“メカメカしいけどかわいい”! 「テクノポリス21C」のスキャニー(アオシマ製)を組んでハートがときめいた!!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第1回

ガンプラ40周年で、1980年当時に大人気だった昔懐かしい“旧キット”へ熱い視線が注がれている。しかし80年代、たくさんのロボットアニメが次から次へとプラモデル化され、なかには「何だこりゃ?」というキットまで発売され、いささかヤケクソ気味に市場を盛り上げたからこそ、現在のガンプラの評価があるのではないか? そのような勝手な思い込みから、筆者は「80年代、確かに店頭で見かけはしたが、買って組み立てたことはなかった」ロボットアニメのプラモデルを収集しはじめた。そして、それらの素組み(色を塗らず、製品の仕様どおりに接着剤のみでストレートに組み立てること)を行うのがこの連載である。
第1回は、パイロットフィルムが劇場公開されたのみの異色アニメ「テクノポリス21C」(1982年)より、青島文化教材社(アオシマ)製の「1/16 テクロイド スキャニー」を選んでみた。当時価格300円、ガンプラの小さいほうと同じ枠に入ると思う。

▲スキャニー本体が細身でボリューム不足のためか、マスコットキャラクターである“テクドッグ・トム”が付属する

「テクノポリス21C」は、テクロイドと呼ばれる人間と同じ大きさのロボットが、人間の刑事とコンビを組んで事件を解決していくシリーズ物として企画された。しかし、制作されたのは80分ほどの中篇が1本のみだった。
テクロイドは多用途タイプで男性型のブレーダー、情報分析が得意な女性型のスキャニー、パワー重視で巨漢タイプのビゴラス、この3体がいる。ブレーダーとスキャニーは簡単な会話ができ、スキャニー役の声優は「うる星やつら」の三宅しのぶ役で大人気だった島津冴子だった。ロボットなので話し方には起伏がなく、そこも新鮮でグーだった。

▲本キットの組み立て説明書。設定を細かく記載してくれているのはよいが、ちょっと字が多すぎ。右下の部品図のとおり、キットはランナー3枚で構成されている

そして、何より特筆すべきなのは、メカデザインをスタジオぬえの宮武一貴氏が担当していることだ。女性型ロボットといえば、古くは「マジンガーZ」(1972年)のアフロダイA(エース)やダイアナンAがあったが、スキャニーは複眼のような無機質な顔面、三つ編のように頭部から長く伸びた探査プローブなど、機能的なディテールが女性的なシルエットを生み出しているのが画期的だった。胸のふくらみは、なんと左右にパカッと開く。機能はよくわからないが、なんだかフロントホックのブラジャーみたいではないか。
そうした設定画をアニメ雑誌で見ていたため、「プラモデルではどうなっているんだろう?」と、内心ドキドキしながらキットを手にとった少年たちも多かった(に違いない。というか、そうであってほしい。筆者は恥ずかしくて買えなかった派である)。
では2020年の今こそ、1983年3月、全国津々浦々の模型店に並んだスキャニーのキットを開封してみよう。

▲とにかく、全パーツがピンクで成形されているため、箱を開けただけでクラクラしてしまう。まるで満開の桜のようだ。ビニールに封入されていた接着剤はとっくに硬化していたので、今回はタミヤセメントを使用して素組みする

▲後頭部から、おさげ髪のように伸びる探査プローブ。収納した状態にも組み立てることができるが、長いおさげ髪こそがスキャニーのチャームポイント。グフでいえば、ヒートロッドのような大事なパーツだ

▲手首は、握りこぶしと平手の選択式。本キットの発売された83年3月はガンプラではMSV(モビルスーツバリエーション)がシリーズ開始されたころで、ロボットの平手パーツは増加傾向にあったものの、ここまで華奢な手首パーツは類を見なかった

▲無機質な複眼のような顔面は、なかなかよく造形されている。そしてボディの部品を見るとメカがむき出し……胸のパーツがないようだが、これは一体?

▲どうやら、これが胸のパーツのようだ。右と左、別々に成形されている。プラモデルは、薄い殻のようなパーツを成形するのに適しているわけだが……うーん、これはひょっとして?

おすすめ記事