夏の暑さを吹き飛ばす、水とバンドサウンドの祭典! 「BanG Dream!」Roselia単独野外ライブDAY2“Wasser”ライブレポート
「BanG Dream!」発のリアルバンド・Roseliaの単独ライブ“Flamme/Wasser”が2019年8月3日・4日、山梨県富士急ハイランド・コニファーフォレストにて開催された。今回は2日目の“Wasser”、ドイツ語で水を冠したライブをレポートする。
Roseliaは湊友希那役の相羽あいなさん(Vo.)、氷川紗夜役の工藤晴香さん(Gt.)、今井リサ役の中島由貴さん(Ba.)、宇田川あこ役の櫻川めぐさん(Dr.)、白金燐子役の志崎樺音さん(Key.)が声優とリアルバンドの両面で活動している。
本ライブはRoselia初の野外ライブ2日目。会場に向かうと、木々の中に赤と青に塗り分けられたRoseliaロゴのゲートが忽然と現れる。その奥にある暑気を払うウォーターミストの白い霧を通り抜けると、ぱっと視界が開けて広大なライブ会場が現れる感じだ。熱気に満ちた観客が開演を待ち受ける中、大型のメインスクリーンに雨粒がひとつ落ちる。初日の炎のムービーとはガラリと趣きを変えた、水面に無数の雨粒が落ちるイメージの荘厳なメンバー紹介映像と共に、メンバーがステージに登場した。
オープニングナンバーは雨と水面のイメージの「Determination Symphony」。相羽さんが「出し惜しみは許さないわよ!」と宣言すると、前日燃え上がったライブの熱と勢いをそのまま持ちこむように、最初からトップテンションでライブに雪崩れこむ。ドラムが激しさを増すごとに、櫻川さんの表情が楽しそうに、華やかな笑顔になっていくのが印象的だ。2日目は舞台に西日が直射したこともあり、ステージ上はこれぞ真夏のライブといった風情。初日はステージ前に吹き上がる炎の演出が多用されたのが、2日目はステージ前に幾重もの水が噴出する装置が設置され、演者と観客に涼を運んだ。
初日、相羽さんは赤と青の薔薇の髪飾りをつけていたが、2日目は結い上げた髪が濃紺のリボンで飾られていた。耳元の黒いイヤモニが黒曜石のように輝くのが印象的だ。「R」では、初日は炎に彩られた演者の熱量に目がいったが、今度は楽器隊による四様の美しいソロやコーラスの調べに、そしてボーカルの相羽さんが歌いながら唇をすっと小指でなぞる仕草などが印象的だった。
ここでメンバー紹介と諸注意を行なった後、ちょっとしたサプライズが。相羽さんの「アニメ『BanG Dream! 2nd Season』のオープニングといえば?」という「BRAVE JEWEL」の前振りに対して、工藤さんが(もうひとつのOPテーマであるPoppin'Partyの)「キズナミュージック♪」と即答。櫻川さんが「それでは聴いてください、『キズナミュージック♪』」と音頭を取ってバンド隊がイントロの演奏をスタート。スクリーンには「キズナミュージック♪」の映像まで一瞬流れるという、スタッフまでが一緒になってのドッキリで相羽さんをドキドキさせたのだった。
それでも「BRAVE JEWEL」がスタートすると、全員が戦闘モードになるのが流石の一言。中島さんと工藤さんは背中合わせになり、お互いのサウンドをぶつけあう。すっと背筋を伸ばした工藤さんと、上下に身を揺らして全身でリズムを表現する中島さんの温度の違いが面白い。相羽さんの高音が響き、それゆえに柔らかな歌唱の魅力が際立った。メンバーのソロパートに合わせて相羽さんの指がカウントアップしていき、自身のパートで力強い掌となったのは絵になる瞬間だった。
「Sanctuary」は2日目のみの披露。雲の向こうに霊峰富士を臨む自然に囲まれたフィールドに、Roseliaを愛するバンドリーマーたちが集ったここはまさに聖域。力強く訴えかけるようなボーカルに、あふれんばかりの愛情がこめられていた。
今日のカバーコーナーは「残酷な天使のテーゼ」からスタート。今度は相羽さんが逆光を背負ってサイドカメラを覗きこむ。今回のライブは撮影カメラが本当に多彩で、ステージ後方やサイドからステージを捉えるカメラ、ステージ前のレールカメラ、望遠で各メンバーを抜くカメラ、キーボードやドラムの演奏を抜くカメラがめまぐるしく切り替わって、スクリーンに臨場感を届けた。極め付きは上空を舞う空撮ドローンで、超満員の観衆の背後彼方にそびえる富士山の威容を俯瞰で見せてくれた。
カバーコーナーではさらに「ETERNAL BLAZE」、そして今回のライブで初披露の「This game」を披露。ステージに指しこむ西日が最後の残光となる時間帯が「This game」の世界観にぴったり合っていた。「This game」は喉を使った限界高音で畳みかける楽曲なだけに、初日と2日目で歌声のニュアンスも変わり、生ものとしてのライブを実感できた。
ここで一旦メンバーはステージから捌け、スペシャル映像「Roselia キャラ設定をくずしちゃいけない!! 富士急ハイランド編」へ。2日目は「戦慄絶叫編」として、いよいよRoseliaが富士急名物の絶叫マシンに挑戦する。各メンバー、それぞれ楽しんでいる様子が映像に収められていた。
