【インタビュー】アグレッシブな楽曲と、憂いのある歌詞。藍井エイルらしさ120%のニューシングル「月を追う真夜中」

今年4月に4thアルバム「FRAGMENT」をリリースし、全国8都市を巡るライブツアー「Fragment oF」を成功に導いた藍井エイル。そんな彼女のニューシングル「月を追う真夜中」が、2019年8月28日にリリースされる。この曲は、TVアニメ「グランベルム」のオープニングテーマで、アニメの世界観を見事に表現したキャッチーでアグレッシブな楽曲になった。「日常」をテーマにしたアルバム「FRAGMENT」を越えて生まれた、シンガー・藍井エイルの魅力が120%詰まった曲だ!

「月を追う真夜中」は、ネタバレぎりぎりまで攻めて、歌詞を書きました


──「月を追う真夜中」は、ストレートにエイルさんらしい曲だなと思いました。

藍井 5月から7月まで開催したライブツアー「Fragment oF」でも毎回歌ってきましたが、ファンのみなさんが、まるで長く聴いてきた曲のように反応してくれました。ずっと私の曲を書いてくださってきた重永亮介さんの作曲・編曲なので、私の原点とも言える曲調になったと思います。

──作詞はエイルさんですね。「グランベルム」という作品のどういう部分を歌詞にしようと思いましたか?

藍井 原作がないアニメオリジナル作品なので、台本を全話読ませていただきました。ストーリーの中で衝撃的な出来事がいくつもあって、人間ドラマもすごく濃密だったんです。その中から自分の気持ちと重なる部分をテーマに歌詞を書いていきました。具体的に言うと、大事な人との記憶や、一緒に積み上げてきたものは簡単には崩れないし消え去らないということです。

──「月を追う真夜中」というタイトルには、どのような思いをこめたのでしょう?

藍井 このタイトルは、実はネガティブな意味を持っていて、大事な人と積み上げてきた時間を夜空に浮かぶキレイな月にたとえて、それを闇が侵食していくようなイメージなんです。歌詞を書き上げた後で考えたので、歌詞にたくさん出てくる「月」というワードは必ず入れたいなと。そのうえで、今までの藍井エイルの曲になかった長めのタイトルにしたらどうかなと思いついて、「月を追う真夜中」と名づけました。そして、タイトルが決まってから、最後のサビを全部書き直したんです。

──楽曲の中でも特に大切な部分ですね。どうして書き直そうと思ったんですか?

藍井 「月を追う真夜中」が、テーマとして明確に浮かび上がってくる終わり方にしたかったからです。しかも、ネガティブワードであるタイトルが反転して、ハッピーエンドになっていく流れを、最後のサビで作ろうと思いました。大切な人との思い出は、たとえ闇に包まれることがあっても消え去ることはないと。アニメに照らして言うと、主人公の満月(小日向満月)と新月(新月エルネスタ深海)は、自分たちの関係性を引き裂こうとしている運命や世界に捕らえられることなく、お互いのことを大事に思いながら光輝くというイメージです。

──ということは、「グランベルム」のストーリーが予測できるような歌詞だということですね。

藍井 そうですね。ネタバレぎりぎりのところまで攻めて書きました。「グランベルム」を最後まで見ていただくと、歌詞のこの部分は、このエピソードのことを歌っていたんだ、とわかっていただけるところがたくさんあると思います。序盤の展開で例を挙げると、「私に何一つなくても」は、自分には何もないというコンプレックスをかかえている満月の気持ちにつながるワードです。そんな彼女が「記憶よ 消えないで」と願うのは、どうしてなんだろうと。「月を追う真夜中」はストーリーの解答編みたいな曲になっているので、放送に合わせて楽しんでいただけたらうれしいです。

──エイルさんは、「グランベルム」という作品について、どう感じましたか?

藍井 すごく面白くて、台本は一気読みでした。キャラクターのそれぞれに対して、どういう気持ちでこんな行動に出てくるんだろう? と興味がわいてくるんです。この子やっぱり好きだなという子もいれば、イヤな子だなと思う子もいて、心を動かされました。いい意味でストーリーに振り回されながら台本を読んだので、歌詞も愛を込めて書くことができました。

──先ほどもおっしゃっていましたが、人間ドラマが大きな見どころですよね。

藍井 築き上げていく関係性と壊れていく関係性の両方があって、衝撃を受けたシーンがたくさんありました。台本を読んだだけでゾッとするシーンもあって、これに絵がついたらどうなってしまうんだろうと。コンプレックスを抱えているキャラクターが多いんですが、負の気持ちというのは多かれ少なかれ誰もが持っているものなので、感情移入しやすい作品になっていると思います。

──エイルさんが特にお気に入りのキャラクターは?

藍井 新月ちゃん推しですね。まずは見た目が好きだったんです(笑)。最初はすごくクールな女の子に思えたんですけど、ストーリーが進むにつれて彼女の感情が見えてきて、さらにかわいらしく感じるようになりました。

──初回盤のDVDにはミュージックビデオ(MV)が収録されます。ショートバージョンがYouTubeにアップされていますが、演奏シーン中心のMVという感じですね。

藍井 ライブを見ているような感覚で楽しんでいただけるMVになりました。カメラが派手に動くエモーショナルな映像で、しかも引いたアングルが多いんです。監督さんは激しさのある映像をイメージしていたんですが、スタイリストさんは逆にシックな衣装を用意してくださっていて、そのギャップが生み出す効果が、私には面白かったです。ただ、ヒールがすごく高くて、激しく動くので、転んだら大変だなと思いながら歌っていました(笑)。足下が映らないカットでは思い切って裸足になったりしました。


──シックな黒の衣装は、ジャケットと同じものですね。

藍井 はい、素材がポリエステルで動きやすい衣装でした。エレガントでかわいくて、「月を追う真夜中」のイメージにも合っていたので、ひと目惚れでした。初回盤のPhotobookには、ジャケット写真のアナザーショットがたくさん掲載されているので、楽しみにしていただきたいです。私のことをずっと撮ってくださっている加藤アラタさんの撮影なので、いい写真ばかりです。

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