まさかの続編「クーロンズリゾーム」も正式発表! ライブに開発裏話に、新作情報も飛び出した「クーロンズ・ゲート」公式イベント「帰ってきたおはじめ式」レポート
1997年にプレイステーション用ソフトとしてリリースされて以降、今もなおカルト的な人気を得ている伝説のゲーム「クーロンズ・ゲート」。その音楽作品として同年にリリースされ、長らくファン必携のアイテムとして愛されてきた「クーロンズ・ゲート サウンドトラック」が、20年以上の時を経てアナログ盤としてリリースされた。
ここでは、年の瀬も迫る2019年12月28日に開催された「クーロンズ・ゲート サウンドトラック」アナログ盤のリリース記念イベント「帰ってきたおはじめ式」の模様をお伝えしよう。
アナログ盤のリリースは当時から切望していた
イベント会場となった株式会社Donuts内コラボルームには、開演前から多くの「クーロンズ・ゲート」ファンが集まっており、20年以上経た現在も本作が根強い人気を誇っていることを改めて思い知らされる。
まず観客の前に登場したのは、「クーロンズ・ゲート」の音楽を担当した蓜島邦明氏。司会はゲーム音楽集CD「九龍風水傳原聲音樂專輯~クーロンズ・ゲート オリジナルサウンドコレクション~」や設定資料集「Kowloon's Gate Archives~クーロンズ・ゲート アーカイブス~」などを企画した「クーロンズ・ゲート」研究の第一人者である有田シュン氏が務めた。
蓜島氏は「こんなマニアックイベントに来られる方とは、もう運命で結ばれているとしか思えない」と、この日集まった方々の姿を見て率直な感想を語りつつ、近年アナログ盤ブームが起きていることにも言及。当時から「クーロンズ・ゲート サウンドトラック」のアナログ盤を出したかったそうで、今回その思いがかなったのだそうだ。アナログ盤の聴きどころとして、音質が劇的に上がっていることに注目してほしいそうで、蓜島氏自身も完成したアナログ盤の音を聴いて驚いたと語る。
続いて蓜島氏による最新バージョンの「クーロンズ・ゲート」ライブが行われた。今回のライブで披露された楽曲は、22年前、「クーロンズ・ゲート」の楽曲を制作していた頃に作られた音楽データを発掘し、それらを集めて再構成したものなのだそうだ。照明が落とされたフロア内に独特の音空間が広がり、唯一無二という表現にふさわしい「クーロンズ・ゲート」の世界観を作り出していた。
およそ5年前から「クーロンズ・ゲート」関連の動きが活発に
イベント後半は「クーロンズ・ゲート」開発者を迎えてのトークライブ。登場したのは監督の木村央志氏、キャラクターデザインの井上幸喜氏、JPEGダンジョンデザイナーの武富聖氏、そして前半パートにも登場した音楽担当の蓜島邦明氏の4人。
イベントに集まったファンの姿を見た木村氏は「すごく熱さを感じるし、今後はファンの方たちに『クーロンズ・ゲート』のどこにその熱さを感じるのかを学んでいきたい」と語った。井上氏は「作っていた時はこんなに長生きするコンテンツになるとは思ってなかったし、こうして同じメンバーが揃うこともほかのゲームではありえないことでは?」と「クーロンズ・ゲート」という作品の特殊さを表現していた。またイベント時点で50歳の武富氏は「25~6歳の頃に作っていたゲームなので、ゲームが出てからちょうど人生の半分を過ごしてきた」と、「クーロンズ・ゲート」とともに歩んできた人生を振り返った。蓜島氏は「リリース当初から歴史に残る作品になると思っていた」と、現在のカルト的人気を当時から予感していたとも語った。
また、およそ5年前からゲームのサウンドを収録したCDの商品化や設定資料本のリリースが行われるようになったほか、PSVRコンテンツ「クーロンズゲートVR suzaku」がリリースされるなど、「クーロンズ・ゲート」に関するさまざまな展開があったことついてトークは展開。5年前にこのような展開が起こることが予想できたかどうかを問われた木村氏は「有田氏から連絡をもらった時に、まだ『クーロンズ・ゲート』というコンテンツが生きているんだということを知った」と驚かれたそうだ。井上氏は「たまに蓜島さんの音楽を聴くことがあって、同時に映像も浮かんできて、いつか『クーロンズ・ゲート』をアーカイブスとしてまとめてみたいと思っていた時に有田氏から連絡をもらった」と、何かに呼ばれるかのように人と人とが、再び繋がっていったことが語られた。
また「クーロンズ・ゲート」以降もずっとゲーム業界で仕事をしている木村氏らしいエピソードとして、「30人に1人は『クーロンズ・ゲート』好きがいて、突然自席にゲームソフトを持って来て『サインください!』と言われることがあります」という話も飛び出した。蓜島氏は曲作りの思い出として「絵が送られてきたらそれを元に音楽を作るんだけど、その作業が毎回楽しみだった」と、当時の楽曲制作時の思い出を語った。また、楽曲の70%は即興で作っていたという。考えて作った曲ほど面白くなかったので、送られてくる絵から受けるイメージを大事にしたのだそうだ。
シリーズ最新作「クーロンズリゾーム」が正式発表!