映像明けのライブ後半戦は、白いドレス衣装に着替えての「Ringing Bloom」からスタート。胸元の魔石は各キャラクターカラーの色合いだ。この曲は相羽さんがステージに背を向けて、仲間たちに向けて歌いかける感じがとても印象的。その視線の先にいたのはこの曲の主役でもある志崎さん。歩み寄った相羽さんが志崎さんに寄り添って歌う場面もあった。白い光を浴びながら、一心に、時に躍動しながらキーボードを奏でる志崎さんは、どこまでも神々しい。演奏し終えた志崎さんは、感情の高まりをこらえているようにも見えた。
「Re:birth day」は等身大の友希那と、彼女の意志と祈りを込めた楽曲だ。力強い歌声を響かせる相羽さんの両脇に中島さんと工藤さんが寄り添うようなパフォーマンスを見せる。工藤さんが小さく口ずさみながらギターを奏でる姿が印象的だ。ラスト、成し遂げる“未来”を歌う相羽さんが掲げた右手が、力強く何かをつかみとった。
続く「FIRE BIRD」では、鮮烈なピアノのフレーズと共に誇り高き独唱を響かせた相羽さんが「潰えぬ夢へ、燃え上がれ!」と高らかに叫ぶと、再びステージ前に再び炎柱がたちのぼる。翼を広げるように相羽さんが両手を広げるたびに吹き上がる炎はまるで翼のようだ。中島さんの慟哭のような歌い上げがとても耳に残ったのをはじめ、メンバーそれぞれの想いを込めたソロからは新しい表現が感じられた。
感謝を込めたはじまりの歌、「BLACK SHOUT」でライブは終盤戦へ。繊細なソロプレイを弾きこなしながらカメラを見つめて「にこっ」と微笑んでみせる工藤さんの姿を見ると、初期楽曲だからこその技術の向上と進化を改めて感じる。
「これが最後の曲よ、また会いましょう」の言葉と共に送り出されたのは「Neo-Aspect」。ステージを覆う水柱の間から、両の掌で視界を塞ぎ、閉じた瞳を見開く相羽さんのメッセージ性の強い振付が覗く。その歌声にメンバーの、そして会場いっぱいの声が唱和してくのだが、広がりのある野外会場にしかない独特の空気感がある。会場を満たしどこまでも広がっていく観客たちの声は、祈りのようだった。
このパフォーマンスから、アンコール中に「キャラくず」のクライマックスに突入する落差は、Roseliaだけのオリジナルと言ってもいいかもしれない。映像で5人はついに富士急ハイランドのホラーアトラクションの目玉「絶凶・戦慄迷宮」に突入。
映像明け、ライブTシャツをまとった5人は「LOUDER」を披露。いつの間にか夕闇に包まれた会場で力強い歌声と、光の海の想いのコミュニケーションが展開された。
ここで「キャラくず」の最終結果発表が行なわれ、総合優勝は工藤さんに! 賞品として終演後富士急ハイランド園内にターコイズブルーの花火が上がることになった。最下位は志崎さんだと思われたのだが、ここでコーナーロゴに小さく書かれていた「※最後に絶叫ポイントを加算」の文字がクローズアップされる。改めて絶叫ポイントを加算した結果、またしても相羽さんがキャラくず逆女王に輝いたのだった。
また、結果発表の後には、ライブ映像Blu-ray「Roselia 2017-2018 LIVE BEST -Soweit-」が11月6日に発売されることも明かされ、会場は大きな歓声に包まれた。
2日間のライブを締めくくったのは、「熱色スターマイン」。準備中、少し暗い中前を見据える櫻川さんの真剣な眼差しに心が奪われた。客席を満たす深紅のサイリウムに、ステージを満たす黄金の光に照らし出されたラストステージ。相羽さんが工藤さんにぴったりとくっつき、工藤さんも頬を寄せていく光景はとても幸せそうだ。ラストのたたみかけ、「頂点に狂い咲け!」の言葉と共に、ステージの背後に花火の花が咲く。初日は驚きと熱狂に満たされた演出だが、2日目は花火に照らし出された5人全員の眩しい笑顔が記憶に焼きついた。この時、ステージの5人が見ていたのもまた、光に照らし出されたバンドリーマーたちの笑顔だったそうだ。
「Roseliaにすべてを賭ける覚悟はある?」の問いかけは、5人自身が努力と熱量を注ぎ、すべてを賭けたライブのあとだったからこそ、改めて特別に響いた。5人がライブに関わった全ての人々への感謝を届けると、上空のドローンカメラに観客全員で手を振ったり、ステージの上手後方に打ち上がる紗夜のイメージカラー・青緑色の花火をみんなで見上げたりと、このライブでしか味わえない体験でRoselia初の単独野外ライブは締めくくられた。
「『バンドリ!』に出会えて、よかった!!」(相羽あいな)
(取材・文/中里キリ、撮影/畑聡)
【セットリスト】
M01:Determination Symphony
M02:R
M03:BRAVE JEWEL
M04:Sanctuary
M05:残酷な天使のテーゼ
M06:ETERNAL BLAZE
M07:This game
M08:Ringing Bloom
M09:Re:birth da
M10:FIRE BIRD
M11:BLACK SHOUT
M12:Neo-Aspect
-encore-
EN1:LOUDER
EN2:熱色スターマイン
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