表現力豊かなボーカルと伝説のアニソンを生んだ父親譲りのギターテクで、アニソン業界に殴り込み! 「邪神ちゃん’」EDを歌うZAMBインタビュー【新人さん、いらっしゃい!第16回】
日々多くのアニメが発表される今日この頃、期待のニューカマーも続々シーンに登場している。そこで、アキバ総研的に気になる「新人さん」に突撃インタビューする連載! それが「新人さん、いらっしゃい!」。
今回お話をうかがうのは、ボーカリスト・図画泉美さんとギタリスト・GAKさんを中心とした2.5次元メタル集団「ZAMB(ザム)」のお2人。
ZAMBは、2020年春アニメ「邪神ちゃんドロップキック’」EDテーマ「Love Satisfaction」で、6月10日にCDデビューを果たす期待の新人さんなのだ。
伸びやかな図画さんのボーカルと、圧倒的なギターテクを聴かせるGAKさんの2人が生み出す高速メタルサウンドは、邪教徒のみならず多くのアニメファンを魅了。今クール注目のアニソンの一曲と呼んでも過言ではないだろう。
今回は、そんなお2人に結成秘話や音楽制作にまつわるエピソードから「Love Satisfaction」制作秘話をたっぷりと語っていただいた。
2.5次元メタル集団「ZAMB」誕生秘話
──本日はよろしくお願いします! さっそくですが、自己紹介からお願いします。
図画 はじめまして。ZAMBのボーカル・図画泉美といいます。
GAK ZAMBのGuitar & Scream担当・GAKと申します。
──ユニット結成の経緯を教えてください。
図画 激しいサウンドのバンドをやりたくて、プロデューサーの長戸大幸さんに相談したところ、数か月してGAKさんを紹介されました。で、この人とバンドをやってみようと思えたんです。向こうはどう思っていたかわかりません(笑)。
GAK 僕は以前ビジュアル系バンドで活動していたんですが、そのバンドが解散した後、作編曲活動のかたわら「こんなバンドを作りたい」という自分なりの細かい企画書とデモ音源を制作していました。そんなある日、プロデューサーである長戸大幸さんからご連絡をいただき、「”図画アニソンメタルバンド”というバンドがライブをする」ということを知りました。
実際にリハーサルと本番を見学させていただいたところ、(図画さんに)僕の思い描いていたボーカル像とすごく近いモノを感じました。自前の企画書には、バンドのルックスイメージを自分なりに絵コンテとして描いていたのですが、そこにハマる感覚がしました。
その後プロデューサーを通じ図画泉美と初対面、そのままZAMBという名前で活動していこうという流れになりました。
──CDデビューする以前からYouTubeにて、アニソンをメタルアレンジして公開していますが、もともとアニメソングやアニメなどはお好きだったのでしょうか?
図画 学生の頃は寮で生活していてテレビはほぼ禁止だったので、昔から……というわけでもないのですが、周りにアニメファンが多くて、みんな目を輝かせてアニメの話をしてくれるんです。それだけ力説されたら伝染しちゃいますよね(笑)。
GAK もともと父が、1980年代ジャパメタシーンで活躍していた「MAKE-UP」というバンドのギタリスト(松澤浩明さん。2010年逝去)でして、「聖闘士星矢」などのアニメソングも多く手がけていました。そういう背景もあって、子供の時から家ではHR/HM系のギターサウンドと同時にアニメも流れていて、幼少期からそういった文化にはなじみがありました。
──メタルアレンジ動画の選曲は、どのようにして決めているのでしょうか?
GAK 「これはテンポ的、メロディ的にもメタルアレンジに最適だ」もしくは「このメタルアレンジはまだ世に少ないだろうな……」というポイントを踏まえて、制作スタッフの客観的意見を交えつつ選定しています。
図画 みんな「あれがやりたい!」「これがやりたい!」って、なかなかまとまらないんですよ。それぞれの思い入れで熱が入っちゃって大変ですが、楽しいです(笑)。
──図画さんは、パワー系のボーカリストかと思いきや、「あの娘にドロップキック」の動画では、かわいい声を披露したり、曲によってはスクリームをしたりと多彩な表現力に驚きました! 自身のボーカリストとしての魅力や強みはどういうところだと思われますか? また、GAKさんから見た図画さんの魅力はどういうところだと思われますか?
