デビュー以来の足跡と、3人の個性が詰まった待望の1枚! Run Girls, Run! 1stアルバム「Run Girls, World!」インタビュー
2017年に開催された声優オーディション「Wake Up, Girls! AUDITION 第3回アニソン・ヴォーカルオーディション」から生まれた林鼓子さん、森嶋優花さん、厚木那奈美さんによる声優ユニット「Run Girls, Run!」(ラン・ガールズ・ラン!、通称「ランガ」)。
デビューから約3年を経て、待望の1stアルバム「Run Girls, World!」が2020年5月20日に発売された。これまでリリースしてきたシングル曲はもちろん、魅力的な新曲に加え、3人の個性がギュッと凝縮されたソロ曲も収録! ランガの集大成であり、名刺代わりの1枚となった。
今回のインタビューでは、アルバムの聴きどころに加え、ランガの3人にこれまでの活動を改めて振り返ってもらった。
これまで経験してきたことが、全部私たちの力になっていると感じます(森嶋)
――まずはデビューして3年間を振り返ってみて、どんなできごとが印象に残っていますか?
林 私は「スライドライド」のMVの撮影が一番記憶に残っています。初めて3人で撮ったMVでもありますし、当日が大雪だったということもあり、すごくインパクトのあるできごとでした。あれだけの雪を見たのは生まれて初めてかもしれません。私が住んでいた静岡の西部は全然降らなかったので……(笑)。それでテンションが上がったというのもありますが、できあがった映像がとてもきれいだったのも印象的です。
森嶋 「これまで経験してきたことが、全部私たちの力になっているな」、というのはありますね。昨年7月~9月までやらせていただいた、バラエティ番組「Run Girls, Run!のらんがばん!」をはじめとしたさまざまな番組の出演を機にトーク力が伸びたと思いますし、ライブを通して歌ったたくさんの曲とともに歌唱力もスキルアップできたと思うので、やってきたことすべてが糧になっているのを実感しています。
厚木 いままでリリースしてきた曲たち、特に「プリティーシリーズ」は元々大好きだったので、「ちゃおサマーフェスティバル2018」というイベントで「キラッとプリ☆チャン」のオープニングテーマ「キラッとスタート」を歌うことができたときは、ものすごく感動しました!
それまでは自分が夢を追いかける側だったのが、今度は自分がみんなに夢を与える存在になれたということもあって、強く記憶に残っています。
――そんな経験を経て、1stアルバムの発売が決まったときの率直な気持ちをお願いします。
林 私は小さい頃から「自分の名前が載ったCDを出す」というのが夢でした。今回、シングルだけでなくアルバムという形で残すことができ「またひとつ夢がかなったな」と胸がいっぱいです。
また、アルバムとなると、ランガの色をより強く出せると思いますし、いまはみなさんに早く聴いていただきたいという気持ちでいっぱいです!
森嶋 「ランガらしさ」に関しては、これまで発表してきた曲たちからも感じることはできていました。
今回アルバムという形で「らしさ」全開の曲をたくさん並べることができるということで、とてもうれしかったです!
そして実際に曲がそろったら、改めて私たちのカラーがすごく出ていて、私自身「またひとつランガのことを知ることができたな」と思えました。
厚木 ランガはありがたいことに短いスパンで曲を発表させていただけていて、実は昨年あたりから「アルバムを作りたいね」という話が出ていました。ですので、こうして実際にリリースが決まってうれしかったです。
この1枚を聴いていただくだけで、ランガのことがわかっていただけると思いますし、ランナー(ファンのこと)のみなさんはもちろん、私たちのことを知らない人たちにもぜひ聴いていただきたいという想いでいっぱいです!
――タイトルの「Run Girls, World!」は、どのように決まったのでしょう?
林 スタッフさんを含めてみんなで相談したのですが、一番にしっくりきたのが、このタイトルでした。
森嶋 「ランガのことをより深くわかってもらえるように」というコンセプトもあったので、そこにもピッタリ当てはまりましたし。
厚木 最初に出てきた案だったのですが、満場一致ですんなりと決まりました!
――構成に関しては、どのように決まったのですか?
林 やっぱり、ランガの歴史がわかるような曲順にしたいと思いまして「カケル×カケル」を1曲目に持ってきました。途中で私たちのソロ曲が入るものの、シングル曲はほぼリリース順に並んでいます。
厚木 ソロ曲もこれまで歌ってきた曲も両方とも大事にしながら、考えました。
森嶋 個人的には、3人でカッコよく歌い上げている「Break the Blue!!」と、私のかわいさを追求したソロ曲「Darling Darling」との温度差がすごくお気に入りです(笑)。
――ではアルバムに初収録となる楽曲についてお聞きします。まずは「水着とスイカ」から。
林 只野菜摘さん(作詞)と石濱翔さん(作曲)のお2人には、これまで「サクラジェラート」(春)、「秋いろツイード」(秋)、「スノウ・グライダー」(冬)と、季節に関連した楽曲を作っていただいたのですが、「水着とスイカ」は「夏曲」になります。
すごく切なさを感じるナンバーになっていて、曲中に登場する主人公の女の子が「大人になったな」、と感じました。
厚木 これまでは「主人公の女の子が都会のキラキラしたところに憧れたりするところ」に共感できたのですが、今回は曲中では直接描かれていない、相手の男の子に感情移入してしまいました。
最初に聴いたときは「なんでこんなにいい子を逃してしまったんだろう?」とやきもきしてしまいました。
――「イルミナージュ・ランド」はいかがでしょう?
