コロナウイルス真最中での息抜きや現実逃避が求められる? 中国の1月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】
中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の1月の新作アニメに関する動向や、近年の中国において日本の作品が炎上した際の対処方法やそのリスクなどについて紹介させていただきます。
イロイロな形で新型コロナウイルスの影響が見え隠れする1月新作アニメ
現在日本では新型コロナウイルスによる深刻な影響が出ていますが、中国でもさまざまな分野で日常生活などへの影響は続いています。
聞こえてくる話によると、中国のメディアでは、国内のよかった探し、国外の悪かった探し的なニュースを流しているので、中国オタク界隈においても「外国に比べれば中国はマシ」「日本はもうすぐ武漢のようになる」と言われ続けているそうですが、それで日々のストレスが消えるわけでもなく、不自由さを感じて気の滅入る日々は相変わらず続いているようです。
そしてそういった背景があることから、1月新作アニメの人気や話題の傾向も普段とは異なる方向になっている模様です。
まず初動で大きく伸び、その後も人気を維持して今期のダークホースとなったのが、「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」だそうです。
この作品はVRMMO、ネットゲームを舞台に極端なストーリーが展開されることもあってか、注目が集まると同時に中国のオタク層の一部からは「こんな作品が人気になるのは断じて認められない」とばかりに非常に強烈な批判も出ました。
この批判に関しては日本と中国のMMORPGネタに関する認識や温度差、中国にはMMORPGに対する思い入れの強い経験者も多く、そういった人たちにとってリアリティの感じられるネットゲームを題材にした中国国産ネット小説も多いといった事情などが影響していたようです。
しかし話が進むにつれて批判も一定の落ち着きを見せ、いわゆる「俺TUEEEE」系作品のくくりではなく、ある種の日常系作品、女の子に萌えるアニメ、妙にクオリティの高いバトルシーンなどの作画に注目するアニメといった扱いになっていったそうです。
そして現在では「ストレスなく気分よく見ていられるアニメ」という評価や、「いい意味で現実逃避ができるアニメ」だという感想も出ているとのことです。
次に序盤以降に大きな伸びを見せ、高い評価を獲得しているのがミステリー要素のある作品、中国では「推理系」というカテゴリにもなる作品の「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」と「虚構推理」だそうです。
どちらの作品に対しても独特の世界観、一般的な考えでは予想できない推理の流れが評価されていたり、「推理系の皮をかぶった何か」という評価が出ていたりするのも面白いところで、
「推理モノだと思って見始めたらSF系異世界転移モノだった」
「推理モノだと思って見始めたら話を作る伝奇モノだった」
などといった反応も出ているそうです。
この今期の中国で好評な「推理系」2作品ですが、まず「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」のほうは深層心理の世界で推理をするというSF的なバックボーンを備えつつ、エピソードごとにまったく異なる深層心理世界が舞台というのが興味をひき話題となっているそうです。
さらにその世界ごとのロジックやルールも含めて推理を行う展開や視聴者の予想を超えるストーリーが不思議な印象を与え、引き込まれる人や深く考え込む人が続出し、今期の中盤以降に大きく評価を伸ばしているとのことです。
そして「虚構推理」のほうですが、こちらは逆にライトな推理モノ、そこまで深く考えずに見ても楽しめるといった評価にもなっているそうです。しかしタイトルに「推理」という文字が入ってはいるもののやはり普通の「推理」ではないうえに、登場人物の背景や行動ロジックがひと癖あり、そこに中国では根強い人気ジャンルである日本の伝奇や妖怪ネタがからむのが強いフックになっているのだとか。
それから続編系の作品で目立って好調なのが「とある科学の超電磁砲T」で、同じ世界観の作品で先日第3期の配信があった「とある魔術の禁書目録」と比べても明らかに活発な盛り上がりを見せている模様です。
中国のオタクな方からは
「原作ファン中心の盛り上がりだった『禁書』に比べて『超電磁砲』は原作を追いかけていない人も帰ってきて盛り上がっていますし新規のファンも出てきています」
「アニメのクオリティもよく、それに加えて御坂美琴の影響力も健在のようです」
といった話も出てくるなど、この作品の主人公である御坂美琴が「炮姐」のあだ名とともに中国のオタク史上で一時代を築いた伝説のヒロインであることを改めて認識させられます。
それ以外にも2クール目に入った作品の中では「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」が、構成や脚本に対する不満が一部で爆発し続けてはいるものの、人気や話題性では常に上位を維持し続けているのが興味深いところです。
これに関しては原作ゲームの「Fate/Grand Order」が中国でも好調で、Fateシリーズのファン層が現在の中国のオタク界隈における最大規模の作品コミュニティになっていることも大きいようです。
アニメ化の際のアレンジに関する不満はあれど、Fate関連の知識や原作ゲームの思い入れなどから話題は尽きないそうで、そこに中国のファンの間でも期待されていたアニメ化予定エピソードの後半部分に入ったことから、イロイロな意味で注目を集めることになっているのだとか。
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