観れば誰もが「親バカ」に!? 「うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。」ラティナ役・高尾奏音×デイル役・岡本信彦インタビュー

現在好評放送中のテレビアニメ「うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。」(以下、「うちの娘。」)。ある日、とある依頼を受けた冒険者・デイルが森の中で魔人族の少女・ラティナと出会う。痛々しい姿をした彼女を見捨てることができなかったデイルは「保護者」として育てていくことを決意するのだった……、というファンタジー作品。

デイルのラティナに対する愛情は日に日に増していき、気が付くと「溺愛」状態に! ラティナのためならラスボスだってイチコロ!?

そんなラティナを演じる高尾奏音さんと デイルを演じる岡本信彦さんに本作の見どころ、そしてラティナのかわいさについて存分に語っていただきました!

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「いてくれるだけでかわいい」というかわいさのベクトルが新鮮でした(岡本)

――役が決まった時のお気持ちを聞かせてください。

高尾 オーディションに臨むうえで、私なりに考えていたラティナの年齢感があったのですが、現場で「もうちょっと幼く演じてもらっていいですよ」と言われ、その場で修正して演じました。晴れて役をいただけたときはすごくうれしかったです! ただ、原作を読ませていただいてわかっていたのですが、ラティナは登場人物みんなから愛されている子なので、「どうやって演じれば愛されるのかな?」とアフレコまでいろいろ考えながら過ごしました。

岡本 最初は、かわいい女の子がたくさん出てくる、いわゆる「ハーレム作品」なのかな?と思っていたら全然違って。原作者のCHIROLU先生からも「デイルはとにかく変になってくれればそれでいいんです」と言われたのを覚えています(笑)。奏音ちゃんと同じで「どう演じようかな?」とちょっと悩みました。

――公式サイトで公開中のPVでも、デイルのキャラクターをうかがい知ることができます。

岡本 「ラティナのためなら誰に対しても容赦しない」というのが伝わってくる、すばらしい映像です(笑)。

――作品の世界観についてはいかがですか?

高尾 タイトルから「バトルシーンが多いのかな?」という予想があったのですが、実際は「ラティナの成長をみんなで見守っていく」という心温まるストーリーだったので、少し驚きました。なかには心ない人も出てくるのですが、とにかくみんな「やさしい」んですよね。全体的に心が温まる雰囲気のなかでストーリーが進んでいくのがすごく楽しいです。

岡本 かわいさのベクトルが新鮮でした。「いてくれるだけでかわいい」という見せ方があるんだな、ということに目からウロコで。ラティナは、言うなれば「アイドル」なんです。彼女のことをみんな大好き、という構図はすごいと思いました。

――物語の冒頭から「魔人族の言葉」や「呪文言語」など、本作独特の言語が登場しますが、発音で大変だったことはありますか?

高尾 原作ですと何と言っているのかわからないような表記なので「これってどう発音するんだろう?」と気になっていたのですが、いただいた台本ではカタカナでフォローしてくださっていましたし、自分で考えていたイントネーションどおりに演じることができたので、意外と大変ではなかったです。言うなれば「英語の教科書みたいだな」というイメージでした。

岡本 英語の話が出ましたけど、例えば「I have a pen.」は、日本語で「私はペンを持っている」という表記になりますよね? 「動詞が先に来るのか、名詞が先に来るのか?」というところも個人的には気になったりしていましたが、自分でこの言葉をオフィシャルにしようという気持ちで発音したらうまくいきました。

でも、呪文詠唱はちょっと大変でした。呪文言語の後に日本語(副音声)も言わなくてはならず、その長さをそろえなくてはならないんです。タイムキープが難しかったです。

――ほかに、演じるうえで苦労されたところはありますか?

高尾 あらかじめ音響監督の土屋雅紀さんから「あざとさが前面に出ないように演じてください」と言われていましたので、素のラティナから出てきたかわいさを表に出すため、試行錯誤しながらアフレコに臨みました。

――物語が進むとラティナも成長していきますが、演じ方を変えるのは難しかったですか?

高尾 急に「ラティナ、来週から大人になってきてね」と言われて(笑)。彼女はもともとしっかりしているのですが、それに加えて「芯の強い部分が出てくるんじゃないか」と自分なりに想像しながら演じたら「ちゃんと大人になってるじゃん!」とほめていただき、ひと安心でした。

――デイルの演技に関しては、何か意識されました?

岡本 彼は彼でラティナと同じ年を生きたわけですが、特に意識して変えたということはないです。ただ、台本からも彼の中に「かわいいのは当たり前だ」みたいな、ちょっとした余裕を感じるようにはなりました(笑)。

――ラティナのかわいさとデイルの親バカぶりが、なにかとフィーチャーされる作品ですが、シリアスな展開も待っているのでしょうか?

高尾 もちろんそういうシーンもあるのですが、基本的にデイルがオチを持っていきますからね……(笑)。観終わった後に幸せな気持ちになってもらえるのが、この「うちの娘。」という作品の特長だと思います。

――アフレコ現場で印象的だった出来事はありますか?

