メガハウスの「ヴァリアブルアクションキット 新世紀GPXサイバーフォーミュラ」は、どうして“半完成キット”なのか?【ホビー業界インサイド第59回】

多数の人気キャラクターの商品開発で知られるメガハウスが、「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」の新しいシリーズ「ヴァリアブルアクションキット」(通称「VAKIT」)シリーズを、新たに展開する。このVAKITシリーズ、プラモデルのように組み立てる要素が大部分でありつつも、シャーシや車輪など、精緻さが求められる足回りは組み立て済み。ランナーから色分けされたパーツを手で外して、まったく工具なしで組み立てられる“半完成キット”だというから、驚きだ。「プラモデルはちょっと難しそう」という人でも、手軽に組めるVAKITなら興味がわくのでは?
このVAKITシリーズは、どうして半完成キットというユニークな商品仕様になったのか? 株式会社メガハウス ライフホビー統括の小林さんに、お話をうかがった。

“ヴァリアブル(自由自在)”なコンセプトを、組み立てキットに生かす!


──「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」(1991年)は30年前のアニメですが、なぜ、このタイミングで商品化しようと思ったのでしょう?

小林 弊社では、2014年から「サイバーフォーミュラ」シリーズの商品化を行っています。その当時、すでに商品化していた「魔動王グランゾート」(1989年)が日本のみならずアジア圏でも非常に売れ行きがよかったことで、同じようにグローバル展開できる作品を……とリサーチしたところ、「サイバーフォーミュラ」も非常に人気があることがわかり、商品化を進めました。その結果、今年で7年目を迎えるロングセラータイトルとなっています。

──ヴァリアブルアクションキット(VAKIT)は、ミニカーでおなじみの1/43スケールですね。ちょっとマニアックな感じがするのですが、なぜこのスケール設定になったのでしょうか?

小林 弊社ですでに商品化している「サイバーフォーミュラ」関連商品では、「ヴァリアブルアクション」の1/24、「ヴァリアブルアクションハイスペック」の1/12、約1/64に近いサイズの「サイバーフォーミュラコレクション」がありました。どの商品も一般的なカーモデルのスケール感を意識してきました。そこで、今回のVAKITも手軽に集められて、かつユーザーの方が色を塗ったりちょっと手を加えたりしやすいサイズということから、ミニカーで一般的な1/43スケールにしました。


──商品はホイールとシャフトのみ組み付け済み、ボディはプラモデルのようなパーツ分割になっています。完成品にせず、半完成キットにした理由と経緯を詳しく教えてください。

小林 先ほどの1/43スケールというサイズ設定にも関係していますが、手頃なサイズと価格で、手軽に組んでもらいたいという意図があります。ふだん、プラモデルになじみのない方でも、パッと数分で組み立てられるくらいのお手軽なキットにしたかったのです。そのためには接着剤を使わないスナップフィット仕様にして、ニッパーを使わなくてもランナーからパーツを切り離せるタッチゲートにするだけではなく、ホイールにゴムタイヤを履かせたりシャフトを打ち込んだりする作業もストレスなるだろうと考えました。その結果、半完成キットという仕様になりました。

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