ギー太から星のランダムスターへ! 声優ガールズバンドのStoryがつながった「Animelo Summer Live 2019 -Story-」DAY3みどころ&レポート
世界最大級のアニメソングの祭典「Animelo Summer Live 2019 -Story-」DAY3が、2019年9月1日、さいたまスーパーアリーナにて開催された。
最終日となるDAY3には藍井エイルさん、蒼井翔太さん、今井麻美さん、上坂すみれさん、内田真礼さん、内田雄馬さん、小倉 唯さん、黒崎真音さん、ZAQさん、JAM Project、スピラ・スピカ、buzz★Vibes、Poppin' Party、OxT、JUNNAさん、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、ClariSが出演した。
DAY3は藍井エイルさんと蒼井翔太さんの「あおい」コンビによる「Preserved Roses」コラボで開幕。2人の胸元には蒼い薔薇があしらわれていた。この2人の組み合わせが放つエネルギーは圧倒的で、蒼井翔太さんの男性的でパワフルなシャウトには多彩な引き出しと新しい魅力を感じた。
DAY3のアーティストの顔ぶれを見て、改めて感じるのはそのバラバラと言ってもいいほどの個性と多様性だ。前半戦のスピラ・スピカ、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、上坂すみれさん、ClariS、JUNNAさん、今井麻美さんという並びの色の多彩さたるや。そのある意味雑多な並びに方向性を与えたのが、「虹ヶ咲さんのあとにえっちな曲を歌っていいんですか?」と言いながら「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」を披露した上坂すみれさんだったように思う。突き抜けた表現を照れなく、インパクト満点に見せた彼女がセットリストの並びにみずから言及したことで、バラバラでいいんだ、むしろそれが面白いんだ、という空気が生まれたように思う。
女性アーティストが続く中に内田雄馬さんと内田真礼さんの姉弟の並びをそっと忍ばせ、それを内田真礼さんと上坂すみれさんのコラボ曲でサンドするのも構成の妙だ。
ライブ中盤、放課後ティータイムと休憩明けのJAM Projectという、あまりにも巨大すぎる存在感の名残を中和する役目を果たしたのが、小倉唯さんと内田真礼さんの「ハム太郎とっとこうた」だった。この位置であっけらかんとこの曲をフルサイズで歌うことが許容される、“小倉唯”という存在の揺るがなさ。トロッコでアニサマ会場を縦断しながら歌われる「ハム太郎とっとこうた」は肩の力が抜けて思わず笑ってしまうゆるさと、アニクラ的なノリで激しく高まる要素の両方を内包するカオスだった。
そして最終日最大のサプライズが、アニメ「けいおん!」シリーズから生まれたバンド・放課後ティータイムの出演だった。当時から大切に保存されてきたメンバーの楽器の数々がスクリーンに映し出され、“予感”と“気づき”が会場に広がっていく。開幕を告げるギターがかき鳴らされ、秋山澪役の日笠陽子さんが「行くぜアニサマー!」と叫んだ瞬間の、さいたまスーパーアリーナ全体が赤とオレンジの光と共に絶叫するようなものすごい空気が忘れられない。平沢唯役の豊崎愛生さんと、中野梓役の竹達彩奈さんの背中合わせのセッションは伝説の中の光景だった。豊崎さんは「アニメ『けいおん!』放送から10周年。時間がたってもたくさんの人が愛してくれて、感謝でいっぱいです!」と喜びを伝えていた。
声優リアルバンドの系譜
声優自身が演奏するリアルバンドの歴史は、1970年代に野島昭生さん、古川登志夫さんらが結成したバンド「スラップスティック」に遡る。しかし、バンド(軽音楽部)がテーマのアニメ作品のキャスト自身がバンドとして演奏するという形で、作品と演者の演奏が結びついたという点で、2009年の「けいおん!」はエポックメイキングだった。「けいおん!」がガールズバンドブームに与えた影響は大きく、放送後は澪が使うレフティモデルのベースが飛ぶように売れたことを記憶している方も少なくはないだろう。
作品イベントやライブの中で、歌唱する楽曲のうち数曲をキャストが生演奏するという限定的なチャレンジだった「けいおん!」に対し、ガールズバンドアニメに出演する声優自身によるリアルバンド結成をコンセプトと定め、ライブ全編に渡って声優自身が演奏することに挑戦したのが2015年に始動した「バンドリ!」プロジェクトだった。
面白いのは「けいおん!」のブームが直接「バンドリ!」につながっていったのではなく、一度断絶が存在していることだ。元々アーティストとしても活動していた愛美さんがアイドル作品「アイドルマスター ミリオンライブ!」にジュリア役として出演し、アイドルの表現のひとつとしてステージ上でギターを弾きながら歌った。その姿の鮮烈さを見た関係者の発案を経て、「バンドリ!」プロジェクトは動き出したのである。声優自身が練習を重ねて楽器を奏で、その努力が辿り着いた光景が感動を呼ぶという構図は、むしろ「ラブライブ!」などのアイドル作品の系譜の影響が濃い。
もちろん、バンド物としての先達の影響はある。Poppin'Partyの牛込りみ(cv:西本りみ)が歌う「私の心はチョココロネ」の、女子高生が身近にある大好きなものをふわっとゆるく歌うスタイルを見て、放課後ティータイムを思い出した人は多いだろう。