岡本 これはあまり大きい声では言っちゃいけないのかもしれませんが……とある、ヒゲがすごい演者さんがいるのですが、彼が奏音ちゃんに対してアドバイスをすると、周りから決まって「話しかけちゃだめでしょ!」と怒られるという流れができてまして……(笑)。

高尾 もちろんみんなも冗談で言っているのですが(笑)。私、高校から直接アフレコ現場に来ることがあり、制服姿のことも多いんです(高尾さんは、現役高校生!)。それもあって、いわゆる「不審者」(に話しかけられる)キャラみたいなものができてしまったみたいで……。

岡本 (ヒゲがすごい共演者が)「ヒゲそってくれば?」と言われて実際にそってきたら、そのことには誰も触れない、みたいな(笑)。そんな感じでムードメーカーの演者さんのおかげで楽しくアフレコすることができました!



「ラティナの成長をみんなで見守っていく」という心温まるストーリー(高尾)

――お2人はそれぞれの役名義で主題歌も歌われています。まずはOPテーマ「I'm with you」を歌われた高尾さんからレコーディングの感想をお願いします。

高尾 最初に曲を聴いたとき、カッコよくて爽やかな印象だったので、劇中のラティナっぽくオンチに歌うのか、それとも本気で歌えばいいのかわかりませんでした。レコーディング現場に行ったら「今日はうまいほうのラティナで歌ってください」と言われましたので「はい、わかりました」という感じで(笑)。

メロディラインがラティナの声よりも低い位置から始まるので、ここもどう歌おうかと思ったポイントだったのですが「年齢感は気にせずに歌ってください」とレクチャーされたので、自分のなかでは成長したラティナが過去を振り返っているような気持ちで歌いました。

――EDテーマの「This is 勇者, but 残念!?」を歌われた岡本さんはいかがでした?

岡本 符割りが心地よく、ラティナのことを想った歌詞でもありまして、歌っていて楽しくなります。イベントに来てくださるファンの方を「保護者」と呼んでいるのですが、保護者のみなさんも、歌うと気持ちよくなっていただけるんじゃないかと。

それよりもなによりも、この曲をバックに流れる絵がすごいんです! いろいろな服装のラティナが登場する、まるで「成長日記」のような仕上がりになっていますので、一見の価値ありです(笑)!

――そんなデイルの「親バカ」が本作のキーワードのひとつとなっていますが、お2人にとっての「親バカ」エピソードはありますか?

高尾 私の父は「うちの娘。」の出演が決まった途端、原作を全部読んだうえに「ラティナかわいい!」と言って、スマホの待ちうけ画面をラティナに変えました。もしかするとデイルもかなわないくらいの「親バカ」かもしれません(笑)。

岡本 小さい頃、母親と一緒に家から少し離れた場所にあるデパートに買い物に行ったことがあるのですが、そこで母親とはぐれてしまったんです。そのとき何とかして家まで自力で帰ろうと思い、歩き始めたのはいいのですが、途中まで道がわからなくなり、交番にいた警察官にどうにかして自宅の電話番号を伝え、家でくつろいでいた父親を呼んでもらって。そしたらすぐに交番まで駆けつけてくれて、その後一緒に帰りました。

あのときのお父さんはカッコよかったです。「親バカ」とはちょっと違うかもですが、忘れられない思い出です。

――もしおふたりの前にラティナが現れたら、どう育てますか?

高尾 私、料理が全然できなくて。作中でジャガイモの皮むきをしているシーンがあるのですが「ラティナ、すごいな」ってすごく尊敬したんです。私のほうが教えてもらうことが多いかもしれません(笑)。

岡本 角がありますから、外出させるのが怖いですよね……。うまくリボンで隠してあげないと。それと、回復の魔法を使えるので、仕事で疲れた身体を癒してほしいですね。もしかしたら外傷にしか効果がないかもしれないですけど(笑)。

――お2人が考えるラティナの魅力は?

高尾 周りからちやほやされている中でも「自分にはまだまだ足りないことがあるから早く大人になりたい」と向上心を強く持ち続けているところでしょうか? あとは、食事をする時に口が「ω」みたいになるところが単純にかわいいです(笑)。

岡本 デイルとラティナが下宿している「踊る虎猫亭」にいるメンツがいい人たちばかり、というのがよかったんでしょうね。いい人と悪い人を取捨選択するようなこともなく、すれることなく成長できたところが、そのまま彼女の魅力になったんじゃないかと思います!

――最後に、改めて本作の見どころを教えてください。

高尾 ラティナは「学舎」という場所で勉強をすることになるのですが、クラスメイトとのやりとりを見ていると心がすごく温まるんです。友人のなかに(田村睦心さん演じる)ルディという男の子がいるのですが、彼はラティナにいじわるをするんですよね。でもそれって、彼女に対して気があるからなんです。まさに小さい子どもが好きな子に対して取る態度で、すごくほっこりしました!

今後はラティナの過去も明らかになっていきますし、デイルと一緒に世の中のいろんなことに触れていくうえでの反応がいちいちかわいいので、たくさん愛でてください。よろしくお願いします!

岡本 僕はラティナの両親、特に父親のラグです。彼がどうしてああいうことになってしまったのか? 本作をご覧になった方もそこは気になっているんじゃないかと思います。僕もすごく気になります! 奏音ちゃんも言ってましたが「うちの娘。」はラティナの成長を見守っていく物語なので、とにかくそこにフォーカスしていただきたいです。みなさんもぜひ僕と一緒に「保護者」になってください!

(取材・文・写真/佐伯敦史)

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