沖縄愛とSNSがつないだ縁! 琉球銀行イメージキャラクター・りゅうぎんロボはコラボレーションの理想形!?【コラボのゲンバ第9回】
アニメや声優などのサブカルチャーとさまざまな業界のコラボレーションが活発化する今日この頃、「おっ!やってくれるな」「何?そうきたか!」とファンの心を刺激してくる商品、コラボ企画が続々と登場している。そこで、アキバ総研的に気になる「コラボ」の企画現場に伺い、企画の魅力やおもしろエピソード、苦労話などの制作裏話を、あれこれ伺っていこう!という連載が「コラボのゲンバ」だ。
第9回に登場するのは、琉球銀行イメージキャラクター・りゅうぎんロボ。銀行のイメージキャラクターでありながら、8月末には「りゅうぎんロボファミリーガレージキット」が発売されるという、従来の銀行のイメージからは想像がつかない、意外なコラボレーションである。
今回お話をうかがったのは、りゅうぎんロボの生みの親、琉球銀行 営業統括部 メディア戦略室 室長の伊禮真(いれい まこと)さん。りゅうぎんロボ誕生秘話や、琉球銀行がイメージキャラクターをロボットにした理由。そして今後の展開についての、楽しいお話をうかがった。
なおインタビュー当日には、「りゅうぎんロボファミリーガレージキット」記者発表会が行われ、琉球銀行の川上康頭取、国内大手フィギュアメーカーの海洋堂社長宮脇修一さんらが登壇した。
CMなどにも登場する琉球銀行のイメージキャラクター・りゅうぎんロボは、沖縄では知らない人はいない、文字通り子どもから大人まで幅広い層に人気がある地元のヒーロー。そんなりゅうぎんロボのファミリーが、ガレージキットとなって販売される。収益金は、沖縄県内の福祉団体へ全額寄付されるのだが、7月28日に開催された千葉・幕張メッセでの「ワンダーフェスティバル」で先行販売されたのを皮切りに、8月末からは海洋堂のオンラインストアでファミリーのロボ6体が発売開始となる。
川上頭取によると「型にはまらない新たな社会貢献としてPRしていきたい」とのこと。この企画は、琉球銀行のキャッチフレーズ『わくわくを広げよう』にぴったりだと胸を張る。ガレージキットをコラボした海洋堂・宮脇さんは、「お堅いイメージのある銀行がロボを作る、そして、それをガレージキットとして展開していくことに面白さを感じた。デザイン性にすぐれたりゅうぎんロボは、数あるヒーローロボに混ざっても、愛好家から受け入れられるくらい魅力的」と太鼓判を押している。模型のプロも絶賛のりゅうぎんロボは、一体どのように生まれたのだろうか。りゅうぎんロボの生みの親である伊禮さんに聞いた。
海外メディアも注目した「りゅうぎんロボ」のデビュー
—— りゅうぎんロボが生まれたきっかけを教えてください
伊禮 1990年代に銀行のTV CMが解禁されたことで、せっかくならCMを作ろうという話になりました。そこで、2002年頃に「おまとめローン」という企画をCMにすることになり、まずはお客様のペルソナを「40代」「男性」「お子様がいる」と設定しました。当時の自分と同じ世代で「おまとめ」をキーワードにいろいろ考える中で「合体」という言葉が浮かびました。私の小さい頃はロボットアニメ全盛期で、自分もアニメ世代だったので「ローン商品と合体するロボの組み合わせ、いいかもしれない」となりました。真剣に考えて出てきたアイデアです。
—— 伊禮さん自身も、ロボットがお好きだったのですか?
伊禮 大好きでした。ロボットアニメの元祖、マジンガーZは今でもイラストが描けるくらいです。造形的なことも大好きで、小さい頃から粘土でロボットや怪獣を作っていましたし、アニメはひと通り観ていました。銀行の商品を売るのが目的のCMなので、マーケティングをきちんとやりながら、インパクトがあるものをと考えたとき「ロボット以外ない」と思いましたね(笑)。運よく通った企画でしたが、銀行内もすごくざわざわしたことは事実です。それまでの銀行にはなかったイメージですから。でも、自分を信じて、クリエイティブを信じてぶっ飛んだものが作りたいという気持ちで突き進みました。
—— CMの反響はいかがでしたか?