図画 私はパワー系なんですね!(笑)ありがとうございます。褒められると嬉しい。魅力……自分の魅力を自分で語らせるって結構Sな質問ですよね(笑)。逆に教えてほしいところではありますが、まだまだ引き出しはありますよ。いろんなグルーヴの曲や、バラードなんかでもそれを少しずつお見せしていけたらいいなと思います。
GAK 声に関してですと、倍音・柔軟性に富んでいるなと思います。多分歌ったことがないようなジャンルでも、1回聴いただけで8割くらい歌いこなすんじゃないかと勝手に思っています(笑)。あと歌唱において「ん」の音というのは高音になればなるほど、発音・響かせ方が難しいのですが、図画さんはどの文字の響きも綺麗に波形として残してくれます。ボーカルデータエディットをしていると、耳がポコっと取れそうな感覚になります(褒めています……)。人間性でいうと、天真爛漫なイメージですかね。アーティスト気質というか。音楽系のアニメ・漫画に出てくるようなボーカリストキャラクターそのものなんじゃないでしょうか(笑)。
──GAKさんのギターテクニックのすごさは、動画を見ればよくわかるのですが、そのいっぽうでキレキレなパフォーマンスのカッコよさにもほれぼれしました。自身のギタリストとしての魅力や、意識していること、こだわっているところを教えてください。また図画さんから見た、GAKさんの魅力を教えてください。
GAK 音に関しては、ZAMBを機に6弦ギターから7弦ギターに持ち替え、録音環境も見つめ直しグレードアップさせました。主に、ENGL系、Diezel系、ピーヴィー5150系のギターサウンドが好きです。さらに尖ったインパクトが欲しい時は、歪み系コンパクトエフェクターのMXR「fullbore metal」を使用したりしています。
ステージパフォーマンスにおいては、「ターン」にこだわりを持っています。”回る”というパフォーマンスはギターのみならず、カッコイイの王道だと思っています。コードを一発ジャーンと鳴らして手を上にあげるようなロックスターの王道パフォーマンスも、令和の時代だからこそモダンさとかけあわせた上でどんどんやっていきたいです。これからも回っていきたいですね(笑)
図画 GAKさんの魅力は、まず、顔。それと真面目すぎて1周回って変態なところ。こだわりが強いんでしょうね。エンターテインメントに対してのプロ意識は尊敬しています。
──お2人にとってもっとも影響を与えたミュージシャン、または目標としているミュージシャンがいましたら教えてください。
図画 この人みたいになりたいという意味で目標としているミュージシャンはいませんが、アニソンアーティストとしても定着している西川貴教さんといつか共演したいです。ライブで生歌を聞いたときは圧巻でした。GAKさんは、もはや西川貴教さんオタクなんですよ(笑)。
GAK 邦楽アーティストだとB’z、T.M.Revolution、Iceman、浅倉大介さん、小室哲哉さん、hideさん。海外アーティストだとzilch、Arch Enemy、Slipknot、Metallica、Bonjoviなどから影響を受けました。ギタリストの目標としては、松本孝弘さん、高見沢俊彦さんですね。「聴かせて」「魅せるギタリスト」を追求していきたいです。それにともなって渋さもいずれ出せていけたら(笑)。
大人がまじめに遊んで生まれた「Love Satisfaction」
──6月10日にリリースされる「Love Satisfaction」でZAMBはCDデビューを果たします。最初から「邪神ちゃん」のタイアップは決まっていたのでしょうか?
図画 コンペで選んでいただいてタイアップが決まりました。短期間で何曲も提出したので怒涛の制作でした。
──「邪神ちゃんドロップキック」は、タイアップが決まる前からご存じでしたか? また、作品の感想やタイアップが決まったときのお気持ちを教えてください。
図画 スタッフの中に「邪神ちゃん」ファンがいたので、レコーディング中の会話に出てきたことはありました。私が実際に見たのはコンペに向けて曲を作るとなった時でした。キャラは強めで話はゆるめ、「あぁ、あのスタッフさんの言っていた魅力はこれかー。わかるわー」って見ていました。
GAK 過去に漫画で読んだことがありました。僕は「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を筆頭に、日常を舞台にした作品も大好きです。ですので、「邪神ちゃんドロップキック」のゆるっとした日常の中にいきなり刺激がやってくるような世界観は大好きです。タイアップが決まった時は、「ついに!」という気持ちと「バリバリのメタルだけど大丈夫なのかな……」という思いがありましたが、実際にエンディング映像を拝見した時は、邪神ちゃんと楽曲のマッチ具合に感謝・感激・感動でした!
