コロナ禍の中でも創作の灯を消さない! 「これからのアニメ」の道筋を示した「TWINENGINE Conference 2020」レポート

ツインエンジンのアニメ新情報を発表するオンラインイベント「TWINENGINE Conference 2020」が、2020年4月30日(木)にYouTube Liveにて配信された。

本イベントの前半パートでは、スタジオコロリド最新作・映画「泣きたい私は猫をかぶる」の主演を務める志田未来さん、花江夏樹さんをはじめ、佐藤順一監督、 柴山智隆監督が登壇し、作品にまつわるトークセッションが行われた。

後半パートでは、ツインエンジンの山本幸治代表取締役、TVアニメ「モノノ怪」や「つり球」を手がけた中村健治監督らが「これからのアニメ」をテーマに、今後の企業戦略やアニメーション制作の新構想について語った。

映画「泣きたい私は猫をかぶる」はNetflixで全世界配信に

オンライン上のVR空間で行われた本イベント。前半パートのアニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」のコーナーでは、まずツインエンジンの山本幸治代表取締役がアバターで登壇し、本作を2020年6月18日からNetflixで全世界独占配信することを発表。

6月5日からの劇場公開を予定していた本作だが、新型コロナウイルスの影響により公開日が延期されていた。

続いて、本作を手がけた佐藤順一監督、 柴山智隆監督とともに、主人公のムゲ/笹木美代役を演じた志田未来さん、ムゲが思いを寄せるもうひとりの主人公・日之出賢人役を演じた花江夏樹さんが登壇。

自身が演じるキャラクターについて、志田さんは「ムゲは中学二年生で、私自身もその頃は大人を信じられなかったり、疑っていた部分があったりして似ている部分を感じました。」と共通点を語った。

花江さんは「日之出は思春期の学生ならではの悩みを抱えていて、ムゲとのやり取りの中で成長していく男の子です。」と作中での印象の変化について触れるとともに、タイトルにもある“猫”について「猫って本当に人を堕落させるんだなと感じました(笑)。」と猫好きな一面を垣間見せた。

最後のメッセージで志田さんは「人と人のつながりを描いた心温まる作品になっていると思います。ムゲと日之出の成長をぜひ皆さんに見届けてもらいたいです。」とコメント。

花江さんは「全世界のお家の中でご覧いただけるので、たくさんの人の想いがこもったこの作品の配信を楽しみにしていてください。」と述べ、コーナーを締めくくった。



各スタジオ・ユニットの大きな受け皿となる新設法人「EOTA」を発表

後半パートでは、ツインエンジングループの今後の企業戦略やアニメーション制作の新構想として、全世界配信向けの映像コンテンツから、ソーシャルメディアなどで手軽に楽しめるショートコンテンツまで、フレキシブルでどのような環境下でも作り続けられる柔軟性のある制作体制をグループに構築するため、各スタジオ・ユニットの大きな受け皿となる新設法人「EOTA(Engine of the Animation)」を発表。

同社には、映画「ペンギン・ハイウェイ」や「泣きたい私は猫をかぶる」を手がけるスタジオコロリド、「ゴールデンカムイ」のジェノスタジオ、「荒ぶる季節の乙女どもよ」のLayduceをはじめ、今秋公開予定の劇場中編アニメーション「BURN THE WITCH」で監督を務める川野達朗氏率いるteamヤマヒツヂや、スタジオコロリドで多くの作品を送り出した新井陽次郎氏が設立したFILMONY、デジタルツールでの作品制作をメインとしたdaisyなどのユニットも所属する。

「EOTA」について、ツインエンジンの山本幸治代表取締役は「スタジオがアニメを制作するのがキツくなっており、新型コロナウイルスの影響もあり、それがさらに顕在化した。グループとして団結し自分たちの色をより出せるよう、小さいユニットをいくつも作りながら伸びたり縮んだりできるようにしていきたい。」と設立の背景を語った。

このほか、動画配信ニーズの拡大により求められる作品性の幅が広がる中、世界で勝負するためのオリジナル作品の必要性が高まっており、そこには個人クリエイターの尖ったセンスと、そのセンスを豊かな映像に作り上げる制作体制が欠かせない。ということで、ツインエンジングループは、今後、オリジナル開発の方法論として“ショート作品”の制作に注力していくことも明らかにした。

これにあわせてオリジナルショート作品第 1 弾「クラユカバ」(塚原重義監督)本編制作を目指すクラウドファンディング企画も始動。「MotionGallery」にて2020 年 4 月 30 日(木)より受付がスタート。

世界はコロナ禍で先行きの見えない状況が続いている中でも、作品づくりの火を絶やしてはならないという考えから、先行きの見えないアニメ業界に、再起の灯を掲げたいという決意が語られ、配信は終了となった。

コロナ禍で混乱が続くアニメ業界において、未来を見据えた取り組みの先鞭をつけた形となったツインエンジングループ。今後の動きにも注目したい。

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