令和のはじまりを彩ったアイドルたち! 2019年の二次元アイドルコンテンツ界を振り返るニュース“9”選!【年末特別企画】

2019年もいよいよ終わりを迎えようとしています。今年も大きな盛り上がりを見せたのが、「アイドルマスター」や「ラブライブ!」シリーズに代表される2次元アイドルコンテンツの数々でした。平成の終わり、令和の始まりの年を代表するアイドルたちのニュースを、男性向け作品を中心にピックアップして紹介します。

1◆東京ドームに「アイマス」「ラブライブ!」「アイカツ!」が集結!



西川貴教が、FLOWが、「テイルズ オブ」「アイマス」が東京ドームに集結! 「バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル」DAY1レポート
「アイマス」「ラブライブ!」「アイカツ!」らが集ったアイドルの理想郷! 「バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル」DAY2、濃厚ロングレポート!

アイドル作品を軸に2019年を振り返るうえで、欠かすことができないイベントが10月19日~20日に東京ドームで開催されたバンダイナムコエンターテインメントフェスティバルでした。特にDAY2には「アイドルマスター 765プロオールスターズ」「アイドルマスター シンデレラガールズ」「アイドルマスター ミリオンライブ! ミリオンスターズ」「アイドルマスター シャイニーカラーズ」「アイドルマスター XENOGLOSSIA」「アイカツ!」「アイカツスターズ!」「アイカツフレンズ!」「アイカツオンパレード!」「ラブライブ!サンシャイン!!(Guilty Kiss)」などのアイドル作品より、キャストや主題歌アーティストが出演。DAY1には「アイドルマスター SideM」も出演し、2019年のアイドルコンテンツサミットのようなライブになりました。

「アイマス」と「アイカツ!」が作品の歴史を包括するような多作品を投入したのに対し、「ラブライブ!サンシャイン!!」からは逢田梨香子さん、小林愛香さん、鈴木愛奈さんの作品内ユニット“Guilty Kiss”のみが参加しました。ですがたった3人と思うことなかれ。Guilty Kissは立て続けに6曲のユニット曲を披露、彼女たちの実力と世界観を見せつけて、ドームの注目と話題をかっさらいました。Guilty Kissと「アイカツ!」シリーズが素晴らしい存在感を示したドーム公演でしたが、その成功の土台には「アイドルマスター」ライブチームが「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!」や「THE IDOLM@STER 765 MILLIONSTARS HOTCHPOTCH FESTIV@L!!」といったイベントで、作品や世代を超えたアイドルたちが出演するライブのノウハウを蓄積してきたことが大きいと思います。終演後に各作品のファンがお互いのコンテンツを称えあう、夢のような空間でした。

2◆声優ユニット「Wake Up, Girls!」が活動を終了



【「Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~」レポート】さいたまスーパーアリーナが、大きな愛に包まれた日――感謝と涙と笑顔のラストライブ!


アニメ「Wake Up, Girls!」から生まれた声優ユニット「Wake Up, Girls!」が、3月8日のさいたまスーパーアリーナ公演「Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~」をもって活動を終了しました。Wake Up, Girls!は、2012年に行なわれた「avex×81produce Wake Up, Girls! AUDITION」で声優未経験の新人たちを全国から選抜。選ばれたメンバー7人と本名と音が同じ名前をアニメのキャラクターにもつけ、現実の7人もユニットとして活動するという、とても新しくオリジナルな企画でした。

彼女たちのユニット活動終了が発表されたのは、2018年6月のこと。そこから約9か月、メンバーたちの故郷を含むさまざまな土地をめぐるファイナルツアーの果て、彼女たちは長年の夢だった単独でのさいたまスーパーアリーナのステージに辿り着きました。

近年、たくさんのアイドル作品やユニットが生まれ、そして終わりを迎えています。アプリゲームには「サービス終了」という節目がありますが、作品発のユニットに関してはほとんどが、静かにフェードアウトして忘れられていくのが実情です。1年近くの間、最後を見据えたツアーで完全燃焼しながら、その瞬間を迎える心の準備ができたWake Up, Girls!とワグナー(ファン)のラストは、幸せな別れだったと言えるのではないかと思います。