イベント後半には新作情報が続々と公開された。まずは第一弾としてPSVRでリリースされた「クーロンズゲートVR Suzaku」がNintendo switchに移植されることが発表された。移植に際し、マップの拡張に加えてキャラクターボイスの追加も発表。2020年の秋から冬にかけてリリースされる予定だそうだ。なおタイトルには「VR」と付いているものの、Nintendo switch 版ではVRモードは搭載されない。
続いて、すでに公式Twitterなどで情報公開されている続編的位置づけの新作ゲーム「クーロンズリゾーム」の正式発表が行われた。スクリーン上で映像も公開され、会場に集まったファンの目を釘付けにしていた。新作の設定は2025年の陰界を舞台に、風水無き町「光明路(こうみょうろ)」を舞台に、新たなストーリーが繰り広げられるのだそう。光明路は前作で未使用だった街で、木村氏いわく「字面がきれいなのでいつか使いたいと思っていた」のだそうだ。また、内部資料用に作られたプレゼン用動画を観た蓜島氏は、インスピレーションが刺激されたのか、さっそく映像に合わせた新曲を作ってしまったそうだ。
ちなみに前作の開発がスタートした1994年はWindows95の登場前で、ニフティサーブなどの文字情報によるネット通信がメインだったこともあり、少し時代遅れ気味なネットワークの表現だったが、新作ではネットワークの表現部分を現代風に強化していきたいと、木村氏より意気込みが語られた。
新作紹介とそれに関するトークが終わると、イベントは終了の時間に。最後はゲストからそれぞれ締めの言葉が語られた。新作の開発には関わっていない武富氏は「新作の『クーロンズ・リゾーム』、期待しています。僕の中で前作のイメージが固まっているので、それを突破したものを作ってくれるんだろうなと思っています。また、蓜島さんの楽曲も期待しています」と、いちユーザー視点で新作への期待を寄せていた。
木村氏は「新作の発表はしたものの、まだ解決できていない問題もたくさん。1月中には乗り越えないといけないので正月休みはなしかな(笑)」と、新作の開発が絶賛修羅場中であることを明かした。
井上氏からは「『クーロンズ・ゲート』をこれだけ愛していただいて感謝しております。これからもいろいろと動いていきますので、引き続きよろしくお願いします」と、今後もシリーズ作品や関連作に関わっていくことが語られた。
コメントのトリを務めた蓜島氏は「新作が出たらまた今回のようなイベントやライブをやらせていただけると思うので、その時はまたよろしくお願いします」と、音楽方面のイベントの開催にも意欲を示した。
約1時間半の中で音楽ライブ、トークライブ、新作発表と凝縮された内容で届けられた「帰ってきたおはじめ式」は、久々に開催された「クーロンズ・ゲート」公式イベントだっただけに、集まったファンも満足だったのではないだろうか。過去を振り返るだけでなく、新作発表によって未来への期待も高まっただけに、今後も「クーロンズ・ゲート」シリーズの熱が冷めることはなさそうだ。
ちなみにイベントの後半には、事前にTwitterで募集していた質問に対して登壇者が答えるQ&Aコーナーが設けられていた。最後に、その問答を下記に紹介しておこう。
Q.「前作『クーロンズ・ゲート』の開発で機能や容量の制限でできなかったことはありますか?」
「前作のJPEGダンジョンでは、たとえば目の前に建物があったとして、それがある時に消えてその方向に行ける仕様を作りたかったんですが、当時はそれができなかったんです。新作はすべてリアルタイムダンジョンなのでその演出が可能になると思います」(木村)
「今、『クーロンズ・ゲート』を作ろうとしたら当時できなかったことが全部できてしまいそうですよね。でも当時のグラフィック能力で描いた登場人物は味になっていると思うし、リアルな人間にしてしまうと方向が違ってしまうと思うので、その匙加減を考えながら作ることになるのかなと思います」(井上)
Q.グイリーをデザインした過程が知りたいです。バスタブからどうやってバスタブ女になるのでしょうか?
「お風呂に入っているお姉さんがいて、上半身を出すよりも足のほうがセクシーだと思ったのと、足も1本や2本じゃなくていっぱい出して足の数を多くしたくて、あのデザインになりました」(井上)
Q「クーロンズ・ゲート」に登場するキャラの中で思い入れのあるお気に入りのキャラはいますか?
「開発者の顔を撮影して取り込んで作っていたテレビゴミです」(蓜島)
「印象深いのは水銀男です」(武富)
「当時は萌えキャラだってことで叩かれたこともある小黒(シャオヘイ)です」(井上)
「江戸川乱歩の『鏡地獄』をイメージしていた鏡屋です。でもあがってきたデザインがイメージと違ったので、自分で描き直してセリフも変え、(一度セリフを収録した)声優さんに再度来てもらって録りなおしをしました」(木村)
(取材・文・写真/風のイオナ)
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