【Steam】GWは、古き良き懐かしさの中に新しさが味わえるレトロ風PCゲームで遊ぼう

アキバ総研をご覧の皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。 最近、「PCエンジンmini」でゲーム「ときめきメモリアル」をやり始めました。ときメモは2からしかプレイしたことがなく、初代は初となる筆者。事前情報で、狙いを定めていた朝日奈夕子さんを、ガツガツデートに誘っているものの、会話の選択肢を本気でハズしまくって「あまり良い印象を~」を連発。こんなに好きなのに俺はこの子とは結ばれない運命なんだな……と普通にヘコんだりしました。恋愛って難しいなあ!


そんなこんなで、大ブームとなった「ミニファミコン」から始まり、「PCエンジンmini」まで続々とリリースされたレトロゲームのミニ復刻機に思いをはせながら、今回は、Steamで楽しめるレトロ風ゲームをご紹介していきます。


Piko Piko」


  • メーカー名:Marquet
  • 発売日:2019年8月15日
  • 価格:1,019円(2020年4月24日現在)

レトロゲームといえば横スクロール型2Dアクションが真っ先に思い浮かぶのは、やはりマリオの影響力の強さでしょうか。ファミコンにはマリオ以外にも、メトロイド、星のカービィ、魔界村、悪魔城ドラキュラなどなど、あげ始めるとキリがないほどの名作2Dアクションがありました。
本作「Piko Piko」は、かわいいグラフィックが特徴のレトロ風2Dアクションゲームです。


(C) Marquet 2019


主人公は赤髪が特徴的な、ピコという名の少女。猫型ヘルメットを被ったニャン先輩とともに、愛用のプラスチック製巨大ピコピコハンマーを手に、最高の鍛冶職人を目指して冒険を繰り広げます。ピコたちの前に立ちはだかるのは、同じ学校に通う生徒たち。どうやらこの学校はハンマーについて学ぶ場所のようで、皆、おのれの使うハンマーこそ最強と信じ、試験という名の戦いを挑んでくるのです。



そんなわけで、ハンマーを中心に世界が回っている本作では、もちろんピコちゃんのアクションもハンマーがメイン。ハンマーをぶん回して殴って攻撃というのはもちろん基本ですが、ジャンプしてホッピングのようにハンマーに乗り、上から落下するというアクションがかなり重要。これによってスイッチ式の仕掛けを押して起動させてみたり、ボスを一時的に気絶させることが可能です。マリオやヨッシーシリーズのヒップドロップに近い感覚で、それらをプレイしたことがある人なら、どこか懐かしさを覚えるかもしれません。



本作は、いわゆる「メトロイドヴァニア」というジャンルに属するアクションゲームです。「メトロイドヴァニア」とは、「メトロイド」+「キャッスルヴァニア」(悪魔城ドラキュラの海外名)から成る造語で、それらのゲームを想起させるようなサイドビューで進行する探索要素の強いアクションゲームのことを指します。道中で見つけたパワーアップアイテムを取ることによって、一度通ったマップの行けなかった場所へ進むことが可能となり、行動範囲がどんどん広がっていく……というサイクルが、メトロイドヴァニアの特徴。 この、行ける場所が増えてマップがどんどん埋まっていく感覚が、冒険心を刺激され、なんともワクワクするわけですよ!



本作は、2Dアクションゲームとしては非常にオーソドックスなスタイルの作品です。ジャンプを駆使しながらステージを進み、ザコ敵たちをなぎ倒し、ボス戦では相手の行動パターンを覚えて攻略して……と、まさにスーファミあたりのアクションゲームを想起させるような作りとなっています。
そんな本作の最大の魅力は、なんと言ってもそのグラフィックでしょう。ポップでキュートという言葉がぴったりの画面は、見ているだけでも楽しい気持ちになってくること請け合い。

早期アクセスゲームのため、翻訳などまだ不十分な個所がある本作ですが、このかわいい雰囲気にビビッと、もしくは「ピコッ」と来た人なら、買って損はないと思いますよ!


ぶきあつめ」


  • メーカー名:kagaya
  • 発売日:2019年6月28日
  • 価格:980円(2020年4月24日現在)

聖剣、神槍、妖刀、魔法の杖などなど、RPGと武器とは切っても切れない関係にあると言っても過言ではありません。
これからご紹介する「ぶきあつめ」は、その名の通り、武器がコンセプトとなっているゲームです。


(C) 2019 kagaya


本作は、レトロゲーライクなグラフィックで描かれた、2D見下ろし視点タイプのRPG。こちらが動くと敵も動くという、「風来のシレン」などを彷彿とさせるターン制のシステムが採用されています。

