富野由悠季監督も泣いたシーンとは!?劇場版『GのレコンギスタII「ベルリ 撃進」』2日目舞台挨拶レポート!

富野由悠季監督の最新作である劇場版『GのレコンギスタII「ベルリ 撃進」』が、2020年2月21日(金)より公開。2日目の2月22日(土)には新宿ピカデリーにて、富野監督も登壇する舞台挨拶が行われた。

2014年にTVで放送された「ガンダム Gのレコンギスタ」(全26話)に新作カットを追加し、映像を再編集したのが、劇場版「Gのレコンギスタ」(全5部作)。その第2部となるのが、今回上映開始される『GのレコンギスタII「ベルリ 撃進」』だ。

劇場版『Gのレコンギスタ』は、なぜ“わかりやすい”のか? 富野由悠季総監督に聞いてみた!【アニメ業界ウォッチング第63回】

公開2日目の新宿ピカデリー初回上映後に、舞台挨拶が開催。今回は富野由悠季監督のほかに、マスク役・佐藤拓也さん、マニィ・アンバサダ役・高垣彩陽さん、バララ・ペオール役・中原麻衣さん、デレンセン・サマター役・小山剛志さん、ベッカー・シャダム役・姫野恵二さんが登壇。第2部のドラマのキーキャラクターである、キャピタルアーミーの面々が一堂に会した。

上映後の舞台挨拶は、「(登壇者の入場時に)ドリカムの曲が流れてムカッときている」という富野監督の過激な一言からスタート。しかし、その理由については「曲に負けないで映画を作らないと」と刺激を受けたというライバル心からだという。開幕早々、さく裂する富野節に会場は大きな盛り上がりを見せた。

いっぽうのキャスト陣だが、小山さん、中原さん、姫野さんは「Gレコ」のステージに立つのは今回が初。アニメ声優デビュー作が、富野監督の「ターンエーガンダム」(1999年)という小山さんは、「Gレコ」の映画化に「感無量」とコメント。

ベッカー役の姫野さんは富野監督じきじきに「今回の主役です」と紹介を受けて、緊張しきりの様子。TVシリーズでは第10話での大活躍の印象も強いベッカーだが、あの演技は「(第10話の演出を手がけた)荒木監督から『もっとおかしくなってくれ』と言われてああなったんです」とアフレコ裏話が披露された。
また、ベッカーは本当に人気があるのかわからないとう姫野さんが、観客に「ベッカーが好きな人?」とたずねると、会場からは盛大な拍手がかえってくるという場面もあった。
なお、富野監督いわく「ベッカーは第5部まで活躍する」とのこと。引き続き姫野さんの熱演に注目したいところだ。

バララを演じる中原さんは、本作でマスク、マニィと三角関係のドラマを繰り広げていることもあり、「この並び(高垣、佐藤、中原)で話させていただけて光栄」と語り笑いを誘う。

このコメントからもわかるように、『GのレコンギスタII「ベルリ 撃進」』では、マスク、マニィ、バララによる男女の駆け引きも見どころの一つである。

司会者から「バララとマスクの自然な距離感は、マニィからするとイラっとするのでは?」と降られた高垣さんは、マスクがバララの名前を叫ぶシーンに「イラっとした」とマニィ視点での感想を語ると、中原さんは「こっち(バララ)からすると、(マスクと)いい感じでやっていたのに、勝手に入ってきて何?」とバララの気持ちを代弁。美女2人の間に挟まれた佐藤さんは、うなだれつつ「(マスクの言動は)台本通りです」とコメントするばかり。

このやりとりに富野監督も爆笑しつつ、「今のようなシーンを作るためにどれだけ考えたか」と制作の苦労を語る。特に会心のシーンは、モビルスーツから降りるバララに対して、マスクが手を差し伸べて足を支えるところだという。「あれだけですべてを説明できるシーンを作れたのは、50年やってきて初めて」「エクスタシーも感じた」「足を支えるシーンを考えた時、一晩泣いた」そうだ。

ちなみに富野監督が、「バララは『Gレコ』で一番いい女。第4~5部での身の引き際がいい」と今後の展開をにおわせつつ解説すると、それに対して中原さんは「男に都合のいい女なんですね」とバッサリ。さすがの監督も、これには苦笑するばかり。

ともあれ、富野監督によると「5部まで見ると、マニィとバララはきちっとそれぞれの立ち位置にいる」ことがわかるので、楽しみに見てもらいたいとのことだ。

また、『GのレコンギスタII「ベルリ 撃進」』ではベルリが教官であるデレンセンを撃墜してしまう衝撃的な展開が描かれるのだが、小山さんはTVシリーズでは驚きや「ベルリ、やるな」みたいな複雑な感情を最期のシーンにこめたそうだが、今回の劇場版では単純な驚きの感情のみで演じたという。

というのも、「死ぬ間際には、そんなにいろんな感情は抱かないだろう」というディレクションからだそうだが、「そっちの方が切ないな」と感じたとコメント。TVシリーズとは違う演技のニュアンスにも注目したいところだ。

そして話題はDREAM COMES TRUE(以下、ドリカム)によるテーマソング「G」へと移る。『GのレコンギスタII「ベルリ 撃進」』では、エンディングテーマとして使用されているのだが、そこでの映像は楽曲の完成を待って、ギリギリのタイミングで仕上げたことが富野監督の口から語られた。

その映像も「(ボーカルの)吉田美和の声に負けないものを作ろうと思った」「(エンディング映像は、既存の本編映像を編集して作成した件について)時間があって、全部新作画で作っていたら絶対に(歌に)負けていた」「楽曲の勢いに絵が負けないために、ああするしかない」とコメント。さらに「吉田美和の歌詞はすごい。ものすごく『Gレコ』を調べたうえで作詞している。ただの請負仕事でやっていない」と、ドリカムを大絶賛。

最後に富野監督は2020年秋公開予定の第3部以降について、「ドリカムに負けないように底上げしたものを形にできたら。今思ってる予定でいけば、吉田美和さんに怒られないような第5部までいける」と語り、その仕上がりに自信をのぞかせた。

おすすめ記事