3◆「シャニマス」ファーストライブ開催とStraylight登場

公式サイトより

終わりがあればはじまりもある、と強く感じたのが、3月9日・10日に開催された「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 1stLIVE」でした。4ユニット・16人の新人アイドルたちが初めて立つステージ。その場所は5年前に「アイドルマスター シンデレラガールズ」の先輩たちが1stライブを行なった舞浜アンフィシアターでした。

日付を見るとわかりますが、なんとこの日はWake Up, Girls! のファイナルの翌日。まずはこの2つのライブの日程が重ならなかったことを神に感謝した人も多いのではないでしょうか。これから走り出すアイドルたちの、未来への希望で満たされたステージでした。DAY2では、新ユニット「Straylight」の登場が発表されました。ファーストライブとStraylightの登場がほんの9か月前だということがちょっと信じられない気もしますが、それだけ密度が濃い一年だったということでしょう。見るたびに成長していることを実感する、できるアイドルたちです。

4◆9周年イヤーにμ's再始動



「SSAにμ’sとして名前が並ぶのは、胸アツ!」高坂穂乃果役・新田恵海も大興奮の「ラブライブ!」シリーズ9周年発表会レポート!


「ラブライブ!」発のユニットとして2015年に紅白歌合戦に出演するなど、二次元から生まれたアイドルの新境地を切り拓いてきたμ's。東京ドームで行なわれた最後のワンマンライブ「ラブライブ μ's Final LoveLive!~μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪~」は2016年3月31日・4月1日の開催でした。3年の時間は長かったようであり短かったようであり。ドームで「私たちはずっとμ'sです」の言葉を残した9人が、9周年イヤーの今年いよいよ本格再始動を果たしました。

今年印象的だったのが、μ's、Aqours、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会という3ユニットの交流です。9周年を記念して「ラブライブ!シリーズのオールナイトニッポンGOLD」がスタート。新田恵海さんや徳井青空さんがパーソナリティを務める番組にAqoursや虹ヶ咲のメンバーが続々と登場するのは「ラブライブ!」の新しい光景でした。

そして、新星虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会もスマホアプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」のリリース、ファーストライブでのTVアニメ化発表と、一気に動きが加速しつつあります。さいたまスーパーアリーナで開催される「ラブライブ! フェス」で幕を開ける「ラブライブ!」、10周年に向けた動きにも注目です。

5◆アニサマ2019に“如月千早”が出演

アニサマに印された「蒼い鳥/如月千早」という記録と記憶──「Animelo Summer Live 2019 -Story-」DAY1みどころ&レポート


8月30日~9月1日にさいたまスーパーアリーナで開催された「Animelo Summer Live 2019 -STORY-」(アニサマ)DAY1に、「アイドルマスター」シリーズより如月千早が出演しました。ステージに立ったのは、如月千早役の声優・今井麻美さん。伴奏はピアニストのピアニート公爵が担当しました。

このことが異例づくめだったのは、まずは千早がステージで歌ったのが「蒼い鳥」のみであったこと。「蒼い鳥」が如月千早を代表する楽曲であることは間違いありませんが、この曲の(正式サービスでの)初出は、2005年7月にリリースされたアーケード版「アイドルマスター」です。大型フェスの出演には作品やアーティストを宣伝する目的もあるのが普通ですから、(現行コンテンツで)14年前の楽曲を単独で歌唱するのはとても珍しい見せ方です。

2つめは、如月千早の出演が事前に正式公開されないシークレットだったこと。作品のファンがどれぐらいいるか全くわからない場で14年前の楽曲を歌うわけですから、胃が痛くなりそうな話です。

しかしそれは裏返せば作品の宣伝ではないところで、アニサマチームが“如月千早”というアーティストに出演を求めたということであり、千早と公爵の表現が、予備知識のない人にさえも届くものだという信頼の証でもあります。ライブ映像での表記も、ステージでのMCも全て(CV:今井麻美)表記抜きの“如月千早”。ステージにアイドルを立体投影することも夢物語ではない時代に、声優自身がステージでアイドルとして歌唱する意味と凄みについて考えたくなる時間でした。