──「邪神ちゃんドロップキック’」のEDテーマになるということで、気を付けたところや意識したところ。また、そのほか楽曲の制作時のエピソードで印象的なことを教えてください。
GAK 僕は音楽を作る時、メロディの次にイントロを大事にしています。今作のイントロは、“悪魔の合唱・降臨”のイメージを頭に浮かべ、キャッチーでたたみかけるようなフレーズを意識しました。
図画 邪神ちゃん目線で歌詞を書きましたが、せっかくなので、その世界観のフィルターを通した言葉選びを楽しみました。「愚かで無知な人間には」とかね。普段だとそこまで人をけちょんけちょんに言わないですから(笑)。あとは、レコーディングがとにかく楽しかったです。急遽決定、怒涛の制作だったので深夜にスタジオに籠ることも多かったんですが、その時も立っていられないくらい笑いました。振り返ると、何で笑ってたのか忘れたくらい、しょーーーもないことなんですけどね(笑)。
制作面ではアレンジだったり歌い方だったり、遊びながら作っていけたのがよかったですね。音楽制作では、大人が真面目に大遊びするってことが大事だと思っています。なので、それを一緒にしてくれるスタッフさんやメンバーがいてくれて嬉しい。感謝しています。
──カップリング曲「君に幸あれ」もスピード感のあるメタルナンバーです。こちらは、GAKさんの作曲・編曲ですが、こちらの楽曲解説や、制作エピソードなどを教えてください。
図画 「君幸(キミサチ)」、いい曲ですよね! まさにGAKさんっぽいメロディだなと思いました。歌詞の部分でいうと、いろんな言葉をはめていった中で「君に幸あれ」というワードが光っていたのでタイトルにしました。ほかはとにかく、それを際立たせるための言葉遊びを意識しました。アメリカ人の中にいる日本人にしよう!みたいな。結果的に「私はルー大柴さんだ!」とイメージして歌詞を書きました。
GAK タイトル曲が王道のスピードメタルなので、こちらはルーツのひとつでもあるモダンメタルスタイルを意識しています。1stシングルということもあり、これから始まっていくZAMBの音楽道……「戦いの始まり感」を表現しました。メロディ、ギター&シンセアレンジもGAKエッセンスの大枠的なところを打ち出せたと思います。
──今回、ユニット初のオリジナル・アニメソングを制作されたわけですが、作り終えての感想を教えてください。また、アニメソングを作ることの難しさや楽しさ。オリジナル曲との違いなど、気づいた点はありますか?
図画 GAKさんのメロディセンスを信頼しているので、そこは任せてほとんど口を出しません。ライブでの盛り上がりや、声のいいところを引き出してくれるテクニックはさすがだなと思います。ZAMBの曲自体、シネマチックでありたいと思っているので、(オリジナル曲とアニメタイアップ曲の間に)それほど違いは感じません。ただひとつ、アニメのフィルターを通すっていうのは楽しいですね。いつもと違う言葉が浮かんで来るので、作っていても新鮮です。ある意味、女優になった感覚で歌えます。
GAK 以前から僕はどんな曲を作るにあたっても”アニソン感”を意識してきました。いざ制作に挑むとなると、一筋縄ではいかない部分もあり、改めてアニメソングの奥深さを感じました。たとえば、イントロの長さ、冒頭からサビまでのタイム感など……長すぎても間延びします。いかにコンパクトで、なおかつダイナミックさを届けられるか、メロディ、フレーズなど無駄がないように気をつけました。そういった点でも、アニソンのメタルアレンジカバーはすごく勉強にもなります。
──アニメソングの魅力は、どういうところだと思われますか?
図画 突拍子がなくてもオーバーな表現でも許される。常にドラマチックで、解釈の仕方にも幅がある。そんな自由なところが、アニメソングの魅力だと思っています。
GAK 僕はいわゆる「厨二的」なカッコよさが好きなんです。日常ではなじみのないワード、仕草、シチュエーション、デザインが、自分にとってはカッコよくて。アニメではそれが自然と表現されています。その世界観を支えるのが、アニメソングなんじゃないかなと思っています。アニメソングにはさまざまなスタイルがありますが、根底には「熱さ」という共通の概念があると思います。
──最後に、1年後、どのようなユニットになっていたいですか? または、1年後はどのような活動をしていたい、というイメージや目標を教えてください。
図画 今はコロナで大変な時期なので、またスタッフが集まっての制作や、ライブ活動ができていることを願ってます。それこそ秋葉原でライブしたいですね。あと、世界中を飛び回ってパフォーマンスしたいです。そして、世界各地でおいしいもの食べたい(笑)。個人的にはラジオをやりたいです。
一番は、みなさんに知ってもらえるような代表曲を作りたいです。「ZAMBといえばあのアニメのあの曲」っていう。そうなれるように、日々新曲作りをがんばっていきます。
GAK 日々応援してくださっているファンの皆さんを「Z等兵」(ぜっとうへい)と呼んでいます。その皆さんとともに“ZAMBサウンド”をより強固なモノにして、ワンマンライブを開催したいというのが切なる願いです。またアニメイベントにもたくさん呼んでいただけるような、「皆が待っていたカッコイイ音楽」をずっと作り続けていきたいです。
──ありがとうございました!
【CD情報】
■Love Satisfaction/ZAMB
・2020年6月10日発売
・価格:初回盤(CD+DVD[Music Video収録])1,400円(税別)、通常盤(CD)1,000円(税別)、期間盤(CD+DVD[TVアニメノンクレジットEDムービー収録])※ 描き下ろしデジパック仕様 1,500円(税別)
<収録内容>
・Love Satisfaction
(作詞:図画泉美 作曲:木田竜也 編曲:木田竜也、GAK、長戸大幸)
TVアニメ「邪神ちゃんドロップキック’」エンディングテーマ
・君に幸あれ
(作詞:図画泉美 作曲:GAK 編曲:GAK)
・Love Satisfaction -Instrumental-
・君に幸あれ -Instrumental-
※ 期間盤のみM5. Love Satisfaction -TV size ver.-収録
(C)ユキヲ・COMICメテオ/邪神ちゃんドロップキック‘製作委員会
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