【インタビュー】作曲家デビュー20周年。神前 暁の仕事を一望できる、豪華な作品集「神前 暁 20th Anniversary Selected Works “DAWN”」が登場!

20年にわたる作曲家活動の中で生み出された楽曲の数々を、みずからのセレクトによりまとめたベストアルバム、「神前 暁 20th Anniversary Selected Works “DAWN”」が、2020年3月18日にリリースされる。
ボーカル曲49曲を3枚のDISCにまとめ、限定盤BOXには、さらに劇伴DISC 2枚を追加。人気曲、有名曲から、今では入手が難しい楽曲まで、神前 暁(こうさきさとる)の軌跡を一望できる豪華な作品集になった。
今回のインタビューでは、収録曲についてまんべんなく、たっぷりと語ってもらった!

ボーカル曲を49曲に絞るのは悩みました


──「神前 暁 20th Anniversary Selected Works “DAWN”」は、ボリューム感あふれるアイテムになりましたね。特に限定盤はボーカル曲をセレクトした3枚に加え、劇伴をセレクトした2枚という聴きごたえのある内容になりました。

神前 本当にうれしいです。アニプレックスさんとランティスさんを中心に、メーカーの垣根を越えて各社の音源を収録することができました。スタッフのみなさんのご尽力のたまものです。

──デビュー20周年にこういう作品をリリースできるのは、作曲家冥利に尽きるのではないでしょうか?

神前 本当にそうですね。各アニメ・ゲーム作品にはあくまでスタッフのひとりとして参加してきたので、それを自分の名前でまとめさせていただくというのは光栄です。

──20周年というのは、ナムコ(当時)に入社して音楽制作の部署に所属されたときから数えてですか?

神前 はい。1999年に入社しましたが、最初はゲームセンターで研修をやっていたので、作曲家としては今が20周年なのかなと。

──正社員として入社されたので、ほかの社員さんと同じ研修があったわけですね。

神前 もちろんです。100円玉の重さをちゃんと知るようにと。ナムコは基本的にゲームセンターでお客さまに遊んでいただくことで成り立っている会社だったので、お客さまが投入してくれるコインの価値というものを現場で知ってこいと。それを終えて、ゲーム音楽を制作する部署に配属されました。

──神前さんご自身が作曲を始められたきっかけはなんだったのでしょうか?

神前 大学のサークルです。京大で「吉田音楽製作所」という作曲サークルに入りまして、見よう見まねで始めました。それ以前にピアノや吹奏楽の経験があり、断片的なフレーズを作ったりはしていたんですけど、曲としてキチンと形にするのは大学に入ってからですね。

──その頃からプロの作曲家志望だったんですか?

神前 プロになるつもりはまったくなかったです。スタートが遅いですし、あくまで趣味としてやっていました。就職活動をしたときも、作曲家になるというより、音楽関係の仕事に就けたらいいなという意識でした。電子楽器のメーカーやゲーム会社、レコード会社を中心に就活していて、幸いなことにナムコに音楽制作として内定をいただいて。

──DISC1の1曲目「ふたりのもじぴったん(fine c'est la mix)」が、ナムコ時代の曲ですね。

神前 はい、ほかにもいろいろ作ったんですけど、「DAWN」に収録されているナムコ時代の曲はこれだけです。「ことばのパズル もじぴったん」というゲームの挿入歌で、僕が初めてひとりで担当させていただいた記念すべき作品です。入社3年目くらいですね。

──それ以外の曲はフリーになってからの楽曲ということで、ボーカル曲はCD3枚に49曲収録されています。これらはどういう基準で選んでいったんですか?

神前 みなさんが「この曲知っている!」と思ってくださるものは、やっぱり外せないなというところと、あまり名前が知られてなくても「僕はこの曲を気に入っているんだよ」という曲を入れさせていただきました。49曲に絞るのは悩みましたね。特に〈物語〉シリーズの曲は、どれかを選んでどれかを外すことができなかったので、全部入れたら、すごい曲数になってしまいました。

──リストを見ても、〈物語〉シリーズの曲がたくさん入っているなという印象でした。

神前 僕のここ10年のキャリアの中で中心にあった作品なので、大事なところです。

──関わった時間の長さが、まずは突出していて。

神前 「化物語」の放送が始まったのが2009年7月で、2019年の「続・終物語」でひとまずは完結しましたが、すべてがひとつの大きなストーリーなんですよね。原作はさらに続いてますけど。

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