6◆サービス終了したゲームのその先/「ときめきアイドル」「アイドルコネクト」

公式サイトより

コナミが提供するアイドルゲームアプリ「ときめきアイドル」が2019年1月15日にサービス終了を迎えました。サービス開始は2018年3月20日ですから、早すぎる終わりと言ってもいいでしょう。ですが、「ときめきアイドル」というコンテンツが完全に終わりを告げたわけではありません。通信を行わずにプレイ可能な「オフライン版」がリリースされていますし、「Tokimeki Challenge ~歌うよ!ときめきアイドル」と題したライブイベントは今も定期開催されています。

本体のゲームサービスが終了しても、ライブやCDを通してのコンテンツ存続の道を探る……というスタイルを見て思い出すのは、2016年にサービス終了した「アイドルコネクト-AsteriskLive-」というタイトルです。誠実に作られた作品で、楽曲とシナリオを中心に高い評価を受けていました。それがわずか3か月でサービス終了を余儀なくされたのはかなりショックな出来事でした。そんな「アイドルコネクト」ですが、この作品もオフラインで楽しめる「アイドルコネクト-AsteriskLive- ADV Edition」をリリース。サービス終了から3年後の2019年10月には関連CDアルバムのpixivBOOTHでの再販や、ネットラジオがスタートして一部で話題になりました。

新しいコンテンツを立ち上げる時、ビッグビジネスになる“かもしれない”作品は、多くの人や予算を動かせることでしょう。しかしクローズに向かう、クローズした作品の展開や広報に、多くの制約があることは想像に難くありません。その状況の中で、作品と、命がふきこまれたキャラクターや楽曲の存在をつなぐために関係者が“あがく”原動力は何かと考えたら、それはもう作品とわが子たちに対する愛情でしかないのではないのかと思います。

7◆「シンデレラガールズ」に7人の新アイドル登場!

公式サイトより

この1年で「アイドルマスター シンデレラガールズ」シリーズに、辻野あかり、砂塚あきら、夢見りあむ、黒埼ちとせ、白雪千夜、久川凪、久川颯と7人のアイドルが新規実装されました(正確には辻野あかりは2018年末登場)。特に夢見りあむに関しては、アイマス界隈を飛び出して2019年を代表するキャラクターのひとりになったのではないかと思います。

2011年のサービススタート以降、「シンデレラガールズ」は継続的に新キャラクターを追加してきました。今回の7人が今までの新アイドル追加と少し違っていたのは、2018年12月に開催されたライブ「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 6thLIVE MERRY-GO-ROUNDOME!!!」内で大々的に発表されたことと、その時点からこの新アイドルたちが2019年の展開の柱のひとつになることが明らかだったことでした。本稿掲載の時点で7人中5人のキャラクターに担当声優がつき、久川凪、久川颯は中の人がライブ出演を果たしています。

カンフル剤としての色が強い7人の投入には賛否もあると思いますが、夢見りあむが「第8回シンデレラガール総選挙」投票結果の後押しで声を得ている状況を見ても、大きな話題となったことは間違いないでしょう。最近でもLiPPSのNHK「シブヤノオト」出演がツイッターの話題を席捲したり、アーティストの「ゆず」とがっつりコラボしたり。やはり「シンデレラ」は広い層を巻きこんでの話題の提供が抜群にうまい印象で、2020年も「シンデレラガールズ」が界隈の話題の中心になる状況は続きそうです。

8◆「Tokyo 7th シスターズ」、次なる進路は未来?