伊禮 ばかうけでした(笑)。このCMがきっかけで、沖縄では知らない人はいない、子どもから大人まで誰でも知っている、それぐらいのキャラクターになりました。それがちょうど2002年のことで。その頃は、今のようにWEBも発達していなかったのですが、US版「エキサイト」のニュース記事に取り上げられたことをきっかけに全国的にも知られるようになりました。「Japanese bank is crazy!」みたいに興味を持っていただいたのでしょうね、海外で。海外のまとめサイトのようなところでもピックアップされた後、日本国内でも「沖縄の銀行が、ロボットのCM作ったらしい」という感じで知られるようになりましたね。銀行でこのような経験をしているのは琉球銀行だけなのではないでしょうか。
—— 営業面でどのようにプラスになっていますか?
伊禮 キャラクターができあがっているので、営業マンがキャラの話からトークを始めることができます。マーケティングの基本である第一想起ができるわけです。キャラクターをわかっているので、銀行のイメージも理解していただくことができます。
—— お客様に驚かれたのではないでしょうか?
伊禮 沖縄県でシェアトップ、今年で71年を迎える歴史もトップの老舗銀行だから、一番堅いイメージがあったかと思います。ですが、お客様のイメージを崩すためにはぶっ飛んだことをやらなければなりません。そもそも、CMを作る際にも「お客様をびっくりさせよう」という目的があったので、これくらいのことはやらないとダメですよね。イメージを崩す秘訣は、ちょっとした勇気だと思っています。
「りゅうぎんロボ」アニメ化の話も……?
—— ロボットなのに家族が増えていくというのもおもしろいですよね。
伊禮 家系図でもわかるように、合体ロボの進化系です。最初に住宅ローンのCMに登場したりゅうぎんロボは、現在はVisaデビットカードのキャラクターとしてがんばっています。VISAのキャラクターにロボットが就任というのも、世界初のことではないでしょうか(笑)。ロボットのキャラクターは、きちんと商品に反映されています。たとえば、ソーラーパネル付き住宅ローンのイメージキャラクターであれば、ソーラーパネルを背負っています。商品が増えるたびに、キャラクターが増えています。キャラクターが増えると、家族が増えて、謎が解けていくという流れなんです。今は「?」となっていますが、そのうち奥さんロボも出てくるかな……という感じです。こちらは乞うご期待です。世界初のおばあちゃんロボ(アンマーロボ)もいますしネ(笑)。それぞれのロボがトランスフォームする様子は、YouTubeで観ることができるので、ぜひチェックしてください!
—— 世界的なアニメーターの大張正己さんが手がけたデザインが登場し、さらに世間をざわつかせたわけですが……。
伊禮 「大張さんがりゅうぎんロボについてツイートしている」という噂を耳にしまして。ツイッターのタイムライン上でやり取りをしていたら「何やら琉球銀行の担当と大張さんが話しているぞ!」とざわざわしてしまい、あわててダイレクトメッセージに切り替えてお話をさせていただきました。大張さんはもともと沖縄が好きということもあり、沖縄の銀行が作ったロボットを気にかけてくださっていました。フットワークがとても軽い方で、1時間ほどメッセージのやり取りをして、「1週間後に沖縄に行きます」「ではお食事でもしましょう」という話になりました。そして、食事の場所で話がトントン進んでいき、CM監督をお願いしました(笑)。
—— そして、中の人も速水奨さんということで、このコラボすごすぎです!
伊禮 こちらも、嘘のようなホントの話なのですが、大張さんから「速水さんが『声は僕しかいないよね』とおっしゃってます」とツイッターで教えてくださって。後からうかがったら、速水さんのお父様が沖縄の方ということもあり、沖縄が繋いだ縁がここまで大きくなったという、とてもいい話になってしまいました。
—— 沖縄愛が生み出した沖縄に愛されるキャラ。SNSが繋いだコラボレーションの理想形ですね。そしてみなさんフットワークが軽く、決断が早いですね。
伊禮 代理店を通さず、私自身が音楽も選び、プロデューサー的なこともやっています。私が属している琉球銀行 メディア戦略室は、クリエイティブ集団になることを意識しています。特に直でクリエイターと話すことを大事にしていますし、今回の海洋堂さんは、まさにクリエイター集団なので話が早くて本当に助かりますし、刺激にもなります。
—— 伊禮さん自身もクリエイターなのですね。
伊禮 実は、沖縄の特撮番組「琉神マブヤー」では2本ほどシナリオも書いています。私の場合はテクニックというより「やってみよう!」という気持ちの強さが運を引き寄せているのかと。というのも、それまでシナリオなんて書いたことがなかったんです。でも、「書いてみない?」とお声がけいただいたのをきっかけに、本でシナリオの書き方を勉強して書き上げました。テーマがあったこともあり、2本出した企画が両方通るという結果だったんです。私は、あくまで琉球銀行のいち銀行員なので、脚本はあくまでもボランティアという形で参加させていただきました。
