【インタビュー】安野希世乃、TVアニメ「アルテ」の世界を全身で感じて歌った2ndシングル、「晴れ模様」をリリース

2020年4月から放送が開始されたTVアニメ「アルテ」のエンディングテーマ「晴れ模様」を、2ndシングルとしてリリースする安野希世乃。ルネサンス期のイタリア、フィレンツェで画家を目指す少女アルテの姿を描くストーリーに沿う、希望に満ちた歌詞とメロディで、彼女の柔らかなボーカルが堪能できる曲となった。
また、初回限定盤のBlu-rayには、昨年2019年12月に開催された2ndライブツアー最終日の模様を収録。「晴れ模様」がいち早く披露されたライブでもあり、貴重な映像化だ。充実の1枚をリリースした安野希世乃に話を聞いた。

イタリアの朝の街並みと、空気を感じながら歌いました


──「晴れ模様」は、TVアニメ「カードキャプターさくら クリアカード編」のオープニングテーマ「ロケットビート」以来、2枚目となるシングルですね。

安野 どちらも素晴らしい作品とタイアップさせていただけて、とても幸せです。今回の「晴れ模様」は、「アルテ」の世界観、空気感をはっきりとイメージしながら歌うことができたので、聴いてくださるみなさまにとっても、「アルテ」の世界観が純度高く伝わる1曲になっているとうれしいです。

──「一枚の絵にしよう」など、歌詞には「アルテ」の世界を思わせるフレーズがいくつも散りばめられていますね。

安野 特に2番の歌詞が、主人公アルテの好奇心や、壁にぶつかっても顔を上げる、凜とした負けず嫌いな心持ちを表しているなと感じました。曲全体としては、今しかない光景を心に留めようと世界に対して目を見開いていて、未来に強い希望をいだいている前向きな歌詞が、アルテのまなざしと重なりました。

──山本玲史さんによるメロディはとても伸びやかで、h-wonderさんのアレンジによって、のどかで懐かしいサウンド感になっていました。メロディ、サウンドの印象をお聞かせください。

安野 さざなみが少しずつ大きな波になるような、静けさの中から湧き上がる熱いものを感じさせるメロディだというのが第一印象でした。h-wonderさんのアレンジを経たことで、静けさとともにあった内省的なまなざしが、世界に向かって開かれたように感じました。歌詞の力もあり、ゆったりと凪(な)いでいる状態でも、ワクワクさせてくれる世界を注意深く、強い関心をもって見つめているアルテの心情が浮かび上がってきました。

──レコーディングのときにイメージした、「アルテ」の世界観というのは、どのようなものですか?

安野 「アルテ」の世界観を全身でイメージしました! 心の目でイタリアの朝の街並みを見て、心の鼻で朝の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、マイナスイオンに包まれて歌ったつもりです(笑)。そんなふうに作品の舞台に身を置く心持ちで歌いながらも、「絵を描く」ことへの思い入れを、自分にとっての「演技」や「歌」に自然に置き換えて、感情移入しながら歌っていました。似ているところがすごくあると思うので、気持ちが入りやすかったです。

──「アルテ」は芸術の世界を描きつつ、男性社会でがんばる女性の話でもありますよね。この作品のストーリーや、アルテという主人公について、どのように感じていますか?

安野 ルネサンス期のイタリアでは、女性が画家として独り立ちしようという思いはマイノリティでした。それにも関わらず、慣習に甘んじず、自分の根っこの強い望みをかなえよう、追いかけようとひとりで立ち上がったアルテは、本当に強い女性だと思います。かなえたい夢に向かって真っ直ぐに突き進むことはとてもパワーがいることですし、その思いを燃やし続ける人の周りには、自然と人が集まってくる。そんな物語にたくさんの勇気をもらいました。やさしくない世界の中で、信念を持ちながらも時にやわらかく、人と絵に真摯に向き合い続けるアルテの姿には、純粋に憧れました。

──安野さんは、ダーチャ役で出演されています。ダーチャはどのような女性だと感じていますか?

安野 ダーチャは農家の生まれで、文字の読み書きができませんが、アルテと同じく自分の置かれた状況に甘んじることなく、向上心を持った女の子です。アルテの行動に感銘を受けて、自分も変わりたい、状況を変えたいと思い、勇気を出してアルテに文字の読み書きを教わりにいったことで、2人の友人関係が始まっていきました。

──アルテが希望の階段を昇っていくようなエンディングの映像は、いかがでしたか?

安野 今までの出会い、たくさんの心に残る風景が、アルテの背中を押して前へ前へと歩ませ、その先に待つ未来には、可能性が広がっているという印象でした。アルテの希望と愛情に満ちた、とっても素敵なED映像です!

──「晴れ模様」のMV(ミュージックビデオ)は、また違う世界観でしたね。

安野 カメラを持った女の子が、素敵な景色に逢いにひとり旅をする、というコンセプトのMVです。自転車に乗ったり、フェリーに乗ったり、キャンプ場に行ったりと、1日での収録でしたが、本当にいろいろな楽しい体験をさせてもらいました。


──アウトドアな安野さんが新鮮でした。

安野 ありがとうございます! 収録は2月の終わりだったのですが、キャンプ場でハンモックに揺られたりコーヒーを作っているときに、それまで晴れ模様だったお天気が崩れてしまって、あられのような雪が降ってきて。吐く息が白くなってしまって、映像に映らないかヒヤヒヤしました。休憩所のコテージでは、みんなでストーブを囲んで温まりました(笑)。

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