公式サイトより


楽曲とシナリオで殴ってくる2次元アイドル作品の筆頭との呼び声も高い「Tokyo 7th シスターズ」。2034年の“現在”と、かつてのレジェンドユニット・セブンスシスターズが活躍し、やがて解散に至る“過去”の物語の断片が交錯する二重構造も魅力のひとつです。

2019年の「Tokyo 7th シスターズ」では、新章「EPISODE 4.0 AXiS」や「EPISODE 0.7 -Melt in the Snow」を通して、さまざまなアプローチで、伝説の存在・セブンスシスターズと彼女たちを取り巻く世界に光を当てていきました。

今回は、セブンスが反転したかのようなユニット・AXiSをセブンスシスターズと同じ声優さん、同じ作曲者(kzさん)が担当するという発想、AXiS強襲の衝撃について書こうと思っていた……のですが、年の瀬になって驚きのニュースが飛びこんできました。

12月26日、「Tokyo 7th シスターズ」公式ツイッターにおいて、新章「EPISODE 5.0 -Fall in Love-」の開幕が予告されました。2020年1月9日にスタートで全6話。内容はナナスタのさらに“未来”を描くもので、アイドルたちが成長した姿で登場するようです。長い時間を経ても受け継がれていく想い、といったモチーフは、短編アニメ「t7s Longing for summer Again And Again ~ハルカゼ~」でも描かれていましたが、ナナスタメンバーの未来の姿と物語がダイレクトに描かれるのは初めての試みだと思います。

2019年、過去を描いてきたのは未来への助走だったのかもしれません。過去と現在が交錯しながら物語を紡いできた「ナナシス」が“未来”で描き出すものは何なのかに注目です。

9◆最後発のビッグアイドルプロジェクト「IDOLY PRIDE」始動


メディアミックスプロジェクト「IDOLY PRIDE」がTVアニメ制作&2020年5月10日の単独イベント開催決定!

数多くの二次元アイドルコンテンツが生まれ続けている2019年ですが、年末になって一気に存在感を増してきたのが11月27日にスタートした「IDOLY PRIDE」です。サイバーエージェントグループとともに、声優事務所のミュージックレイン、ライトノベルを中心とした作家のエージェント会社、ストレートエッジが名前を連ねるアイドルプロジェクトです。

12月9日にAbemaTVで「第1回 IDOLY PRIDE 情報解禁スペシャル生放送」を行なったのですが、うまいなと思ったのがミュージックレイン3期生(相川奏多さん、橘美來さん、夏目ここなさん、日向もかさん、宮沢小春さん)のお披露目をこのタイミングに合わせてきたこと。1期生のスフィア、2期生のTrySailに続く新世代に興味を持ってこの番組に辿りついた人も多かったのではないでしょうか。新人が多い新規コンテンツで個々のメンバーを覚えてもらうのは大変ですが、その時に誰もが知っている先輩たちとのからみや関係性は大きなフックになります。

QP:flapper、花田十輝さんや高橋龍也さんなど、豪華な名前が並ぶプロジェクトですが、今回注目したいのは音楽の面です。2019年のアイドルコンテンツのトレンドとして、「ナナシス」で田淵智也さんがLe☆S☆Caの楽曲を手がけたり、「IDOL舞SHOW」の各ユニットの楽曲を斎藤滋さん、木皿陽平さん、冨田明宏さんら一流プロデューサーが手がけたりと、クリエイターの名前と個性を前面に出すスタイルが増えてきました。

「IDOLY PRIDE」では、大石昌良さん、沖井礼二さん(TWEEDEES)、北川勝利さん(ROUND TABLE)、さかいゆうさん、田中秀和さん(MONACA)、やしきんさん、kzさん(livetune)、Q-MHz、Wicky.Recordingsという、聞いただけでのけぞるような楽曲クリエイター陣が公開されています。

今のアイドルコンテンツ業界は「アイマス」と「ラブライブ!」が圧倒的に強く、しかも両シリーズが新作タイトルを投入していることもあり、後発で戦うのは想像以上に大変な世界です。その中で新規タイトルが戦うためには何が必要だろうと考えた時に、これ以上はないだろうと思うぐらいの材料を隙なく揃えて来たのが「IDOLY PRIDE」という印象です。まだ始まったばかりで詳細はこれからのコンテンツですが、何かの予感を漂わせる作品であるのは間違いなさそうです。

以上、2019年に起こったアイドルコンテンツ界隈の出来事を紹介してきましたが、皆さんの好きなコンテンツはあったでしょうか。2020年、アイドルたちがどんな世界を見せてくれるのかを楽しみにしたいと思います。

(文:中里キリ)

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