そして忘れてはならないのは、“カバー”で生まれた逆方向の流れだ。「バンドリ!」最初期のPoppin'Partyには持ち歌が少なかったことから、アニソンの名曲の数々をカバーして演奏していた。そこから着想を得て、「バンドリ!」のスマホアプリ「バンドリ! ガールズバンドパーティ!(「ガルパ」)」はアニソンの名曲の数々をカバーで楽しめる音楽アプリとして広がっていった。2009年放送の「けいおん!」を知らない世代にも、「Don’t say“lazy”」や「GO! GO! MANIAC」といった楽曲が知られるようになったのである。放課後ティータイムの"音"、「Don’t say“lazy”」のイントロが流れた瞬間に、さいたまスーパーアリーナ全体が1個の生き物になったような熱狂と一体感が生まれた陰には、楽曲をカバーし受け継ぎ、若い世代に名曲を伝えてきた後輩たちの力もあったと思う。
2019年、作品とともにライブを重ねる中でリアルバンドコンテンツとしても進化した「バンドリ!」は、初日にRoselia、2日目にRAISE A SUILEN、3日目にPoppin'Partyという3つのバンドをアニサマに送りこむに至る。「けいおん!」10周年というタイミングのアニサマで放課後ティータイムが復活させる機運が生まれ、彼女たちが再び楽器を取ることを選んだことと、声優ガールズバンドというジャンルの隆盛は無関係ではないと思う。別の時代に存在した作品同士が刺激を与え合い、同じステージに立つ。そのStoryが生まれたのは、2つの作品が過ごした時代の中で変わることなく存在し続けたアニサマがあればこそだったと思う。
トリ前という特別なタイミングに登場したPoppin'Partyのステージは、スクリーンの中で音楽を奏でるキャラクターたちと、現実で演奏するキャストたちの姿をより高い次元でシンクロさせるために、カメラワークやカット割にもこだわり抜いているように見えた。Poppin'Partyが「ティアドロップス」という彼女たちの楽曲の中でもとびっきりかっこよくて熱いナンバーで、アニサマバンドの熟練の匠たちとセッションする姿を見て、改めて彼女たちが重ねてきた努力と成長を実感したのだった。
(取材・文/中里キリ)
●Animelo Summer Live 2019 -Story- DAY3
2019.09.01.さいたまスーパーアリーナ セットリスト
M01:Preserved Roses(藍井エイル×蒼井翔太)
M02:スタートダッシュ(スピラ・スピカ)
M03:イヤヨイヤヨモスキノウチ!(スピラ・スピカ)
M04:TOKIMEKI Runners(虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会)
M05:ボン▽キュッ▽ボンは彼のモノ▽(上坂すみれ)
M06:last sparkle(上坂すみれ)
M07:SHIORI~CheerS(ClariS)
M08:secret base~君がくれたもの~(ClariS)
M09:コノユビトマレ(JUNNA)
M10:イルイミ(JUNNA)
M11:Believe in Sky(今井麻美)
M12:遠い音楽(今井麻美)
M13:Speechless(内田雄馬)
M14:Hands(OxT×内田雄馬)
M15:鼓動エスカレーション(内田真礼)
M16:youthful beautiful(内田真礼)
M17:魔女になりたい姫と姫になりたい魔女のラプソディー(内田真礼 feat. 上坂すみれ)
M18:BRAVER(ZAQ)
M19:ソラノネ(ZAQ)
M20:buzz★Parade~心絵(buzz★Vibes)
M21:EZ DO DANCE(buzz★Vibes feat. MOTSU)
M22:Don’t say“lazy”(放課後ティータイム)
M23:GO! GO! MANIAC(放課後ティータイム)
-休憩-
M24:Tread on the Tiger's Tail(JAM Project)
M25:静寂のアポストル(JAM Project)
M26:HERO(JAM Project)
M27:SKILL(JAM Project with アニサマフレンズ)
M28:ハム太郎とっとこうた(小倉唯×内田真礼)
M29:ハイタッチ☆メモリー(小倉唯)
M30:Raise(小倉唯)
M31:ROAR(黒崎真音)
M32:幻想の輪舞(黒崎真音)
M33:Tone(蒼井翔太)
M34:UNLIMITED(蒼井翔太)
M35:Clattanoia(OxT)
M36:ゴールデンアフタースクール(OxT)
M37:UNION(OxT×SSSS.GRIDMAN)
M38:ティアドロップス(Poppin'Party feat.アニサマバンド)
M39:STAR BEAT! ~ホシノコドウ~(Poppin'Party)
M40:キズナミュージック♪(Poppin'Party)
M41:シリウス(藍井エイル)
M42:INNOCENCE(藍井エイル)
M43:月を追う真夜中(藍井エイル)
M44:IGNITE(藍井エイル)
M45:CROSSING STORIES(アニサマ2019出演アーティスト)
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