【インタビュー】上質かつフレンドリー。早見沙織の素晴らしいライブ「Concert Tour 2019 “JUNCTION”」が、Blu-ray & DVDに!

2ndアルバム「JUNCTION」のリリースを受けて、2019年4月に、全国4都市で「Concert Tour 2019 "JUNCTION"」を開催した早見沙織。その最終公演にあたる、4月29日・東京国際フォーラムでのライブが、Blu-ray & DVDでリリースされることになった。
歌唱力の高さに定評があり、作詞・作曲をこなすシンガーソングライターでもある早見さん。その魅力がたっぷりと味わえる全26曲。彼女にしか作り出すことができない上質でやわらかく、お洒落な音楽空間を、ぜひ映像で体験してほしい!

各会場ごとに違うアドリブが入る、自由度の高いライブツアーになりました


──4月6日の広島からスタートして、大阪、札幌、そして、4月29日の東京まで続いたコンサートツアー「JUNCTION」。振り返っていかがでしたか?

早見 約2年ぶりのツアーだったので、感慨深かったです。本当にこのツアーをやることができてよかったと思いました。

──ツアー通して、録音してある音との同期がない、実際にステージにいる演奏者だけでのライブだったんですよね。

早見 はい。広島、大阪、札幌はギター、ベース、キーボード、ドラムのバンド編成で、東京だけストリングスとコーラスが加わりました。だから、4月29日の国際フォーラムでのライブはツアーの集大成でもあり、その編成での初日でもあるという感覚でした。ツアーで積み重ねてきた経験と、初日のドキドキ感の両方が出ていたライブだったと思います。

──同期がないということは、より、その日ならではの演奏になるということですよね。

早見 そうですね。その場の雰囲気によって、曲のテンポが速くなったり、逆にバラードはCDよりもゆっくりめに歌っていたり、曲の間奏部分のアレンジが毎回違っていたりと、自由度の高いライブになったと思います。その分、歌うプレッシャーも上がったんですけど(笑)。

──セットリストには、どういうこだわりがあったのでしょうか?

早見 2ndアルバム「JUNCTION」のツアーなので、アルバムの曲は極力やりたいと思ったんですけど、収録曲のジャンルが多岐にわたっているので、セットリストを組むのはすごく難しかったです。既存の曲も含めて、曲名をすべてノートに書き出して一覧してみたり、スマホのプレイヤーでプレイリストを作って聴いてみたりしながら、組み立てていきました。方法的には、ライブをいくつかのセクションに分割して、各セクションで何を歌うか考えていったという感じです。

──各セクションというのは、具体的には?

早見 最初は楽しく華やかに始まり、中盤で少し落ち着かせて、またもうひと盛り上がりして、最後は大団円、みたいなイメージです。その流れに合わせて舞台演出も決めていって、曲によっては紗幕に映像を映したり、弾き語りのピアノの上にいくつもの電球をぶら下げたり、曲によっていろいろな演出を用意していただきました。


──まずはオープニングで、「JUNCTION」のアルバムジャケットにも使われていたロゴが、線が動いてでき上がっていくアニメーションがありました。あれでまずはワクワクさせられて。

早見 あれ、かっこよかったですよね。私も大好きです。

──また、映像を使った演出では、中盤の「白い部屋」と「祝福」がすごかったです。雨や雲、窓や花、海の中といった印象的な映像が曲に合わせて流れて、幻想的な雰囲気を作っていましたね。

早見 実写の映像が紗幕に映し出された2曲ですね。あれは、曲から連想されるイメージを舞台監督さんがご提案くださって、スタッフみんなで話し合って決めていきました。具体的すぎず抽象的すぎない、いい塩梅の映像になったと思います。お客さんも、この2曲についての感想を書いてくださった方が多くて、視覚的な演出はインパクトを残すんだなと思いました。

──「祝福」はノイジーなギターが鳴る曲で、今までの早見さんにはなかったジャンルですよね。

早見 そうですね。アルバムのエッセンスとして加えた曲でしたが、映像とともにライブで披露したことで、「祝福」は完成したように思います。歌っている私は紗幕の中にいたので、Blu-ray & DVDになって初めて、客席からはこう見えていたんだとわかりました。

──先ほど、中盤は落ち着くセクションとおっしゃっていましたが、「白い部屋」「祝福」の2曲と、それに続くピアノの弾き語りの3曲あたりがそれに当たります。

早見 ピアノの弾き語りも、お客さんからたくさん感想をいただきました。新曲の「curtain」を含め3曲というのはライブでやったことがない曲数で、プレッシャーがありました。あの瞬間は今でもありありと思い浮かぶんですけど、バンドのみんながいたステージに誰もいなくなって、私とピアノだけになり、右側(客席側)を見ると数多の人がいるという独特の空気感は緊張しましたね。

──「curtain」は、生まれたての新曲だったんですよね。

早見 はい。ツアーを通して1曲完成させようというコンセプトで生まれた曲です。曲自体は以前からできていて、ツアーで何か新鮮な曲を披露できたらいいよねという話がスタッフ間で上がったときに、じゃあ、あの曲を歌ってみましょうかと。でも、歌詞がライブツアーとは無関係だったので、せっかくだからツアーの肌で感じたことを新たに歌詞に書いてみますと、その後の大変さなど知るよしもなく、私から打ち合わせで提案させていただいたんです。広島、大阪とラララで歌い、3公演目の北海道では一部分でも歌詞で歌おうと思っていたのですが、やはり全体像を固めてからにしたいということで、結局ラララで通しました。

──ということは、東京でやっと歌詞入りの「curtain」を披露できたと。

早見 3公演で感じた生々しい思いを、「幕が上がる」というテーマで書きました。ライブがちょうど4月だったので、新生活が始まる人も多いと思って。

──その後、バンドが加わって「little forest」を歌い、次がカバーの「FLY ME TO THE MOON」でした。

早見 何か1曲、ツアーでカバーしようということになって、せっかくなのでジャジーな英語の曲を歌いたいなと。「FLY ME TO THE MOON」は私が小さい頃、ジャズボーカルを母を一緒に習っていたときに、数曲目くらいに練習した曲なんです。小さなライブハウスで母とデュエットしたこともあって、自分のプライベートにとっても印象的な曲であり、仕事でもキャラクターが歌うカバーソングとして歌わせていただいたことがあって、1曲カバーするなら、この曲がいいんじゃないかなと思いました。

おすすめ記事