【インタビュー】梶浦由記が贈るサウンドトラックのみのライブが、ファン待望の音源化!

梶浦由記が、みずから手がけたサウンドトラックを実力派プレイヤーたちとともに演奏する「Yuki Kajiura LIVE」。2019年6月に開催された「Yuki Kajiura LIVE TOUR vol.#15 “Soundtrack Special at the Amphitheater” 」の模様が、このたび、CD化されることとなった。2日間にわたって開催されたライブを2枚組全36曲に再構成。ライブでしか聴けない、新たにアレンジされた人気曲の数々を、手元に置いて楽しめることに。その聴きどころや、制作秘話について聞いてみた!

アンフィシアターならではの見せ方ができたライブでした


──2019年6月に開催された「Yuki Kajiura LIVE TOUR vol.#15 “Soundtrack Special at the Amphitheater” 」は、その前年の「Yuki Kajiura LIVE TOUR vol.#14 “25th Anniversary Special” 」に引き続き、舞浜アンフィシアターが会場となりました。

梶浦 アンフィシアターは、想像した以上に楽しい会場でした。キャパ2000人という大きな会場とは思えないほどお客様が近くに感じられて、しかも円形のステージなので、どの角度からも見やすいんです。2018年の「Yuki Kajiura LIVE TOUR vol.#14」では演奏者があまり前に出ることがなく、円形のステージを生かし切れなかったという思いがあって、次は前に出ようと思ってやってみたのが「vol.#15」でした。しかも、ステージ自体を回したりもしたんですよね。演奏者のみなさんも、すごくお客様が近かったと口々に言っていました。

──「vol.#15」のライブは、始まり方も意表を突いていましたね。

梶浦 そうなんです。アコーディオンの佐藤芳明さんが、弾きながら客席の通路に出てきて。こういう芝居小屋みたいな演出がアンフィシアターには合うと思って、試みてみました。初日のお客様はみんな、びっくりされてましたね(笑)。歌い手さんもライブの中で客席通路に降りていくこともあり、「vol.#15」はアンフィシアターならではのいろいろな遊び方ができたかなと思います。

──ライブは2日連続で、1日目と2日目では後半のセットリストが変わってました。

梶浦 2日両方来てくださる方も少なくないですし、一番大きな理由は、1日目はRemiさん、2日目はEriさんと、歌い手さんが替わったということです。ボーカルが入る曲は2人に合わせて組んでいきました。

──両日とも、NHKの朝ドラ「花子とアン」の曲がセットリストに多く組み込まれていますね。

梶浦 「花子とアン」は100曲を越える楽曲を作っていて、ひとつの作品でそこまで多くの曲を作るということはほかにはないんです。それにしっかりメロディがついていて、明るい曲が多いので、ライブでやりやすいということもあって選びました。それに「vol.#15」はイーリアン・パイプス(アイルランドの民族楽器で、バグパイプの一種)の中原直生さんに参加いただいきましたが、中原さんと初めてお仕事させていただいたのが「花子とアン」だったんです。

──演奏者の方に合わせた選曲でもあったと。

梶浦 やはりライブは、演奏者の方が映える曲をやりたいですから。レコーディングでもその方が弾いてくださった曲や、担当楽器が活躍できる曲をピックアップしがちですね。

──いろいろなテーマで開催されている「Yuki Kajiura LIVE」ですが、「Soundtrack Special」も定番になってきていますね。

梶浦 「Soundtrack Special」が定着してきたというのは、私にとって画期的なことでした。私が書いてきたサウンドトラックは、女性コーラスが入る曲が多めだという印象が強くありますが、実際は8割以上は歌が入ってない曲なんです。女性たちが謎言語(編集部注・いわゆる梶浦語)で歌う華やかな楽曲がライブの定番曲、人気曲になっているという状況自体がとてもうれしいことなんですけど、ボーカルなしのインストゥルメンタルは通常のライブには入れ込みにくくて。だから逆に、そういう曲を中心にライブをやってみたいと思ったのが、「Soundtrack Special」の始まりでした。歌姫たちが出演しないライブなので、きっとお客様は集まらないだろうなという予想のもとのスタートだったんです。

──最初の「Soundtrack Special」は、2012年の「Yuki Kajiura LIVE Vol.#9 “three days special” 」ですね。「Vol.#9」は日本語オンリー、Soundtrack、日本語封印と、日ごとにテーマが違う3DAYSライブでした。

梶浦 このときは実際に、2日目が一番集客が少なかったんです。でも、私の予想よりも多くのお客様が集まってくださって、楽しんでくだっているのがわかって。たまにはこういう構成でライブをやっていいのかなと。そうやって回数を重ねていき、、しかも「vol.#15」は2日ともアンフィシアターが満員になったんです。どうしてそれが実現したかというと、最初の「Soundtrack Special」に来てくださったお客様が「よかったよ」とクチコミで広めてくださったからで、みなさまが「Soundtrack Special」を育ててくださったと思っています。その結実として、こうしてライブCDをリリースできたというのは、本当にうれしいですね。

おすすめ記事