主人公は武器屋の娘・うぇ子。この世界のどこかに眠るという伝説の武器「ツヨスギテ=クサハエル・ソード」を求めて、亡き父の言葉を胸に冒険に出るというストーリーです。ネーミングのクセの強さがとっても気になる本作ですが、ゲームとしての最大の特徴は、「なんでも武器になる」ということ。
どういう意味かというと、まあ、読んで字の通りなのですが、このゲームでは本当になんでも武器にできるのです。



本作には「武器を拾う」というコマンドがあり、これを使うことによって、目の前にあるものを拾って自分の武器にすることが可能なのですが、ずばり、ここが本作最大のクレイジーポイント。うぇ子は自分の目の前にあるものであれば物理的な限界を無視して、ほぼなんでも拾えてしまうのです。たとえば「ベッド」でも「本棚」でも「木」でも「池」でも「村の住人」でも「敵」でも「自宅」でも、小さなものから大きなもの、生物に至るまでなんでもかんでも拾って自分の武器にしてしまいます。ちなみに、人や敵はそのままいきなり拾うことはできず、多少ダメージを与えて相手のHPを減らさなければ拾うことができないので注意。



拾った武器はもちろん装備して攻撃に使うわけですが、うぇ子の家は武器屋なので、テーブルに並べれば売ることもできます。村の住人である「井戸端のおばさん」を殴ってHPを減らしたうえで拾って売り始めたときは、すごいゲームに出会ってしまったな……と戦慄した筆者ですが、「自宅」を拾って自宅の中にあるテーブルに置いて売り始めたときは、目の前がグニャッとなるような、世にも奇妙な感覚に襲われました。



武器によって攻撃力の違いがあるだけではなく、さまざまな特殊効果が付属している点も本作の面白い点です。「毒沼」は見た目どおり相手に毒を与え、「ベッド」なら睡眠を与えられるというように、その効果によって戦況を大きく変える武器もあります。本作にはMPや魔法という概念がないので、特殊効果が備わった武器を手に入れておくのは攻略の要と言えるでしょう。

とは言え、攻略という視点だけではなく、「何が拾えるのか」「どんな特殊効果があるのか」ということを単純に確かめるのが面白いので、「ぶきあつめ」というタイトルどおり、どんどん武器を集めたくなってしまうこと必至です。



教会を拾ったりコンビニ店員を武器にしたり、炎を研いだり自宅にメッキをしたりと、プレイ中とめどなく押し寄せるインパクトの数々に目が行きがちな本作ですが、決して出落ちゲーというわけではなく、むしろゲームとしての作りはとてもていねい。武器がいくらでも手に入るという点を考慮してか、敵が全体的にわりと強めに設定されており、気を抜くとわりとあっさり危険な状態に追い込まれてしまうため、常に先のことを考えながら行動しなくてはなりません。

なんでも武器にできるというネタ的な要素と、RPGとしてのほどよい緊張感がバランスよく織り込まれた良作RPGである「ぶきあつめ」。ぜひ、自宅を装備する衝撃をご自身の手で体験してみてください。


Hypergalactic Psychic Table Tennis 3000」


  • メーカー名:Blue Wizard Digital
  • 発売日:2020年3月3日発売
  • 価格:205円(2020年4月24日現在)

「PONG」というゲームをご存じでしょうか。
今から約50年前となる1972年にアタリ(ATARI)から発売された「PONG」は、パドルとボールだけで構成されたシンプルなテーブルテニス(卓球)ゲームであり、「世界で初めてヒットしたテレビゲーム」とも言われる、レトロゲーム界の大御所的存在です。名前は知らなくても、ゲーム画面なら一度は見たことがある方も多いのではないでしょうか。
本作「Hypergalactic Psychic Table Tennis 3000」は、そんなゲームの先祖「PONG」をベースにした、驚異のゲームとなっています。


(C) 2020 Blue Wizard Digital


ムをスタートすると、まずは普通にレトロな見た目のテーブルテニスが始まります。白く細長い長方形が左右に2つと白い正方形が1つ、つまりこれは自分のパドルと相手のパドル、そしてボールです。ほかにはセンターラインを表す点線と、得点を示す数字があります。左が自陣で右が敵陣となっており、パドルを上下に動かしてボールを打ち合うその操作感は、完全にレトロゲーそのもの。「PONG」の世代ではない筆者ですが、得も言われぬ懐かしさを感じます。


しかし、これは単なる前フリに過ぎません。初戦を終えたあとは、次々に現れる敵に3点先取して勝つたびに、ゲームに次々と進化が起こっていきます。そう、ここからが本作「Hypergalactic Psychic Table Tennis 3000」の本番です。

進化の過程ではまず、ゲームに色が生まれ、敵に個性が生まれ、そして自身にステータスの概念が生まれていきます。色はまだしも個性とかステータスとかちょっと何を言ってるのかわからないと思うので、ひとつずつ説明していきましょう。

