドなのでピアノを思いっきり弾くことができますし、ほかの楽器と重なることで力が高まっていくのがすごく楽しいです。

──インストバンドは実力派というイメージがありますし、ジャンルとしても近年、盛り上がっているのではないでしょうか?

井上 盛り上がってるかどうかはわからないんですけど、僕たちが始めた頃からかっこいいインストバンドはたくさんいましたし、最近は以前に比べると、このジャンルがより認知されてきたかなと思っています。

片木 普通のロックフェスにもインストバンドが混ざることが多くなりましたし、ドラマなどの劇伴(サウンドトラック)を通して、このジャンルを知ったお客さんがライブにも集まってくれるようになりました。

──そういう状況の中、jizueも映像作品の音楽を手がけることになったということですね。どういう経緯で「星合の空」の劇伴を担当することになったんですか?

井上 僕らも後で知った話なんですけど、たまたまレコード会社のディレクターが「march of monkey」という僕らの曲を耳にしてくれたのがきっかけだったそうです。それでバンド名を調べて、アニメの関係者の方々に推薦してくださったと。

片木 CM音楽はやったことがあったんですけど、私たちにとって初めての劇伴のお仕事だったのでうれしかったよね。

井上 いよいよ僕らにも劇伴の仕事が来たかと。うれしかったのと同時に、でも、どうやって作ったらいいのかわからないと思いました(笑)。最初の打ち合わせで、赤根監督がアニメの世界観を意識し過ぎずjizueらしい曲を作ってほしいと言ってくださったので、ホッとしました。

──赤根監督の第一印象はいかがでしたか?

井上 こういう音を入れてほしいとか、こういう旋律を使ってほしいというような細かいオーダーはなく、僕らの自由に作らせてくださる方なんだなと思いました。ただ1分とか2分の短い曲を40曲以上作ってほしいと言われてびっくりしましたね。アニメの劇伴って、そんなに作るのかと。

──具体的な曲の発注は、音楽メニューを通してだったと思うのですが、いかがでしたか?

片木 はい、メニューをいただきました。その曲で表現してほしい感情が、曲の長さやテンポとともに書いてあって、こういう発注の仕方なんだと新鮮でした。

──作曲はどなたがやったんですか?

井上 僕が中心になってやっていきました。jizueはメンバー全員が曲を書けるんですけど、劇伴としての統一感を出さないといけないと思ったので、イニシアチブを取る人間が必要だなと思ったんです。そのうえでピアノの曲は希依ちゃんにお願いしたりして、メンバーに振っていきました。

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