林 「キラッとプリ☆チャン」第3シーズンのオープニングテーマです。今回は主人公の桃山みらいたちが住む「キラ宿」と呼ばれる町に、新たに「プリ☆チャンランド」というバーチャル遊園地ができる……という物語なのですが、最初聴いたときは「まるでテーマーパークのパレードのような曲だな」、と感じました。これから物語が始まるぞ!というワクワク感が詰まった曲です。
これまでの「プリ☆チャン」の曲は、明るくて前向きな楽曲が多かったので、「今回もガッツのある曲がくるのかな?」と、個人的に思っていたのですが、それとはまた違った明るさのある曲だと感じました。
森嶋 私も、いままでの「プリ☆チャン」曲は、推進力のつく「ガソリン」のような曲のイメージがあったのですが、今回の曲でも、ライブでランナーさんたちのことを引っ張っていけそうな予感をすごく感じましたね。
厚木 私の持っている「プリ☆チャン」楽曲のイメージは「はじけるような明るさ」でしたが、第3シーズンに入ってからストーリーがガラッと変わったことで、明るさの方向性も変わったのかな、と思いました。
このようなテーマパークをイメージしたパレード音楽を歌ってきたことがなかったので「こういう曲で作品の世界観を表現できるようになったのも、ひとつの成長かな」と、手ごたえを感じました。
――アニメ「プリ☆チャン」の物語の先も気になるところです。
林 私たちも物語の先を知らない状態なので、いち視聴者として楽しませていただいています。
新キャラクターも出てきていますし、「アリスちゃんはなんでキャンピングカーで寝泊まりしているんだろう?」とか。
森嶋 めが兄ぃもいるしね。
林 そうそう! 久しぶりに登場したから驚いちゃいました。個人的には、めが兄ぃ役の諏訪部順一さんと一緒に次回予告を録ったときはすごく緊張しました……(笑)。
メンバーに対する想いを語った「ランガリング・シンガソング」のMV撮影はすごく恥ずかしかった(林)
――アルバムのリード曲「ランガリング・シンガソング」は疾走感あふれるナンバーです。
林 アルバムの曲順で言うと、「カケル×カケル」で芸能界を夢見て上京してきた女の子たちが、ようやく夢をかなえるため第一歩を踏み出せたような、私たちランガの置かれている状況に重なる楽曲だと感じています。「カケル×カケル」の正式な続編のような曲ではないのですが、ひとつの物語ができているような印象を受けました。
ダンスの振り付けにも「カケル×カケル」と同じパートがあったりして、早くみなさんの前でパフォーマンスをお見せしたいです!
――「ランガリング・シンガソング」は付属のBlu-rayにMVも収録されていますね。
林 私のソロ出演部分がまさかの「アドリブでしゃべってください」だったので(笑)、ビックリしました。
撮影監督さんからは「もっちー(森嶋さん)とあっちゃん(厚木さん)のことについて紹介して」と言われたのですが、普段メンバーに対して「こう思っているんだよ」というのを口に出して言うことがあまりないので、すごく恥ずかしくて……。
ちなみにあのシーンは1発撮りだったんです。「友人から電話がかかってきて、近況を話す」、という内容なのですが、何度もテイクを重ねてしまうと不自然になってしまうので……。
あとで完成した映像を観たら、緊張しすぎて目がキョロキョロしていて、それも恥ずかしかったです(笑)。
森嶋 「自分たちのことをこう思ってくれていたんだ」とわかって、うれしかったのと同時に、私も照れちゃいました(笑)。
厚木 私も(笑)!!
林 実は、2人を照れさせたいと思っていたので、そういう意味では大成功だったかな……(笑)。
――森嶋さんと厚木さんにもソロパートがありますよね。
森嶋 過去の自分たちとすれ違う、という、なんとも不思議なシーンがあるのですが、いろんな解釈ができるな、と。個人的には「自分たちの未来を見ている」という意識であのシーンを見ていました。映像を見るたびに、頭に想像を巡らせるのが楽しいですね。
また、音楽プレイヤーを再生するシーンが出てくるのですが、「キラッとスタート」のMVにも同じようなシーンがあったので、自分たちが今までに歩んできたものがたくさん取り入れられているんだな、と感じました。
厚木 屋外で撮影したのですが、海に近いうえに、その日は特に風が強かったんです。全員のリップシンクのシーンも風があったので、無事に撮影を終えられたのは奇跡的だな、と思いました。
はやまる(林さん)も言っていましたが、「スライドライド」の撮影時は大雪で、「Break the Blue!!」のときもすごく風が強かったので、ランガはそういう逆境も乗り越えて強くなっていったんだな、というのを実感しています(笑)。
――会議室で作業をしている3人に、マネージャーから手紙を渡されるシーンも印象的です。
林 ランナーのみなさんからいただいたお手紙を読んで、励まされる……というシーンです。
今回のMVには「ランガの日常」というテーマもあって。普段から何もないときでも、お互いに連絡を取り合うこともあるし、私たちのオフショットがそのままMVに使われている……みたいなイメージでしょうか?