このゲームにおける敵とは、右側のパドルです。しかし、ゲームが進化することで、この細長くて四角いパドルに,「ゴーレム」や「赤みがかかったスライム」、「チェーンソー殺人鬼」という風に、キャラクターが与えられるようになるのです。見た目的には、小さくなったり、大きくなったり、赤くなったり、黒くなったりするだけで、依然パドルのままです。しかし、「こいつはパドルっぽい見た目だけど実は凶悪なチェーンソー殺人鬼なんだ……」と想像する余地がプレイヤーに生まれるわけです。これもひとつのゲームの進化と言えるでしょう。それはそれとして、巨大な敵は普通にズルいと思います。



さて、本作の最も重要な要素はステータス。HPやMPを表すアイコンが画面に登場し、攻撃力や賢さ、素早さなど、RPGでおなじみの数値がパドル自身に追加されます。

HPは言わずもがな、体力です。ボールを跳ね返すたびに減ってしまい、さらに敵が放つファイアボールを受けたり、フィールド上にあるダメージ地形に触れても減ってしまいます。

そうです、そういったアクションゲーム的要素も進化の過程で追加されていくのです。これはもう単なるテーブルテニスではありません。

では、HPがなくなったらどうなるのかというと、パドルが弾け飛び消滅します。そうなれば、当然ボールを弾き返せなくなってしまうので、絶対に1点取られます。しかし、自分だけではなく敵にもHPが存在するので、ファイアボールや毒などの魔法を駆使して相手のHPを減らしていくことが重要となるわけです。もう一度言いますが、これはもう単なるテーブルテニスではありません。
敵に勝利したあとは、複数のランダムな報酬が提示されるので、その中からひとつを選び、獲得します。それによってステータスを上げたり、新しい魔法を覚えることができるのですが、このあたりのシステムはかなりRPG的であり、再三言いますが、これはもう単なるテーブルテニスではありません。


しかし、本作の進化はこれぐらいでは止まりません。
リッチなBGMが追加され、パドルは上下だけではなく左右にも動けるようになり、さらに衣装を着たり、動物に乗ることも可能になります。「誰が?」って、そりゃあもちろんパドルがです。衣装は、帽子、アーマー、ズボン、靴と4つのパーツが用意されているので、上から下までバッチリ着込んでオシャレに決めちゃいましょう! ちなみに敵もたまに衣装を着てきます。



これだけでも十分、本作が独創的なゲームであることは伝わったかと思いますが、まだまだぶっ飛び要素は終わりません。

本作では5ステージごとにボス戦となるのですが、そのバトルの最中に、なんとボスとの会話イベントが発生するのです。相手の話す内容を読んで返事の選択肢を選ぶという、いわゆる「ときメモ」的なアレです。

選択肢の中には「キミの香りはとても良いね」のような完全に口説きにかかっているセリフもあり、わりと本当に「ときメモ」感があるのですが、うまく口説くことができるとボスはロマンス状態となり、体からハートがあふれ出て弱体化します。ちなみに選択肢を誤ると怒らせてしまうので要注意。さて、これが何のゲームか見失ってしまった方のために改めて言っておきますが、本作はテーブルテニスゲームです。



誰もが知っているテーブルテニスゲームにRPG的要素やアドベンチャー的要素が加わり、唯一無二の進化を遂げた本作ですが、しかし、ただカオスなネタゲーというわけではなく、ゲームの作りはかなりしっかりしているのがポイント。
「まずは毒で相手のHPを削り、ファイアボールで追い撃ちしてダウンさせる。マナの残量に注意しつつ、3点目は石化魔法でフィニッシュ!」のように、ボールを打ち返しながらあれこれ戦略的に思考しなければならず、このプレイ感覚は、もはやテーブルテニスの殻を被ったアクションRPGといったところ。
現状、日本語に対応していないところが若干ネックではありますが、とは言え本作のゲーム体験は味わわないのは損と言えるほど格別。興味が湧いた方はぜひ、パドルがパドルを口説き落とすという未曾有(みぞう)の体験を楽しんでみてください。

あの素晴らしいレトロゲーム体験をもう一度


というわけで、レトロ風ながらも新しさのあるSteamゲーム3作をご紹介しました。
旧世代機の名作を現行機でリメイク・リマスターした作品が、ゲーム界のひとつのトレンドになっていますが、最新技術が駆使された美麗なグラフィックのゲームを遊んでいると、ふっと、ドット絵で高難易度なレトロゲームの感触が懐かしくなってしまう人も少なくないのではないでしょうか。
Steamには、レトロゲームにインスパイアされた新感覚の作品がまだまだ眠っています。最新のゲームに遊び疲れたら、レトロ風ゲームを漁ってみるというのも面白いかも知れません。

筆者:百壁ネロ
ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)、「母の嘘(「悪意怪談」所収)」(竹書房)。

おすすめ記事