—— では、もし「りゅうぎんロボ・アニメ化!」という話があっても、脚本も書けちゃいますね。
伊禮 アニメ化については、うれしいことにこれまでにもお話をたくさんいただいています。ここまでキャラクターが育ってきたので、本格的にやってもいいかなと思い始めています。銀行という立場上、敵は作らない。マブヤーも戦わないので、そのあたりは共通点かなと。あえていうなら、自然災害を相手に人の豊かな生活のために働くロボットをテーマに描くアニメもいいかなという、ぼんやりとした構想はあります。
まだまだ終わらない、琉球銀行の挑戦
—— 今回、売上金は寄付になるというこということですが……。
伊禮 ロボットの販売そのものは、銀行本来の業務ではありません。それに売り上げが銀行に入ると思うと、購入するお客様も複雑な気持ちになるかなと思いまして。寄付なら、みなさんに気持ちよく買っていただけると思い、この形を選びました。地域に貢献することが地方銀行の目的なので、その目的を失ってしまった銀行は淘汰されてしまう、それでは意味がありませんから。
—— りゅうぎんロボをきっかけに沖縄に行きたくなるという方も、増えそうですね。
伊禮 そうなるとうれしいなと思います。実は、今いろいろな構想があります。例えば、りゅうぎんロボの胸の「Rマーク」は、琉球銀行のロゴを使っているのですが、この部分にいろいろな企業ロゴを入れてもOKという形で将来的には無償提供したいと考えています。そうすると、沖縄県内の企業のキャラが、すべてりゅうぎんロボになるわけです(笑)。すでに人気キャラにはなっていますが、今も地方のテレビ番組やCMに出演したり、ロックフェスなど地域の協賛イベントなどにも積極的に参加しています。今日着ているのは、宮古ロックフェスとのコラボTシャツですが、去年はモンパチフェスにも参加しました。うち(琉球銀行)のテーマソングはモンパチ(MONGOL800)ですから。
※MONGOL800……沖縄県を拠点に活動するロックバンド。代表曲は「小さな恋のうた」「あなたに」など。
—— 次々と出てきますね。銀行であることを忘れてしまいそうです(笑)
伊禮 まだまだいろいろアイデアがあるし、話したいこともたくさんあります。今日話したのは1/10くらいかもしれません(笑)。文化支援にも貢献できるような取り組みもしています。
—— 生活はもちろんのこと、福祉や文化、そしてエンタメまで。さまざまな取り組みを通して、地域活性に繋げてくれる。琉銀さんがいれば、沖縄は安心!を体現している感じですね。沖縄のアイコン的存在というイメージです。
伊禮 そうありたいと思っています。「また琉球銀行がおかしなこと始めたぞ」というニュースを耳にしたら、ぜひインタビューしてください(笑)。
—— ぜひ、よろしくお願いいたします。ぶっ飛んだ企画、楽しみにしています。ありがとうございました。
(取材・文/タナカシノブ)レアアイテム!「りゅうぎんロボ」貯金箱を抽選で2名様にプレゼント!
みんなの思い(=お金)を一身に集め、ゆとりのある暮らしを守るりゅうぎんロボ貯金箱を、抽選で2名様にプレゼント! 腕もうごいてかっこいいぞ!
<賞品>
「りゅうぎんロボ」貯金箱
<応募要項>
・応募期間:2019年8月27日(火)~2019年9月3日(火)23:59
・当選人数:2名様
・当選発表:賞品の発送をもって発表に代えさせていただきます
・賞品発送:2019年11月末までに発送予定
・応募方法:以下の専用応募フォームにて受付
<注意事項>
・応募には会員登録(無料)が必要です。
・応募はひとり1回に限らせていただきます。
・抽選結果・発送状況に関するお問い合わせには応じられません。
・当選された賞品もしくは権利を第三者に譲渡・転売することを禁じます。
・カカクコムグループ社員、および関係者は参加できません。
・賞品の発送は国内に限らせていただきます。
・梱包には細心の注意を払いますが、万が一運送中の事故により破損等した場合でも、返品・交換等は受け付けられませんので、あらかじめご了承ください。
・下記の場合は、当選を無効とさせていただきますので、ご注意ください。
同一住所または同一世帯で複数回ご当選されている場合
不正なアカウント(同一人物の複数アカウントなど)を利用して応募した場合
ご当選者の住所、転居先不明・長期不在などにより、賞品をお届けできない場合
ご登録いただいたご連絡先・お届け先情報の不備により、賞品がお届けできない場合
賞品お届け先ご連絡締切日までに、ご連絡いただけなかった場合
ご応募に関して不正な行為があった場合
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