渕上 舞「Love Summer!」インタビュー ”リア充”な夏ソングを歌う理由とは!?

声優アーティストとして着実にキャリアを重ねる渕上 舞が3枚目のシングル「Love Summer!」をリリースする。夏らしい爽快な楽曲を生み出したのはこの季節の空気と”リア充”への憧れだという。マイペースであり、それゆえに愛される彼女の現在のモードと、創作へのモチベーションの高まりを詳しくうかがった。

「周りの人たちが明るくなるという空気感が好きなんです」


──「Love Summer!」を聴かせていただいて感じたのは、リア充感があるなという印象でした。おりしも、先日はTwitterで「意識高い生活に憧れてるんだ」という発言をされていました。今、渕上さんはそういうモードなのでしょうか?


渕上 舞(以下、渕上) そうなんです(笑)。「意識高い系」って今やちょっと揶揄するニュアンスを含んだ言い方ですけど、インスタに載せるために、わざわざ話題のパン屋さんやタピオカドリンク屋さんに行ったりして、流行やファッションにちゃんとついて行ったりしているんですよね。私自身がどちらかというとインドアな性格なので、そういう行動力を起こせる人をむしろ尊敬しちゃうんです。だからちょっと意識高い系女子の芸能人ぶろうかと思って。でも、なりきれないんですよ~(笑)。

──アーティスト活動を始めてからのインタビューでは、カフェに行って作詞をしたお話をうかがったことがありますが、プライベートの行動は変わってきました?

渕上 たしかに広がった気はします。行動力やフットワークの軽さという点では昔に比べるとかなり出てきたのかなとは思いますね。自然とそういうモードになっているし、仕事として作詞の表現をするうえでもいろいろ経験しておいたほうがいいと思って。声優としても表に出る機会は増えましたが、アーティスト活動をするとさらに露出が増えましたので、自分自身がきれいでいたいとか、かわいく見られたいというような美への意識も高まったような気がします。

──そのためにやってることって何かありますか?

渕上 ファッション誌を読むようになりました。そこでモデルさんと同じものを一式買ってみたり(笑)。そんなに高いものではないですけど。それは直接的にアーティスト活動に結びつくものではありませんが、そこも含めて意識が高まったこと自体はよいことだなと思っています。

──ニューシングルの「Love Summer!」は、そんなリア充感ある夏らしい1枚ですが、渕上さんは夏が好きな人ですか?

渕上 はい。四季の中で一番好きですね。あんまりアクティブじゃないから、そういうイメージを持っていただくことは少ないんですけど(笑)。私自身がフェスとか海とかビアガーデンに行くというわけではなく、そういう催しがあることで周りの人たちが明るくなるという空気感が好きなんです。

──今回は、何かの作品主題歌ではない形のシングルですが、どのようなコンセプトで作られましたか?

渕上 夏にシングルを1枚出したいねという話から、リリース予定が8月後半のまだ暑い時期なので、「夏ソング」をということからこの3曲になりました。最初の打ち合わせでは、ドライブで聴けるような曲を作ろうかという話があったのですが、私自身がドライブをしないので、あまりそういう状況が理解できなくて(苦笑)。だからまずはドライブはひとまず置いておいて、曲を聴いてみてから考えようということになりました。そうしたら作曲の中土智博さんが、私が前々から作りたいと申していた「タオル曲」にしてくださったんです。ドライブで聴くような爽快感もありつつ、ライブでみんなでタオル振り回しながら盛り上げられるリズム感を、いい具合にミックスしていただき、聴いた瞬間に夏の景色が脳裏に浮かぶようなメロディで、そのまま頂戴しました。


──タオル曲がセットリストに入ってると演出的によいと思うようになったのは、ソロライブを行なったからこその実感ですね。

渕上 そうですね。今までは「トロピカルガール」という曲が、みんなで歌って踊ってコール&レスポンスする曲でしたが、アンコール用という位置づけだったんです。これは本編に組み込んで汗を流して楽しめる曲なんじゃないかなと思います。

──作詞におけるテーマはどのように?

渕上 曲をいただいたとき、頭の中には断片的に夏の映像が思い浮かびました。ナイトプールにカラーボールが浮かんでいたりとか、大きなフラミンゴの浮き輪に女の子がつかまっていたりして、それがライトに照らし出されてちょっと妖艶な感じ………の昼バージョンを書きました(笑)。太陽が照りつけ、明るく気持ちのよい気候の中、輝く水面、カラフルなカラーボール、ちょっと華やかなドリンク……。それらを単語として混ぜつつ、ストーリーにしていきました。自分が歌詞を書かせていただく以上は自分の曲として、主人公がそのままイコールではないにせよ――、私の普段の思考や言葉遣い、口癖なども入れ込みつつ自分自身を投影して、ひとつの物語・キャラクターを作って書いていきました。

──渕上さんらしい言葉遣いというと、ワード的にはどんな言葉がそれにあたりますか?

渕上 「大事な日はいつも雨」とか(笑)。

──雨女としての体験談ですか(笑)。

渕上 そう(笑)。あとは2番の「慣れないサングラスにはやっぱり慣れなくて」も実体験です。2年くらい前に思い切って高いのを買ったのに、数回ほどしか使わずに引き出しで眠っているとか(笑)。これも最初のお話に戻りますが、意識高い系女子とかパリピに憧れてるけど、なりきれないような主人公を書いている感じです。

──ところどころニュアンスを込めて歌われているところがあって、ご自身で歌詞を書いているからこそ、演者として重ねやすい部分もあったのではと想像します。

渕上 はい。そのあたりの表現はとても楽しかったです。特に2番は遊ぶ部分が多かったので、ただ単純にきれいに歌うというよりも、楽しくお芝居する感覚で歌わせていただきました。その中でのスタッフとのやり取りも、モノを作ってる感覚が強くなるので楽しかったです。たとえばサビの「Love Summer」は、コールアンドレスポンスできたらいいなと思って、勝手に作ってしまった場所でした。

──そういう積極性はこれまでアーティスト活動を積み重ねてきたからこそ出たものではと思います。

渕上 それはありますね。歌詞にしても、あえて特別なことをしようと思っていたわけではなく、素直に出てきたものなんです。たった1年半ではありますが、さまざまな経験が生きているなと思います。

──アーティスト活動を始めるときのお話で、声優としての活動を崩さないようにマイペースでやっていけたらということをおっしゃっていたと記憶しています。それは現状よい影響として回っているように思います。

渕上 そうですね。声優の仕事にもプライベートの毎日にも影響を与えていると思います。アーティスト活動の影響を受けてアクティブになったことで、自分自身が明るくなったと思います。アフレコ現場でよくしゃべるようになったりとか、終わってからご飯を食べに行くとか、そういうところから変わっていっているなと思います。

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