厚木 そうだね。ダンスレッスンのシーンも「密着映像」のような撮り方をしていましたし。
林 私たちが自撮りした映像も使っていただいてますので、リアルな3人をご覧いただけると思います!
──そのほか、これまでに発表されたシングル曲のMVもBlu-rayに収録されます。皆さんの印象に残っているMVを教えていただけますか?
林 私は最初に話したように「スライドライド」です。私たちの初めてのMVですし、あの日は大雪だったので、真っ白な景色がきれいだったなと印象に残っています。あんなに積もった雪を見るのは中1の頃、スキー体験教室で長野県に行った時以来で、それだけでテンションが上がりました。はしゃぎすぎて、帰りのバスに乗る前に、なんだか雪の上に寝転がってみたくなって飛び込もうとしたら「帰りに寒くなっちゃうからやめなさい!」とあっちゃんにしかられた記憶があります (笑) 。お昼に食べたカレーもおいしかったです!
森嶋 「Break the Blue!!」です。TVアニメ「ガーリー・エアフォース」の主題歌でもある楽曲ですが、
何よりも小松基地協力のもと、作品さながらの世界観でMVを撮れたというのは本当に貴重な経験でした。とってもありがたいです。撮影時期もアフレコを行っていた時期と近かったこともあり、リアルに基地の雰囲気を感じ、アフレコにも生かすことができました。パイロットスーツは、自衛隊の方が私のサイズにあわせてリメイクしてくださったものだったり、ワッペンがちゃんとそれぞれメンバーの名前になっていたりして、ほんとうにすごかったです! ぜひ、改めて映像に注目して見てください。
厚木 「Go! Up! スターダム!」です。制服を着て学校で撮影したこともあり、メンバーと一緒に学校生活を送ったらこんな感じなのかな?と感じる楽しい撮影でした。学校の屋上で踊るという、定番ですが普通だとできない体験ができたのもとても思い出深いです! また、ダンスシーンは体育館での撮影だったのですが、スタッフさんたちの技術でステージに見えるような空間になっていて、とても感動したのを覚えています。
――今回はそんな素の3人が見られるということで、「いまだから話せるお互いの第一印象」エピソードはありますか?
林 もっちーのことは、私がオーディションのときにちょうど厚底靴を履いていたということもあり、身長差があったので、最初は同い年(高校生)くらいだと思っていたんです(笑)。でも今では、とても頼りがいがあると思ってるよ。
森嶋 よかったぁ(笑)!
林 あっちゃんはいわゆる「坂道」アイドルのような印象がありました。清楚なイメージが強くて「この人、もう完成されているな」と……。
厚木 そんなこと思ってくれてたんだ!
林 話してみたら意外と天然でしたけど(笑)。それにしても、3人ともジャンルが違いすぎて「これが同じユニットか!」と思いました(笑)。
森嶋 オーディションの最終選考の前に、ひとりひとり写真を撮影したのですが、ほかの受験者たちが台本に目を落とす中で、はやまる(林さん)だけ私のことを見ていたんです。ちょっとした運命を感じましたし、その後のかけあい審査でも一緒になり、そのときも演技をしながら目線をくれたので、私も役に入りやすかったですし「すごい子だな」と感心しました。
林 うれしい!
森嶋 あっちゃんとは歳も近かったし、3人のデビューが決まってみんなでご飯に行くようになってから「この子とも一緒にやっていけそうだな」と思いました。
厚木 はやまるのことは合格発表の日に意識したのですが、私が会場に着いたときはすでにスタッフさんとすごく仲良くなっていてビックリしました。
はやまるともっちーは、オーディションのときにかけあいをしていたので「私だけ置いていかれている感」があったうえに、はやまるが私より5歳下ということを知らされて、ますます困りました(苦笑)。もっちーはもっちーで、最初は年下に見えたので……。
林 やっぱり、見えるよね(笑)!
厚木 でも、はやまるが言ったように、後々「すごく頼れる人だ」と尊敬するようになりました。
あと、オーディションの自己アピールで「私は京都出身ですが、抹茶を飲んだことがないので今度飲みたいです」と言っていたのがすごく印象に残っていて……。
林 私もメッチャ覚えてる。「やられた!」って思ったから。オーディションから帰宅してすぐ、親に「絶対あの子が合格だわ」って報告したもん(笑)。
森嶋 オーディションではインパクトを残さなくちゃいけないと思ったから、成功だったのかな(笑)?
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